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昼間の自主規制
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優秀な、もう、泣きたくなるくらい優秀な腹黒によって。攻略者達の歩んだ道が判明した。
レン・マーヤン
てっきり主人公と結婚して出来たのがヌファンもソーラだと思って居たのだけど、実際に結婚した相手はなんと! ……普通の人と結婚して二人が産まれたそうだ。二人が言ったのかなんなのか、破骨やら血染やらの記載は隠されてるから、まだ知らないふりし続けないといけないみたい。
炎熱のディザスター
なんと、私が最初に倒れた時に見てくれたお爺ちゃんの医者がそうだって報告書に書いてあった。パッケージだとイケイケブイブイがあんなに後退して……。時間とは恐ろしいものよと愁いが感じられる。彼は独身のまま居るそうだ。彼も私と一緒にエヴァ王国に付いて行ってくれるそうだ。
アビス
不明。
ドワーフ子永遠の18歳。本名ガンレイク・ブライエ
レミリス・ブライエのお爺ちゃん。男女の境に経つ情報コントロール長けた人物で……ぶっちゃけこの子がいるのに、主人公達は何故負けたと叫びたくなるくらいに、ご本人も息子さんも有能。おじいさんはもう他界しているそうだけど、意思はちゃんと孫に伝わって優秀な腹黒に育ってる。本当に優秀すぎていつか、わたし刺されそうで怖いです。一応ブライエ家全面バックアップで強力してくれるそう……ありがたや。
ナザルカラク
不明。
シャルリエール
不明。
「如何でしょうか?」
「予想通りです。ありがとうございます」
どや顔を隠しもしないで、私を手早い情報操作で婚約者にしてくださいやがりましたレミリス君。後日どういうことかの説明がてら私のお願いした情報をこうして調べてきて貰っていたんだ。どや顔に頭を振ってやれやれ……と首を横に振りながら、私は婚約者について問いただした。
「それで、何故、私が婚約者に?」
私の怪訝な声に、お付きの騎士のグランド君が申し訳なさそうに顔を歪めている。ご本人は余裕綽々に微笑んでいらっしゃいます。
「それは、貴女に一目惚れいたしましたからです」
「え……踏まれて一目惚れ?」
彼の渾身のどや顔ニッコリを躱すように、こちらはドン引きの表情で左手で顔を隠して見つめる。侍女の二人はその踏まれたという単語に不穏な殺気を漂わせている。お付きの見習い騎士のグランド君はついにその扉を開けたかと言わんばかりに、呆れたように口をさらにして横目でジッと見て居る。私の権限でヌファンと一緒に控えているカペルなんて……後ろに翡翠の竜でも背負ってるような射殺すような目を、レミリスに向けて居る。ご本人のレミリスも面食らったように口を開けたあと、これまたニッコリと笑った。
「エエ、リエル様の足捌きは、それはそれは……良い物でした。わたくし達相性がピッタリのようでございますね」
私を変態の道連れにするつもりか! 貴様!!!
「我が君はそんなことしません!!!」
真っ赤になって庇ってくれるカペルに、うれしさ満点の笑みを浮かべるとぽぽぽぽ……っという音が聞こえそうなほどに真っ赤になって萎んでいった。その光景をニヤニヤして見て居るレミリス。未だにジーッとレミリスを見続けて居るグランド君。
「まぁ、婚約というのは本当にしてくださっても宜しいのですが、仮でございます。リエル様は腹違いとの関係で余り立場がよろしくありません。いつ……ご臨終されるかもわからぬ身だ。それを、させぬ為の仮婚約ですよ。探られたくない腹を保つ者はまず……襲って来ませんから。リエル様が御本命を見つけ出したさいには私に言って下されば穏便に解消しましょう……。もちろん、このまま婚約してゆくゆくには……というのも歓迎していますよ」
「仮ですね。お願いします」
私は好きな相手と婚約したいロマンチストなので、今から決める予定はありません。仮ということを強調して今回の話しは終わった。
どうしてこうなった?
