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閑話.3人の関係
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夜中、エドガーが謹慎中の部屋にコンゴとルイが訪れていた。
何十年か前、グラベット入りしたばかりだったエドガーは暫くここで過ごした。すでに側近となっていたルイとコンゴは彼の教育係だったのだ。飲み込みが早くて要領も良く、仕事は順調に覚えた。だが女癖の悪さはいくら忠告しても若干マシになっただけで治るには至らず、その頃から女絡みのトラブルが多かった。
まあ、エドガーがこういう性格になったのには、彼の複雑な立場や育った環境にも多分な原因があるのだが。
「しっかしお前もよくトラブルばっか起こすな。しかも今回の被害者はソニアちゃんだぜ?よくボコられずに済んだな」
コンゴは差し入れとして持ってきた骨付き肉に自らかぶりついた。
「…ほんとだよ。少し痛い目に遭えばいいのに」
エドガーを睨むルイ。
「…ソニアちゃんに助けられたんですよ」
エドガーの言葉に不思議そうな顔をする2人。
「やられたのはソニアちゃんなのに、怒らなかったのか?」
「…怒ってなかったわけじゃないと思いますよ。でも…怒鳴ったり、泣き喚いたりもしなくて…力は自慢したりするものじゃない、と言われただけでした」
「へえ…」
「・・・」
コンゴは感心したように声を漏らし、ルイは黙っている。
「かなり年下のはずなのに…何だか諭された気分です。彼女は何者なんです?…オレの知ってる女って生き物とはかなり違う。結構な衝撃を受けましたよ」
「ソニアちゃんをただの女性だとは思わない方が良い。彼女は怒りで覇気を放った状態のボスを止められる人だ」
答えたのはルイ。コンゴは以前その話を聞いたので驚かない。が、エドガーは驚愕に眼を見開いていた。
「…まさか…本当に…?」
独り言のように呟く。
「俺も初めて聞いた時は耳を疑ったぜ。だがよ、ルイとビスタもその場に居てボスの覇気を浴びてんだ。信じられないような話だが事実だろうよ」
「事実だよ。目にした僕も、さすがはグラベットのボスとNo.2の妻だとしか言いようが無い。今まで、先代を除けばルーカスさんしか出来なかった事を簡単にやってのけたんだからね」
「・・・」
エドガーはまだ驚きから立ち直れず、言葉も出なかった。
「一応言っておくけど…彼女に手を出すのは自殺行為だよ、エドガー。今回だって、もしもソニアちゃんが違う反応をしていたら今頃は…分かるよね?…僕はこれを機に心を入れ替える事を勧める」
ルイは彼に忠告する。続けてコンゴも。
「俺もルイと同じ意見だぜ。今はまだ放置されてても、いつまでも治らないようならボスにだって考えがあるはずだ。普段は部下を大事にしてくれるが、ボスはいざとなればとことん冷酷にだってなれる。…お前だって知ってんだろ」
2人は、トラブルメーカーの奥に隠された本当の彼を知る数少ない先輩であり、友である。もちろんレドモンドとルーカスだって分かっている。だが密な時間を過ごした事のあるルイとコンゴにはやはり及ばないのだ。
だからこそ心からエドガーを心配し、今までも何度となく繰り返し言ってきた言葉を告げた。
「ルイさん…コンゴさん…ありがとう、ございます」
その夜、エドガーの部屋の灯りが消える事は無かった。
何十年か前、グラベット入りしたばかりだったエドガーは暫くここで過ごした。すでに側近となっていたルイとコンゴは彼の教育係だったのだ。飲み込みが早くて要領も良く、仕事は順調に覚えた。だが女癖の悪さはいくら忠告しても若干マシになっただけで治るには至らず、その頃から女絡みのトラブルが多かった。
まあ、エドガーがこういう性格になったのには、彼の複雑な立場や育った環境にも多分な原因があるのだが。
「しっかしお前もよくトラブルばっか起こすな。しかも今回の被害者はソニアちゃんだぜ?よくボコられずに済んだな」
コンゴは差し入れとして持ってきた骨付き肉に自らかぶりついた。
「…ほんとだよ。少し痛い目に遭えばいいのに」
エドガーを睨むルイ。
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「やられたのはソニアちゃんなのに、怒らなかったのか?」
「…怒ってなかったわけじゃないと思いますよ。でも…怒鳴ったり、泣き喚いたりもしなくて…力は自慢したりするものじゃない、と言われただけでした」
「へえ…」
「・・・」
コンゴは感心したように声を漏らし、ルイは黙っている。
「かなり年下のはずなのに…何だか諭された気分です。彼女は何者なんです?…オレの知ってる女って生き物とはかなり違う。結構な衝撃を受けましたよ」
「ソニアちゃんをただの女性だとは思わない方が良い。彼女は怒りで覇気を放った状態のボスを止められる人だ」
答えたのはルイ。コンゴは以前その話を聞いたので驚かない。が、エドガーは驚愕に眼を見開いていた。
「…まさか…本当に…?」
独り言のように呟く。
「俺も初めて聞いた時は耳を疑ったぜ。だがよ、ルイとビスタもその場に居てボスの覇気を浴びてんだ。信じられないような話だが事実だろうよ」
「事実だよ。目にした僕も、さすがはグラベットのボスとNo.2の妻だとしか言いようが無い。今まで、先代を除けばルーカスさんしか出来なかった事を簡単にやってのけたんだからね」
「・・・」
エドガーはまだ驚きから立ち直れず、言葉も出なかった。
「一応言っておくけど…彼女に手を出すのは自殺行為だよ、エドガー。今回だって、もしもソニアちゃんが違う反応をしていたら今頃は…分かるよね?…僕はこれを機に心を入れ替える事を勧める」
ルイは彼に忠告する。続けてコンゴも。
「俺もルイと同じ意見だぜ。今はまだ放置されてても、いつまでも治らないようならボスにだって考えがあるはずだ。普段は部下を大事にしてくれるが、ボスはいざとなればとことん冷酷にだってなれる。…お前だって知ってんだろ」
2人は、トラブルメーカーの奥に隠された本当の彼を知る数少ない先輩であり、友である。もちろんレドモンドとルーカスだって分かっている。だが密な時間を過ごした事のあるルイとコンゴにはやはり及ばないのだ。
だからこそ心からエドガーを心配し、今までも何度となく繰り返し言ってきた言葉を告げた。
「ルイさん…コンゴさん…ありがとう、ございます」
その夜、エドガーの部屋の灯りが消える事は無かった。
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