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覇道
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6歳の誕生日を迎えた第三王女リエル・メーカー・アンドール様。主に優秀な二人の侍女によって下々の人間から密かに【クロージス様の生まれ変わり】そう噂されるこの国の三番目のお姫様。貴族からは【汚れた血】市民からは【悪に塗られた血】と蔑まされる中での噂だ。
「おい、今すぐ私の変装用の服を持ってこいグランド」
「どこに忍び込むつもりだよ。馬鹿道化」
その噂が本当なのか確かめる為に、幼馴染みかつ唯一無二の専属護衛騎士……見習いのグランドの護衛の手を止めさせて最近ハマっている庭師の服を持ってこいと命令する。案の定だが精悍な顔を不細工にしかめながら用意をしてすぐに投げ渡してくる。毎度のことこの僕に馬鹿と言えるのはお前くらいだよグランド。
「噂の第三王女様との接触がてら、迷った見習い庭師という名目で王族専用庭園に忍びこむのさ」
「お前なぁ……。そろそろ落ち着いてくれよぉ……。俺もうお前の奔放さが心配すぎてはや13歳で涙ちょちょぎれそう」
投げ渡された変装用の衣服に着替えながら、おいおいと嘘泣きをする幼なじみに仕返しとばかりに私が脱いだ衣服をぽいっと投げる。嘘泣きで片手で目を隠していて見えないはずなのに、軽く避けて「投げんな」とグランドも私を投げた衣服を投げ返してくる。
「良いじゃないか……もし噂が本当ならば私の御爺様の死に際の願いが叶うかも、だからさ」
投げ返して来た衣服を受け止めて、扉の前に控えている執事に渡す。執事は慣れたように表情を動かさずに衣服を持って部屋へと出て行った。彼は私の専属執事をやって長いので、私達の行動はたしなめることも驚く事も無い。優秀な執事だ。
「噂と違ったらどうするつもりだ」
「っは! わかりきったことを……そのときは傀儡として操るまで。可哀想だけれど彼女は護衛の騎士さえも満足に付けては貰えぬほどに疎まれているのだから入り込むのは容易い」
「……策士策におぼれるなんてことになるんじゃねーぞ」
私がなにかを企むときには決まってその言葉を吐くグランド。部屋に入る日が些か傾いて、彼の顔に太陽の光がかかっているからこそ見える真剣なまなざし。私自身を何度も慰め、引き留め、諭し、導いた強い目が訴えかけるようにこちらを見て居る。
その顔に少しばかりの、感謝と嘘ではない笑みを彼に手向けて自身の部屋の扉に手を掛ける。噂通りならば、私がある程度しくじっても問題はない。噂とは違い愚鈍な王と同じ思考ならば、傀儡とするまで……相手が癇癪持ちで処刑と騒がなければな。
「わかっている……。では、行ってくる。私の首が繋がっていることを祈っていてくれまたへ」
「気持ち悪いこといってねぇーでとっとといけ!」
・
・
王族専用庭園。それはそれは美しい黒色の薔薇から白薔薇からカモミール、海向こうの桜と呼ばれる木々までありとあらゆる花々を敷き詰められた楽園に近い所で、国王お抱えの庭師と王族以外立ち入ることを禁じられている場所である。命じた国王自身が花より宝石を求める人間のおかげでこうして誰にも見られずに忍び込めるのだけれど。
庭園に綺麗な水を運ぶ用水路は、庭師の指示でなにかがあったらすぐに修理できるように通路を敷かれていて警備もないために用意に忍び込める。私の御爺様が死ぬ間際に教えて貰った秘密の一つだ。そうして王族専用庭園に忍び込んで計画通りに第三王女を探す……はずだった。
「あはは……。寝てた私もアレですが……ひどいなぁ……」
今の自分の思考と簡潔かつ適切に言うならば【どうしてこうなった】が正しいだろう。どうして、私はこうして第三王女に踏まれている。