燃える火と私を罵倒する民衆。何故この世界を作ったという罵倒……私が作者じゃないのだからその罵倒は受けられないと言いたいけれど言えない。カペルもヌファンもソーラも司書達もレミリスもグランドも死んだ。炎の中の自分の白い髪はそれはそれは美しく炎の色に染まった。熱い、熱い、苦しい、苦しい、それしか考えられない。喉が燃えればその内側も熱せられ……。出てきた煙は吸えば喉を焼き酷いにおいでむせ返る。そしてでたのは血で……最後に見た光景は……鮮やかに笑うお姉様だった。
ー汚れた血ー
最後にそう言って笑った。
ーリエル様、リエル様!ー
「リエル様! リエル様!!!」
夢か、ボーッと現実に引き戻された私の頭はそう言った。借りのベットで私の部屋で寝ている筈のカペルがとても心配そうにクールなお顔を歪ませて、目にはたっぷりの涙を含ませていた。ぼんやりとした視界のままに……泣かないでと、精一杯腕を上げて彼の涙を掬って払う。
「どうしたの?」
「どうし、リエル様が苦しそうにうなされていましたから……」
そう言って寝ながら泣いていたのであろう、私の頬を拭いながら心配そうにゆっくりと瞬きをして、涙を落とした。
「起こしてくれたんだぁ。ありがとぉ」
その後にゆるゆると、私の意識は溶けて行ってカペルの身体を抱きしめる。カペルはいつの間にか良い匂いが香っていて……。我が身というけれどお兄ちゃんみたいに、こうやって甘えさせてくれる。ゆるゆるとゆるんだ思考のままに「一緒に寝ようよ。お兄ちゃんみたいで落ち着くの」っとカペルを自分のベットへ引き釣りこんだ。
子供ながらに性差を感じさせる大きい手に出来た剣だこ。そして僅かに香る汗の臭いが落ち着く。ぎゅっと抱きしめて頭を撫でられると、自然と私の顔はカペルの胸に埋めるようにすりすりと押しつけてしまう。やがて良い位置を見つけた私は、カペルの胸なかで大きく鼻で深呼吸して、フラフラと微睡む。
「お兄ちゃんに……なりたいです。我が身の家族に」
最後に……そう聞こえた気がした。
・
・
放った弓矢の過ぎる間にあれよあれよと時間は進んだ。なんとかエヴァ王国の情報も手にすることが出来て一歩二歩大前進だ……どれもこれも大問題なのは大問題なのですけどね。はぁ……。
一つ 奴隷を当たり前に使う国なので心の汚さは多分こっちと一緒だ。
二つ そもそも、お城の手入れをしてくれる兵士やメイドが疲弊してるので……うん。
三つ 水害国、毎年だけど嵐で壊れて直してを繰り返しているので……全体的に物の水準が低い。
できればしかるべき対処法を発掘してから、向かいたいところなのだけど……。そうにも言ってられなくなったのだ。主にマイベルお姉様の嫌がらせという名の殺人未遂が増えたのだ。毒は炎熱のディザスターもとい、お爺ちゃんに専門的に何故か治して貰えるから、良くないのだけれどいいとして……。一番嫌な私の周りの人に嫌がらせしてくるようにもなったのだ。
「あちゃ~また切り刻まれて……。ぬふぁぁん! どうしよう?」
「リエル様でしたら、エプロンの一つ無いだけでどうこう言われる方ではありません。切り刻まれしまったのならば仕方がないのでナシで行きましょう。あとご報告を渋ってはいけませんよ。こういうことちゃんと伝える事が優しさだと私は思います」
「でも……」
「言いにくいのなら、私も一緒に報告しますから、行きますよ」
という感じで……優しくもしっかりした二人の報告で、ヌファンとソーラの二人はメイド服のエプロンを切られたり隠されたり……。毒とか私みたいに生命に関わることは起こらないけど、程度の低いいじめがマイベルお姉様のお付きから受けているということがわかったのだ。
