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レクラス視点 9 出陣

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今日は午後から訓練のはずだった。

朝、食事をしてからフィリアがいる孤児院へニックと行こうと思っていた。
食堂で、ニックと朝食を取っていたら騎士団長か隣に座ってきた。

「食事が終わったら団長室へ来てもらえるか?」
「えー!!」
俺は思わず団長の顔を見て、不平を漏らした。

「レクラス!…団長。それは、相手に動きがあったのですか?」
俺はニックに咎められた。そして、団長に聞いていた。

「ああ。昨夜、第四騎士団と第五騎士団は一足先に国境へ向かった。第三と、第二も今日の午後には向かおうと思う。」
えーそうなのか…。フィリアが、ユリエルの所に行くと言っていたから俺も付いて行って、見守りたかったのにな。あーあ!…仕方ないか。

「…分かりました。」

「どうした?不満そうだな。何かあったか?」

「いいえ。」
「そうか。私生活が潤うのはいいが、任務に支障をきたすなよ。」
「…。」
くそっ!分かっているさ!!我慢しないといけないのは。今は、来るべき戦争に向けて、気を配らないといけない。だけど…フィリアが気になるんだよな…。力になると言ってやったのに、またも力になれないとは…。






☆★☆★☆★☆

俺は、今、第三騎士団を引き連れて国境へ向かっている。

朝食が終わって団長室に行くと、第二騎士団長も来ていた。そして、午後に出陣となった。それまでに団員にも伝え、準備していたらすぐに昼ご飯となってしまった。


「大丈夫か?」
ニックが話しかけてきた。
「何がだ?」
「フィリアちゃんの事。気になるんでしょ?彼女どうするんだろうね。」
「…ああ。力になると言って、結局俺は何の力も無いんだ。なんだかな…。」
「教会の警備の事まだ引きずってたの?仕方ないよ。人員を割くのは、確かにそうだし。なに?自分が警備出来ず、ユリエルはやってのけたからへこんでんの?」
ああそうだ。正にその通りだ。俺は、第二王子という肩書きがあるのにも関わらず、自分の思うように事を動かせない。何の為の地位なのか。そんなの、必要ないじゃないか!

「まぁまぁ。思い通りに何でも出来たら、独裁政権となるじゃん。出来ないじゃなくて、出来る事をやるんだよ。ま、今は、戦争に勝たないとな。」
そう言って、ニックは俺の肩を叩く。
分かるんだけどさ…。
そうだな。戦争に勝たなければ、どちらにせよ未来はないか。
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