王族専用庭園に忍びこんですぐに人の話し声が聞こえた為に体勢を低くして、花々の木陰に隠れた。どうしてこんな時に人がと思ったのだけれど、思った所で人が急に消えるわけではないと心でため息をついた。やがて話し声が聞こえなくなったことに安堵しながら、様子を見るために四つん這いで花々から少し身を乗り出したら。
「よっしやってやるぞー! あっはっはっは」「ぐえっ」
よーしやってやるぞー!というかけ声とともに、彼女の上がった足が四つん這いの私の胸に直撃のちに、痛みと衝撃で仰向けに地面に転がり落ちて、さらには踏んづけられてしまった。
「う゛お゛お゛お゛ぅぅッッ!!! ごめんなさい!!!」
姫とはほど遠い獣の鳴き声のように野太い声で私を踏んだ人は猫のように飛び退いて、私に身を投げ出したように身体と頭を下げて謝って来た。一目で分かった……この白銀の髪と……王族なのに自分の目下の者に謝罪をする……。彼女が第三王女様だということを。
「お詫びなんてとんでもない! 謝罪をするのは私のほうでございます! 申し訳ありませんでした。いやはや、慈悲深きリエル第三王女様とは私も話してみたいと思って居たのですよ! あぁ、自己紹介が遅れました……私は庭師のエカーラスといいます」
噂通りの人物でこの胸が高鳴るのを押さえられずに思わず笑みを浮かべてしまう。庭師? 違う、私は貴女の覇道を手助けするもの。速く言いたい自分の正体を……けれど今は言うときではない。彼女が私の仕草で私が庭師でも……なんでもないことをバレていても……。
(御爺様……やっと、やっと悲劇から産まれましたよ。人々の希望が……。この国の王族から潰えてしまった……善悪を持つお方が……御爺様が話してくださったクロージス様のようなお方だ……彼女は。実際に血を引いているのだから当たりえ……ですが)
・
・
踏んづけてしまってから、私の目の前には攻略者の血縁のレミリス・ブライエさんが目の前に今度はちゃんとした服装でハーイっと来るハメになりました。
「ということでございまして? わたくし貴女の覇道のお手伝いをと馳せ参じたまででございます。あ、噂というのは我々が独自に入手したので、別に知れ渡っては居りませんゆえ……ご安心なさってくださいませ」
芝居がかった口調で身体全体を使って語り駆けてくるレミリス。茶髪で髪こそは短いが顔の形は少女といっても過言ではないほどに女の子らしい顔立ち。声音も鈴のような音を奏でているのにどこか猫のような変幻自在の色香が漂う……。これだけでも、ドワーフ子ちゃんの血縁者だと丸わかりだ。ヌファンの緊張感も傍に控えているソーラの緊張感がこちらにも漂う……ただ者ではないこの雰囲気に気圧されそうになるも、どうにか笑顔をキープした。
「覇道……私がエヴァ王国で反旗を翻すとでもお考えで?」
「エエ、だってリエル様の行動は……それはそれは意図が分かりやすいゆえ、確実かと。そのご様子では本当のようで安心致しました」
そりゃ、この世界の諜報員としてトップクラスからすりゃ私の方向転換は分かりやすいだろうよ。お茶をすすりながらそう毒づくも意に返すこともなくニッコリと笑うレミリス君。小生意気な雰囲気はアクセントになって……多分男の娘なのに熟女ホイホイになれそうな素質の色香が漂っている。じと~っと見つめてもそのまま絶やさぬ笑みでこちらが用意した茶を毒味もせずに、ニッコリと笑って嚥下する。
「覇道というほど大層な事には興味は微塵もございません。あるべき正しい姿である市民は王を、王は市民を愛し合う……その姿へと戻すだけでございます」
「素晴らしい! それぞリエルさまだ。ご協力は惜しみませんよ? わたくしの悲願での範囲でございましたら、ですが」
