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ロドリオット3
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「彼女は婚約破棄をされたばかりで傷心のはずだろう。そんな相手に詰め寄るなんて、常識知らずにもほどがある。よくそれで友人を名乗れたものだな」
ロドリオットがぎろりと令嬢たちを睨むと、彼女たちも怯んだ。
それはそうだろう。
なにしろロドリオットは隣国の国軍元帥の息子だ。その眼光はそうとうに怖い。
「む、無関係の方が口出しをなさらないでくださる? だいたいロドリオット様はこの国の人間ではないではありませんか!」
「それがなんだ?」
「……っ」
「俺もリオナの友人だと自負していてな。友人が理不尽に殴られそうになっていたから庇っただけのことだ。それに周りを見てみろ」
ロドリオットが周囲を見回し、令嬢たちもそれにならう。
そしてようやく彼女たちは、周囲の迷惑そうな視線に気づいたようだった。
「ふ、ふん! 行きますわよ、みんな!」
リーダー格の令嬢がそう言うと、令嬢たちは慌ただしく去っていった。
彼女たちが去っていくと、ロドリオットは振り向いてくる。
その表情はやっぱり目つきが鋭くはあったけれど、私を心配してくれる雰囲気が伝わるものだった。
「大丈夫か、リオナ?」
「ええ、殴られたりもしていないわ。助けてくれてありがとう、ロドリオット」
「大したことはしていない」
ロドリオットと私は入学当初からの付き合いがある。
というのも、本来ロドリオットはレンバート殿下と親しくするはずだったのだ。
隣国の要人なのだから、不慣れなこの国での暮らしを殿下がフォローするのは、王族としての義務だった。
しかしレンバート殿下はマリアナとの逢瀬を優先してそれを放棄した。
学内での講義の申し込みなど、困っているロドリオットを助けたことがきっかけで、私は彼と友人として接するようになっていた。
もちろん、レンバート殿下と婚約していた私は不必要に関わることはしなかったけれど。
「……本当に大丈夫だろうな?」
「だ、大丈夫ですよ」
「お前は無理をする悪癖があるから心配だ。前も王妃教育を詰め込まれて、過労で倒れかけたことがあっただろう」
そう言いながらロドリオットが私の顔を覗き込んでくる。
他意がないとはわかっているけれど、整った顔立ちが間近に迫って心臓が跳ねる。
私は思わず両手で彼をブロックする。
「ち、近いですから」
「ああ、すまない」
ロドリオットは大人しく離れた。
まったく、この人はもう少し自分の外見を自覚してほしい。
国軍元帥の息子だからといって、剣ばかり振っているとそういう部分がおろそかになるのだろうか。
ロドリオットがぎろりと令嬢たちを睨むと、彼女たちも怯んだ。
それはそうだろう。
なにしろロドリオットは隣国の国軍元帥の息子だ。その眼光はそうとうに怖い。
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「それがなんだ?」
「……っ」
「俺もリオナの友人だと自負していてな。友人が理不尽に殴られそうになっていたから庇っただけのことだ。それに周りを見てみろ」
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「大丈夫か、リオナ?」
「ええ、殴られたりもしていないわ。助けてくれてありがとう、ロドリオット」
「大したことはしていない」
ロドリオットと私は入学当初からの付き合いがある。
というのも、本来ロドリオットはレンバート殿下と親しくするはずだったのだ。
隣国の要人なのだから、不慣れなこの国での暮らしを殿下がフォローするのは、王族としての義務だった。
しかしレンバート殿下はマリアナとの逢瀬を優先してそれを放棄した。
学内での講義の申し込みなど、困っているロドリオットを助けたことがきっかけで、私は彼と友人として接するようになっていた。
もちろん、レンバート殿下と婚約していた私は不必要に関わることはしなかったけれど。
「……本当に大丈夫だろうな?」
「だ、大丈夫ですよ」
「お前は無理をする悪癖があるから心配だ。前も王妃教育を詰め込まれて、過労で倒れかけたことがあっただろう」
そう言いながらロドリオットが私の顔を覗き込んでくる。
他意がないとはわかっているけれど、整った顔立ちが間近に迫って心臓が跳ねる。
私は思わず両手で彼をブロックする。
「ち、近いですから」
「ああ、すまない」
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まったく、この人はもう少し自分の外見を自覚してほしい。
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