私に関わりのある全員が大なり小なりいじめを受けているという事実に心が痛い。狙うなら私だけを狙ってくれれば良いのに……。
「リエル様、リエル様……」
「! わ~なにお兄ちゃ? あ、ごめん」
「お兄ちゃんで良いですよ? 僕は我が身の兄となれるならば……嬉しいです。とても」
「じゃあ、我が君呼びは」
「それは別、です!」
大人しい翡翠の目が、お日様のように喜色を灯して笑っている。我が君呼びは別なのかい……と思いつつも甘えてカペル君の呼び名はお兄ちゃんに変えた。そうそう、カペル君はある意味貴族のプライドのお陰で虐めはない。私達が隠しているのもあるけど、奴隷にわざわざ心を砕くのは嫌なんだそう……ほんと貴族の気持ちわかんない。元社会人だし。
カペル君の一声で手の止まっていたエヴァ王国の対処法を書いた紙と……早期引き継ぎ願いの紙の記載を再開した。こんなこともあって、私は死にかけても庇護されているからそこまでダメージはない。けど、周りは違うのだ周りは、もしもの時の庇護が受けられないのかも知れないのだ。ある程度はブライエ家でどうにかなるけど……それも、貴族に感づかれない程度にしかできない。情報に長けたブライエ家とてやった事実は消せないのだから……いつかボロができる。
もう……年単位の先なんて待っている暇はない。今が潮時だ。
メイドとしても護衛としても優秀なヌファンも居る。宰相を目指しているらしいカペル君も一緒に来てくれると言ってくれている。騎士団の二番隊の部隊長のレドビスもきてくれるし、術団の六番隊の部隊長のパトちゃんもきてくれるし。ディザスターも司書のカレット、ヴェネス、ガバンも家族と一緒に来てくれるし。レミリスもブライエ君もきてくれる。今が最高の好機だ……相手から速く出て行けと言ってくれるなら……。
それを利用するまで。
「お兄ちゃん! ヌファン、ソーラ! もう、エヴァ王国へ行こう」
・
・
「リエル様……本当に宜しいのですか?」
あの幼稚王の下へ、速くエヴァ王国に行かせろやオラーっと言う書状を書いた。皆もいつでもいいと言ってくれるし、思い立ったが吉日だ……書いてすぐに提出する。そのために今はヌファンに一緒に控えて貰って向かって居るのだ。周りの場違いだとか、なんか私の出生というか白い髪色を厭う目がバチバチと歩く度に貴族共からぶつけられる。
そんな目を全て無視してお父様が居る部屋をに向かった……のだけど。
「今は……人払いをということでして……」
「予めリエル様は国王様への謁見を予定しておりました。それはいったいどういうことでしょうか?」
兵士さんに止められた。バツの悪そうにカツカツと前のめり気味に威圧するヌファンにのけぞりながらもキッパリダメですと言われた。今日は一応面会の予定もこれといった公務の予定もない……そもそも真面目にしないから、あっても関係ないけど、それが今回は裏目にでたのか……。威圧して訳を聞こうとするヌファンの兵士さんが、チラチラと私を見ながらのけぞってる。何だろう? と思いながらも、顔を外して開かれない扉を睨んだ。
ー おおしゃま……らめ、らめなのぉぉぉぉぉ!!!ー
今真っ昼間なんだけどそういうことですか。扉の向こうから聞こえる女の人のあられもない声に、ヌファンと兵士さんも私も沈黙した。ヌファンに至っては威圧してた兵士さんへ向き直り謝罪をしていた。
ーよいぞ、ヴア二エスよ……◯◯自◯◯主◯◯規◯◯制◯◯ー
勝手に私の脳みそが理解したくなくて自主規制を引いた。よし、興が冷めた帰る。
その後……この真っ昼間からお楽しみ中だった国王様に後日お伺いを立ててエヴァ王国へ即刻いけることとなりました。真っ昼間からどっこらしょっと盛るような国王だから、ほんと、ほっといても破綻しそう。なんなら、私のしらない妹や弟やお姉さんお兄さんがいーっぱいいそう。