悲願に私が背くような行動をしたら即座に背中を刺してきそうな迫力のある笑顔ありがとうございます。社会人として生を終えた私には刺激が強すぎて額からほろりと汗が流れ出てくる。けど……これ以上無い協力者であることは確実だ。彼がいれば私がどんな突飛なことをしても……情報があの幼稚馬鹿達の耳に入ることはないのだから。
「わかりました。ご協力お願いします」
「喜んで」
と素早くソファーから立ち上がりヌファンをスルーして私の横へ、なにげなーく座ると私の右手を持ち上げて中指あたりに、形の良い唇をふにゃりと押し当てた。
「な、な、な、な、な~!!!」
「あら、お可愛らしいご反応で……癖になってしまいそうです。これから……末永くよろしくお願いします」
これ婚姻のお願いだっけ? 婚姻の契約だっけ? 違うよね! 違うと言ってくれ……。ヌファンもソーラもこちらを見ないように控えている。私の助けて~ヘルプミーの声も完全にスルーだ。不覚にもこの女性と男性の境に経つ色香に赤面させられたまま、固まる私に満足気に花が咲き誇るようなニッコリとした顔を向けて、立ち上がると「それでは……また後日お伺いします」とだけ述べて去って行ってしまった。私がぐったりとヘロヘロ、ぺしゃ~と汗を吹き出しながらソファーへと沈んだ。
「リエル様……厄介な人に好かれちゃったですね」
「厄介は厄介だね……はぁ……」
「リエル様、今は相手とて鬼ではございません。身辺の、特に男関係の情報の動向を弄られぬよう……気を引き締めください」
侍女の二人がそう言うのならば知らぬ間に気に入られたのだろう。まさか踏まれて喜ぶドMだったり? なんておもったけどそれならそれで嫌すぎる。ぐで~んと考えて居ると、ノックの音が響く、このノックの音はカペルだとわかった私は気の抜けて「は~い」と返事をすると、ヤケに荒々しい扉の開ける音にびくん! と身体が跳ね上がる。なんだなんだ? と見ると汗だくかつ泣き出しそうなうるうるの目のカペルが言った。
「我が君! レミリス様と婚約されるというのは本当なのですか!?」
「違います」
あの、ニッコリ腹黒……手が早い。
「おい、今すぐ私の変装用の服を持ってこいグランド」
「どこに忍び込むつもりだよ。馬鹿道化」
その噂が本当なのか確かめる為に、幼馴染みかつ唯一無二の専属護衛騎士……見習いのグランドの護衛の手を止めさせて最近ハマっている庭師の服を持ってこいと命令する。案の定だが精悍な顔を不細工にしかめながら用意をしてすぐに投げ渡してくる。毎度のことこの僕に馬鹿と言えるのはお前くらいだよグランド。
「噂の第三王女様との接触がてら、迷った見習い庭師という名目で王族専用庭園に忍びこむのさ」
「お前なぁ……。そろそろ落ち着いてくれよぉ……。俺もうお前の奔放さが心配すぎてはや13歳で涙ちょちょぎれそう」
投げ渡された変装用の衣服に着替えながら、おいおいと嘘泣きをする幼なじみに仕返しとばかりに私が脱いだ衣服をぽいっと投げる。嘘泣きで片手で目を隠していて見えないはずなのに、軽く避けて「投げんな」とグランドも私を投げた衣服を投げ返してくる。
「良いじゃないか……もし噂が本当ならば私の御爺様の死に際の願いが叶うかも、だからさ」
投げ返して来た衣服を受け止めて、扉の前に控えている執事に渡す。執事は慣れたように表情を動かさずに衣服を持って部屋へと出て行った。彼は私の専属執事をやって長いので、私達の行動はたしなめることも驚く事も無い。優秀な執事だ。
「噂と違ったらどうするつもりだ」
「っは! わかりきったことを……そのときは傀儡として操るまで。可哀想だけれど彼女は護衛の騎士さえも満足に付けては貰えぬほどに疎まれているのだから入り込むのは容易い」
「……策士策におぼれるなんてことになるんじゃねーぞ」
