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act.1  彼女は昼夜逆転の生活中

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朝起きて一番にやることは、
«太陽のシルシ»を持つ聖者の祈りの時間に合わせて
アヤテラの結晶石を、太陽の日差しが当たる場所に照らしておくこと。

そのあと、身の回りのことを一通りこなして
小さい頃は、友達と一緒に
学び舎で学問なんかに励んだり。

10歳で学び舎を卒業してからは
大人の仕事のお手伝いを始めたり
友達と一緒にダラダラとした時間を過ごしたり。

この小さな、アルルクの村で過ごす
たくさんの刺激はないけど、幸せな生活。

16になった今では、いままでのことが習慣になった延長線上の生活が繰り返されてる。

幸せだけれど。
私にとっては、変化のない窮屈で
ちょっと退屈で平凡な毎日でもある。

『ハレリアーーろーーー。』

そんな変化のない窮屈で平凡だった生活に
少しだけいつもと違う楽しみを見つけた。
今の私にとって重要な時間。

それは、【 惰眠 】

部屋の開放された窓から
さんさんと注がれる太陽の光。

そして部屋全体から漂う芳しい太陽の芳香!

その芳香は私の全ての思考を奪い
木漏れ日に照らされた、眠りの城(ベット)という
絶対的な安らぎの荘園へ、自然と体が惹かれてしまう。

眠りの城へと歩みを進めれば、
究極に心地の良い純白が、私を迎え入れ
全てを労わるかのように、優しく暖かな温もりで
私という存在を癒しながら、抱き包む。

包まれたときに再び漂う太陽の芳香を、骨の髄まで堪能すれば
暗がりの静寂がそっと訪れ、
その先には最高の睡眠がーーーー『ハレリア!』

『ハレリア起きろ!』


(ーーーーっ!!このタイミングで起こされるのーーーー!!!)


ハレリアこと私の、眠りの城(ベット)の側で、
叩き起こそうとしている、彼はオルべル

オルベルはこの村にいる聖女の護衛や
村の警備を担う《自警団》に所属している。

10歳のときに私の母が亡くなり
私が独りになった頃
目の前にしょっちゅう現れては、
親代わりに気にかけてくれている。


16になった今でも頼れる有り難い存在なのだが、
そろそろ子離れではないが、安心して欲しいと思う。私は我儘なのだろうか。。。 


『ハレリア、具合でも悪いのか?!』


オルべルに何度呼ばれたかわからなけど
狸寝入りする私に痺れを切らし
眠りの城の城壁(掛け布団)を引き剥がしに掛かってきた。

………不服だけど、これはもう寝るのを諦めて起きるしかないーーーー。


「もうっ!なんなのよオルベルってば、せっかく寝ようとしてたのに邪魔しないでよ!」


ハレリアの銀色の鎖骨あたりまで伸びている髪は、空色の瞳が隠れるほどにボサボサになっていたが

彼女はそんなことを気にも止めず
ベットから上半身を起こし、オルべルに抗議した。


『ひっでぇ寝癖だなぁ、、というか寝るって・・
まだ夕暮れにもなってねぇのに、就寝には早すぎるだろ!お前いつ起きてんだよ!!

だいたい俺は、ここんところ村の中でお前の姿を見てねぇから気になって、聖者様からの仕事や他の雑務を早く片付けて、様子を見にきてやったってのにーーー


「ひっどい寝癖ですいませんねー。けど、少し前まで起きてましたーー!オルベルの来るタイミングが、い・つ・も・悪・す・ぎ・る・だ・け!
だいたい、私が姿をみてないって、そんなことオルベルが、私に“大人しくしてろ”って言ったからからじゃない!」




「あったり前だろ!!ーーーーー


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