はぁ……。
レン・マーヤン
てっきり主人公と結婚して出来たのがヌファンもソーラだと思って居たのだけど、実際に結婚した相手はなんと! ……普通の人と結婚して二人が産まれたそうだ。二人が言ったのかなんなのか、破骨やら血染やらの記載は隠されてるから、まだ知らないふりし続けないといけないみたい。
炎熱のディザスター
なんと、私が最初に倒れた時に見てくれたお爺ちゃんの医者がそうだって報告書に書いてあった。パッケージだとイケイケブイブイがあんなに後退して……。時間とは恐ろしいものよと愁いが感じられる。彼は独身のまま居るそうだ。彼も私と一緒にエヴァ王国に付いて行ってくれるそうだ。
アビス
不明。
ドワーフ子永遠の18歳。本名ガンレイク・ブライエ
レミリス・ブライエのお爺ちゃん。男女の境に経つ情報コントロール長けた人物で……ぶっちゃけこの子がいるのに、主人公達は何故負けたと叫びたくなるくらいに、ご本人も息子さんも有能。おじいさんはもう他界しているそうだけど、意思はちゃんと孫に伝わって優秀な腹黒に育ってる。本当に優秀すぎていつか、わたし刺されそうで怖いです。一応ブライエ家全面バックアップで強力してくれるそう……ありがたや。
ナザルカラク
不明。
シャルリエール
不明。
「如何でしょうか?」
「予想通りです。ありがとうございます」
どや顔を隠しもしないで、私を手早い情報操作で婚約者にしてくださいやがりましたレミリス君。後日どういうことかの説明がてら私のお願いした情報をこうして調べてきて貰っていたんだ。どや顔に頭を振ってやれやれ……と首を横に振りながら、私は婚約者について問いただした。
「それで、何故、私が婚約者に?」
私の怪訝な声に、お付きの騎士のグランド君が申し訳なさそうに顔を歪めている。ご本人は余裕綽々に微笑んでいらっしゃいます。
「それは、貴女に一目惚れいたしましたからです」
「え……踏まれて一目惚れ?」
彼の渾身のどや顔ニッコリを躱すように、こちらはドン引きの表情で左手で顔を隠して見つめる。侍女の二人はその踏まれたという単語に不穏な殺気を漂わせている。お付きの見習い騎士のグランド君はついにその扉を開けたかと言わんばかりに、呆れたように口をさらにして横目でジッと見て居る。私の権限でヌファンと一緒に控えているカペルなんて……後ろに翡翠の竜でも背負ってるような射殺すような目を、レミリスに向けて居る。ご本人のレミリスも面食らったように口を開けたあと、これまたニッコリと笑った。
「エエ、リエル様の足捌きは、それはそれは……良い物でした。わたくし達相性がピッタリのようでございますね」
私を変態の道連れにするつもりか! 貴様!!!
「我が君はそんなことしません!!!」
真っ赤になって庇ってくれるカペルに、うれしさ満点の笑みを浮かべるとぽぽぽぽ……っという音が聞こえそうなほどに真っ赤になって萎んでいった。その光景をニヤニヤして見て居るレミリス。未だにジーッとレミリスを見続けて居るグランド君。
「まぁ、婚約というのは本当にしてくださっても宜しいのですが、仮でございます。リエル様は腹違いとの関係で余り立場がよろしくありません。いつ……ご臨終されるかもわからぬ身だ。それを、させぬ為の仮婚約ですよ。探られたくない腹を保つ者はまず……襲って来ませんから。リエル様が御本命を見つけ出したさいには私に言って下されば穏便に解消しましょう……。もちろん、このまま婚約してゆくゆくには……というのも歓迎していますよ」
「仮ですね。お願いします」
私は好きな相手と婚約したいロマンチストなので、今から決める予定はありません。仮ということを強調して今回の話しは終わった。
どうしてこうなった?