私がなにかを企むときには決まってその言葉を吐くグランド。部屋に入る日が些か傾いて、彼の顔に太陽の光がかかっているからこそ見える真剣なまなざし。私自身を何度も慰め、引き留め、諭し、導いた強い目が訴えかけるようにこちらを見て居る。
その顔に少しばかりの、感謝と嘘ではない笑みを彼に手向けて自身の部屋の扉に手を掛ける。噂通りならば、私がある程度しくじっても問題はない。噂とは違い愚鈍な王と同じ思考ならば、傀儡とするまで……相手が癇癪持ちで処刑と騒がなければな。
「わかっている……。では、行ってくる。私の首が繋がっていることを祈っていてくれまたへ」
「気持ち悪いこといってねぇーでとっとといけ!」
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王族専用庭園。それはそれは美しい黒色の薔薇から白薔薇からカモミール、海向こうの桜と呼ばれる木々までありとあらゆる花々を敷き詰められた楽園に近い所で、国王お抱えの庭師と王族以外立ち入ることを禁じられている場所である。命じた国王自身が花より宝石を求める人間のおかげでこうして誰にも見られずに忍び込めるのだけれど。
庭園に綺麗な水を運ぶ用水路は、庭師の指示でなにかがあったらすぐに修理できるように通路を敷かれていて警備もないために用意に忍び込める。私の御爺様が死ぬ間際に教えて貰った秘密の一つだ。そうして王族専用庭園に忍び込んで計画通りに第三王女を探す……はずだった。
「あはは……。寝てた私もアレですが……ひどいなぁ……」
今の自分の思考と簡潔かつ適切に言うならば【どうしてこうなった】が正しいだろう。どうして、私はこうして第三王女に踏まれている。
王族専用庭園に忍びこんですぐに人の話し声が聞こえた為に体勢を低くして、花々の木陰に隠れた。どうしてこんな時に人がと思ったのだけれど、思った所で人が急に消えるわけではないと心でため息をついた。やがて話し声が聞こえなくなったことに安堵しながら、様子を見るために四つん這いで花々から少し身を乗り出したら。
「よっしやってやるぞー! あっはっはっは」「ぐえっ」
よーしやってやるぞー!というかけ声とともに、彼女の上がった足が四つん這いの私の胸に直撃のちに、痛みと衝撃で仰向けに地面に転がり落ちて、さらには踏んづけられてしまった。
「う゛お゛お゛お゛ぅぅッッ!!! ごめんなさい!!!」
姫とはほど遠い獣の鳴き声のように野太い声で私を踏んだ人は猫のように飛び退いて、私に身を投げ出したように身体と頭を下げて謝って来た。一目で分かった……この白銀の髪と……王族なのに自分の目下の者に謝罪をする……。彼女が第三王女様だということを。
「お詫びなんてとんでもない! 謝罪をするのは私のほうでございます! 申し訳ありませんでした。いやはや、慈悲深きリエル第三王女様とは私も話してみたいと思って居たのですよ! あぁ、自己紹介が遅れました……私は庭師のエカーラスといいます」
噂通りの人物でこの胸が高鳴るのを押さえられずに思わず笑みを浮かべてしまう。庭師? 違う、私は貴女の覇道を手助けするもの。速く言いたい自分の正体を……けれど今は言うときではない。彼女が私の仕草で私が庭師でも……なんでもないことをバレていても……。
(御爺様……やっと、やっと悲劇から産まれましたよ。人々の希望が……。この国の王族から潰えてしまった……善悪を持つお方が……御爺様が話してくださったクロージス様のようなお方だ……彼女は。実際に血を引いているのだから当たりえ……ですが)
・
・
踏んづけてしまってから、私の目の前には攻略者の血縁のレミリス・ブライエさんが目の前に今度はちゃんとした服装でハーイっと来るハメになりました。
「ということでございまして? わたくし貴女の覇道のお手伝いをと馳せ参じたまででございます。あ、噂というのは我々が独自に入手したので、別に知れ渡っては居りませんゆえ……ご安心なさってくださいませ」
