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それから

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バルグェン国王と、騎士団長が話しをしだした。きっと今後の事でしょう。
私の出番はもう必要ないわね。

「もう大丈夫ね。帰りましょうか。」
私は、ユリエルおじさまに向かって何気なく言った。

「待って!」
レクラスさんが、私に言った。

「なに?」
「これから、どうするの?森に行くの?それとも、アルフェンス国に戻るの?」
うーん、そうだったわね。どうしましょ。私の帰る場所って、孤児院じゃなくなったんだったわ。森のログハウスは、住んでいる人達の考えとは何か違ったから…この結果を残念がっている人が多いかもしれないし…。

考えていると、辺りが淡く明るくなったように感じた。
「わ!フィリア!髪の色!!」
レクラスさんの声に、意識を戻した。

「え?」
横に垂らした髪が、不意に目の端に映る。と、いつの間にか髪の色が銀色になっていた。
「フィリア様。髪の色、戻ったのですね。魔力を思い切り使ったからかな。それとも、陛下が色を変えるのはもう必要無いとお感じになられたのか…。」
と、ユリエルおじさまがブツブツ呟いている。

「「「フィリア様!!」」」
後ろの方で待っていてと伝えた人達も駆け寄ってきた。

「フィリア様、素晴らしいです!」
「私も、戦争なんてもう嫌だと思っていたんです!」
「潰したって、恨まれても嫌ですし!」
「髪の色、銀色になられたのですか?」
「戻られたのですね。」
「そうね、素晴らしいわ。」
「「「さすがフィリア様!!!」」」

え…そう思っていた人達もいたんだ。

「フィリア様。あなたが、アルフェンス国に戻って来てくれると嬉しいと思う人はたくさんいますよ。あなたは王族です。あなたの思いを貫いたのです。戦争を止めた。それは、ここで戦争をしようとしていた騎士団の人々、バルグェン国軍の人々を救った事にもなります。」
ユリエルおじさまにそう言われると、私はすごい事が出来たのかな?って思った。
でも…

「ユリエルおじさま。私これからどうすればいいのかしら。皆はあのログハウスに戻るの?それとも、アルフェンス国に戻るの?」

「そうだな。フィリア様がよければ、皆でアルフェンス国に戻れるといいかな。だが、フィリア様がそれが出来ないのであれば仕方あるまいな。」
と、私の顔を見て優しく微笑んで言ってくれた。
そうよね。うーん…。

「フィリア。その髪の色も似合うね。どんなフィリアでも綺麗だね。ねぇ、勝手な事を言うけど、俺、君と一緒にいたいんだ。ついて行ったらダメかな?」
私が考えていたら、レクラスさんがそんな事を言った。

「え?えっと…それって…。」
まさか、いつぞやのメルサがモルクに言われたような言葉じゃないわよね…?

「俺、フィリアがいないと、フィリアが何してるかって考え始めちゃうんだ。この前爆発音がした時も、フィリアが心配になって孤児院まで急いで行ったんだ。俺は、今まで、義兄上の役に立たないといけないと思い込んでいた。でもそうじゃない未来も、思い描いてしまったんだ。フィリア、好きだ。一緒にいたい。」

うそ…!

「フィリア。まだ、フィリアに、俺の気持ちは届かないかもしれない。だが、傍に居る事を許してくれないか?」

そ、そんなおとぎ話の王子様みたいな台詞…あ、本物の王子様だったわ。
しかも、見目麗しい人に言われて喜ばない人はいないと思う。

「えっと…。レ、レクラスさんは王子様でしょ?この国に居なくていいの?」

「ああ。まだ父上と義兄上に話していないが、俺がいなくても国は大丈夫だ。帰って話してみるよ。本当は、このままフィリアについていきたいがな。」

まぁ…!
そんな事を言われ、自分でも顔が赤くなってしまうのが分かった。

「フィリア様、よかったですな。もし、レクラス殿が伴侶となれば、これ以上ない後ろ盾ですぞ。」
「ちょっと、ユリエルおじさま!変な事言わないで!」
「おや。ではレクラス殿が違う女性と夫婦となられてもいいのですな?」
「ちょ、ユリエル!止めろ!いいって言われたらヘコむ!」
他の女性と…んー、ちょっと嫌かも?いつも気遣ってくれてたけれど、それを他の女性にやるのはちょっと…。

「それはちょっと嫌かも…。」
「ほう。では、身辺整理をして、アルフェンス国に来てもらいましょうぞ。どうですかな?」
ユリエルおじさま、なんだかんだ言って強引よね。やっぱりアルフェンス国に行って欲しいってことかしら。

「そうね。レクラスさん、お待ちしています。」
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