燃える火と私を罵倒する民衆。何故この世界を作ったという罵倒……私が作者じゃないのだからその罵倒は受けられないと言いたいけれど言えない。カペルもヌファンもソーラも司書達もレミリスもグランドも死んだ。炎の中の自分の白い髪はそれはそれは美しく炎の色に染まった。熱い、熱い、苦しい、苦しい、それしか考えられない。喉が燃えればその内側も熱せられ……。出てきた煙は吸えば喉を焼き酷いにおいでむせ返る。そしてでたのは血で……最後に見た光景は……鮮やかに笑うお姉様だった。
ー汚れた血ー
最後にそう言って笑った。
ーリエル様、リエル様!ー
「リエル様! リエル様!!!」
夢か、ボーッと現実に引き戻された私の頭はそう言った。借りのベットで私の部屋で寝ている筈のカペルがとても心配そうにクールなお顔を歪ませて、目にはたっぷりの涙を含ませていた。ぼんやりとした視界のままに……泣かないでと、精一杯腕を上げて彼の涙を掬って払う。
「どうしたの?」
「どうし、リエル様が苦しそうにうなされていましたから……」
そう言って寝ながら泣いていたのであろう、私の頬を拭いながら心配そうにゆっくりと瞬きをして、涙を落とした。
「起こしてくれたんだぁ。ありがとぉ」
その後にゆるゆると、私の意識は溶けて行ってカペルの身体を抱きしめる。カペルはいつの間にか良い匂いが香っていて……。我が身というけれどお兄ちゃんみたいに、こうやって甘えさせてくれる。ゆるゆるとゆるんだ思考のままに「一緒に寝ようよ。お兄ちゃんみたいで落ち着くの」っとカペルを自分のベットへ引き釣りこんだ。
子供ながらに性差を感じさせる大きい手に出来た剣だこ。そして僅かに香る汗の臭いが落ち着く。ぎゅっと抱きしめて頭を撫でられると、自然と私の顔はカペルの胸に埋めるようにすりすりと押しつけてしまう。やがて良い位置を見つけた私は、カペルの胸なかで大きく鼻で深呼吸して、フラフラと微睡む。
「お兄ちゃんに……なりたいです。我が身の家族に」
最後に……そう聞こえた気がした。
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放った弓矢の過ぎる間にあれよあれよと時間は進んだ。なんとかエヴァ王国の情報も手にすることが出来て一歩二歩大前進だ……どれもこれも大問題なのは大問題なのですけどね。はぁ……。
一つ 奴隷を当たり前に使う国なので心の汚さは多分こっちと一緒だ。
二つ そもそも、お城の手入れをしてくれる兵士やメイドが疲弊してるので……うん。
三つ 水害国、毎年だけど嵐で壊れて直してを繰り返しているので……全体的に物の水準が低い。
できればしかるべき対処法を発掘してから、向かいたいところなのだけど……。そうにも言ってられなくなったのだ。主にマイベルお姉様の嫌がらせという名の殺人未遂が増えたのだ。毒は炎熱のディザスターもとい、お爺ちゃんに専門的に何故か治して貰えるから、良くないのだけれどいいとして……。一番嫌な私の周りの人に嫌がらせしてくるようにもなったのだ。
「あちゃ~また切り刻まれて……。ぬふぁぁん! どうしよう?」
「リエル様でしたら、エプロンの一つ無いだけでどうこう言われる方ではありません。切り刻まれしまったのならば仕方がないのでナシで行きましょう。あとご報告を渋ってはいけませんよ。こういうことちゃんと伝える事が優しさだと私は思います」
「でも……」
「言いにくいのなら、私も一緒に報告しますから、行きますよ」
という感じで……優しくもしっかりした二人の報告で、ヌファンとソーラの二人はメイド服のエプロンを切られたり隠されたり……。毒とか私みたいに生命に関わることは起こらないけど、程度の低いいじめがマイベルお姉様のお付きから受けているということがわかったのだ。
私に関わりのある全員が大なり小なりいじめを受けているという事実に心が痛い。狙うなら私だけを狙ってくれれば良いのに……。