芝居がかった口調で身体全体を使って語り駆けてくるレミリス。茶髪で髪こそは短いが顔の形は少女といっても過言ではないほどに女の子らしい顔立ち。声音も鈴のような音を奏でているのにどこか猫のような変幻自在の色香が漂う……。これだけでも、ドワーフ子ちゃんの血縁者だと丸わかりだ。ヌファンの緊張感も傍に控えているソーラの緊張感がこちらにも漂う……ただ者ではないこの雰囲気に気圧されそうになるも、どうにか笑顔をキープした。
「覇道……私がエヴァ王国で反旗を翻すとでもお考えで?」
「エエ、だってリエル様の行動は……それはそれは意図が分かりやすいゆえ、確実かと。そのご様子では本当のようで安心致しました」
そりゃ、この世界の諜報員としてトップクラスからすりゃ私の方向転換は分かりやすいだろうよ。お茶をすすりながらそう毒づくも意に返すこともなくニッコリと笑うレミリス君。小生意気な雰囲気はアクセントになって……多分男の娘なのに熟女ホイホイになれそうな素質の色香が漂っている。じと~っと見つめてもそのまま絶やさぬ笑みでこちらが用意した茶を毒味もせずに、ニッコリと笑って嚥下する。
「覇道というほど大層な事には興味は微塵もございません。あるべき正しい姿である市民は王を、王は市民を愛し合う……その姿へと戻すだけでございます」
「素晴らしい! それぞリエルさまだ。ご協力は惜しみませんよ? わたくしの悲願での範囲でございましたら、ですが」
悲願に私が背くような行動をしたら即座に背中を刺してきそうな迫力のある笑顔ありがとうございます。社会人として生を終えた私には刺激が強すぎて額からほろりと汗が流れ出てくる。けど……これ以上無い協力者であることは確実だ。彼がいれば私がどんな突飛なことをしても……情報があの幼稚馬鹿達の耳に入ることはないのだから。
「わかりました。ご協力お願いします」
「喜んで」
と素早くソファーから立ち上がりヌファンをスルーして私の横へ、なにげなーく座ると私の右手を持ち上げて中指あたりに、形の良い唇をふにゃりと押し当てた。
「な、な、な、な、な~!!!」
「あら、お可愛らしいご反応で……癖になってしまいそうです。これから……末永くよろしくお願いします」
これ婚姻のお願いだっけ? 婚姻の契約だっけ? 違うよね! 違うと言ってくれ……。ヌファンもソーラもこちらを見ないように控えている。私の助けて~ヘルプミーの声も完全にスルーだ。不覚にもこの女性と男性の境に経つ色香に赤面させられたまま、固まる私に満足気に花が咲き誇るようなニッコリとした顔を向けて、立ち上がると「それでは……また後日お伺いします」とだけ述べて去って行ってしまった。私がぐったりとヘロヘロ、ぺしゃ~と汗を吹き出しながらソファーへと沈んだ。
「リエル様……厄介な人に好かれちゃったですね」
「厄介は厄介だね……はぁ……」
「リエル様、今は相手とて鬼ではございません。身辺の、特に男関係の情報の動向を弄られぬよう……気を引き締めください」
侍女の二人がそう言うのならば知らぬ間に気に入られたのだろう。まさか踏まれて喜ぶドMだったり? なんておもったけどそれならそれで嫌すぎる。ぐで~んと考えて居ると、ノックの音が響く、このノックの音はカペルだとわかった私は気の抜けて「は~い」と返事をすると、ヤケに荒々しい扉の開ける音にびくん! と身体が跳ね上がる。なんだなんだ? と見ると汗だくかつ泣き出しそうなうるうるの目のカペルが言った。
「我が君! レミリス様と婚約されるというのは本当なのですか!?」
「違います」
あの、ニッコリ腹黒……手が早い。
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