幼馴染に浮気されて落ち込んでいたら、ストーカー生徒会副会長に溺愛されました。

ヤオサカ

文字の大きさ
4 / 8

第4話「偽りの噂と、救いの手」

しおりを挟む
「わたしの……どこが……」

昼休み終了のチャイムが鳴る。「では、また」と福村龍臣は教室に戻っていった。
雅も午後の授業を受けるため教室に戻る。皆の視線が痛いけれど授業は真面目に受けて放課後はさっさと帰ろうと思っていた。


 雅は、昇降口の前で立ち尽くしていた。
取り囲むように数人の女子たちが立っている。彼の新しい恋人――田中理央がいる。そして彼女の友人たちも雅を鋭い視線で睨みつけていた。

「いい加減にしてくれない?」
「幼馴染だからって、拓哉につきまとうの、やめてくれない?」

冷たい言葉が次々と降りかかる。

「幼馴染とかいつまでやってるの? 小さい子供じゃないんだから。」
「嫉妬して拓哉くんの邪魔をするとか、ほんと最低。」

雅は唇を噛み締める。

「違う……」

かすれた声で否定する。

(私は、そんなことしてない。)

でも、誰も雅の言葉を聞こうとしない。
理央が、わざとらしくため息をつく。

「ねぇ、もうやめてくれない? 拓哉くんも、迷惑してるんだけど。」
「……違うって言ってるでしょ。」

雅はもう一度、絞り出すように声を発した。
その瞬間、理央の友人のひとりが苛立ったように雅に手を振り上げた。

「ほんっとしつこい!」

雅は反射的に目を閉じる。

――その手が降り落ちることはなかった。

静寂が訪れる。
雅が恐る恐る目を開けると、そこには――福村龍臣がいた。

「……何をしているんだ?」

低く落ち着いた声が、静かに響く。
龍臣は雅の前に立ち、腕を伸ばして彼女を守るように構えていた。

「生徒同士で暴力なんて、許されることじゃないな。」

女子たちは一瞬、硬直する。

「な、なんで……?」

理央が戸惑いながら言葉を絞り出す。
龍臣は雅の肩を掴み自分の方に引き寄せ、その瞳に静かな熱を宿したまま言う。

「自分の彼女に何かされているところを黙って見ていられるはずがない。」

雅は息をのむ。

「俺の彼女が何かしたか?――松永雅は俺と付き合っているんだが。」

昇降口にいた生徒たちが、一斉に息を止める。

「えっ……?」

その場にいた全員が凍りついた。

「生徒会副会長の福村先輩が、松永さんと……?」

(どういうこと……?)

理央が動揺しながら龍臣を見る。

「君たちの間に何があったか知らないが、雅を傷つける権利は君たちにはない。」
「っ……」

雅は、いまいち状況が呑み込めなかった。

(何……この人……。)


昨日の昼休み。校舎裏で交わした言葉。

「俺が君を大事にする。」

あの時の龍臣の言葉が、今――現実になっている。
龍臣は振り向き、雅の手を取る。

「帰るぞ、雅。」

龍臣の声はどこか甘く雅の中に響いた。
雅は心が大きく揺れ動いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋に見切りをつけたら「氷の騎士」が手ぐすね引いて待っていた~それは非常に重い愛でした~

ひとみん
恋愛
メイリフローラは初恋の相手ユアンが大好きだ。振り向いてほしくて会う度求婚するも、困った様にほほ笑まれ受け入れてもらえない。 それが十年続いた。 だから成人した事を機に勝負に出たが惨敗。そして彼女は初恋を捨てた。今までたった 一人しか見ていなかった視野を広げようと。 そう思っていたのに、巷で「氷の騎士」と言われているレイモンドと出会う。 好きな人を追いかけるだけだった令嬢が、両手いっぱいに重い愛を抱えた令息にあっという間に捕まってしまう、そんなお話です。 ツッコミどころ満載の5話完結です。

自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで

嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。 誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。 でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。 このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。 そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語 執筆済みで完結確約です。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜ ※AI不使用です。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

処理中です...