「リエル様、リエル様……」
「! わ~なにお兄ちゃ? あ、ごめん」
「お兄ちゃんで良いですよ? 僕は我が身の兄となれるならば……嬉しいです。とても」
「じゃあ、我が君呼びは」
「それは別、です!」
大人しい翡翠の目が、お日様のように喜色を灯して笑っている。我が君呼びは別なのかい……と思いつつも甘えてカペル君の呼び名はお兄ちゃんに変えた。そうそう、カペル君はある意味貴族のプライドのお陰で虐めはない。私達が隠しているのもあるけど、奴隷にわざわざ心を砕くのは嫌なんだそう……ほんと貴族の気持ちわかんない。元社会人だし。
カペル君の一声で手の止まっていたエヴァ王国の対処法を書いた紙と……早期引き継ぎ願いの紙の記載を再開した。こんなこともあって、私は死にかけても庇護されているからそこまでダメージはない。けど、周りは違うのだ周りは、もしもの時の庇護が受けられないのかも知れないのだ。ある程度はブライエ家でどうにかなるけど……それも、貴族に感づかれない程度にしかできない。情報に長けたブライエ家とてやった事実は消せないのだから……いつかボロができる。
もう……年単位の先なんて待っている暇はない。今が潮時だ。
メイドとしても護衛としても優秀なヌファンも居る。宰相を目指しているらしいカペル君も一緒に来てくれると言ってくれている。騎士団の二番隊の部隊長のレドビスもきてくれるし、術団の六番隊の部隊長のパトちゃんもきてくれるし。ディザスターも司書のカレット、ヴェネス、ガバンも家族と一緒に来てくれるし。レミリスもブライエ君もきてくれる。今が最高の好機だ……相手から速く出て行けと言ってくれるなら……。
それを利用するまで。
「お兄ちゃん! ヌファン、ソーラ! もう、エヴァ王国へ行こう」
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「リエル様……本当に宜しいのですか?」
あの幼稚王の下へ、速くエヴァ王国に行かせろやオラーっと言う書状を書いた。皆もいつでもいいと言ってくれるし、思い立ったが吉日だ……書いてすぐに提出する。そのために今はヌファンに一緒に控えて貰って向かって居るのだ。周りの場違いだとか、なんか私の出生というか白い髪色を厭う目がバチバチと歩く度に貴族共からぶつけられる。
そんな目を全て無視してお父様が居る部屋をに向かった……のだけど。
「今は……人払いをということでして……」
「予めリエル様は国王様への謁見を予定しておりました。それはいったいどういうことでしょうか?」
兵士さんに止められた。バツの悪そうにカツカツと前のめり気味に威圧するヌファンにのけぞりながらもキッパリダメですと言われた。今日は一応面会の予定もこれといった公務の予定もない……そもそも真面目にしないから、あっても関係ないけど、それが今回は裏目にでたのか……。威圧して訳を聞こうとするヌファンの兵士さんが、チラチラと私を見ながらのけぞってる。何だろう? と思いながらも、顔を外して開かれない扉を睨んだ。
ー おおしゃま……らめ、らめなのぉぉぉぉぉ!!!ー
今真っ昼間なんだけどそういうことですか。扉の向こうから聞こえる女の人のあられもない声に、ヌファンと兵士さんも私も沈黙した。ヌファンに至っては威圧してた兵士さんへ向き直り謝罪をしていた。
ーよいぞ、ヴア二エスよ……◯◯自◯◯主◯◯規◯◯制◯◯ー
勝手に私の脳みそが理解したくなくて自主規制を引いた。よし、興が冷めた帰る。
その後……この真っ昼間からお楽しみ中だった国王様に後日お伺いを立ててエヴァ王国へ即刻いけることとなりました。真っ昼間からどっこらしょっと盛るような国王だから、ほんと、ほっといても破綻しそう。なんなら、私のしらない妹や弟やお姉さんお兄さんがいーっぱいいそう。
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