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第4章
094.フラットルーム
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「ここなんてどう?」
駅から数分ほど離れた大通り沿い。
2学期も始まって9月と言えどもまだまだ気温は高いくらいだ。
きっと日焼け止めを塗っているのだろうが、この暑さの中直射日光の降り注ぐ道を長く歩くわけにはいかない。俺は近場にある適当なカラオケ店を前にして彼女に問いかける。
「はい。慎也さんのオススメとなれば」
そう柔和に微笑まれる姿に少し頬が赤くなる。
場所を完全に任せてくれる全幅の信頼。彼女との信頼を気づけてることに小躍りしたくなるところをすんでで抑え、ともに店へと入っていく。
二人して自動ドアをくぐると、店内には最近の音楽がBGMとして流れていた。
ゲーセンのようなゴチャゴチャとした音の数々。賑やかではあるが見渡す限り人は居ない。
最悪のパターン、男の人が大勢精算に集まってるとかの事態になっていなくてホッとする。もしそうだったとしたら今すぐ引き返して、炎天下の中また別のお店を探すことになっていただろう。
「大変です!慎也さん!!」
「はい?」
ふと人の少なさに安堵していると、隣の彼女が少し興奮した様子で握られた手を引っ張ってきた。
彼女は辺りを見渡しながら真剣な表情でこちらを見上げる。
「ここ、受付がありません!これじゃ入室できませんよっ!」
「あーー……」
何事か……!?と思ったが、その言葉を受けて得心がいった。そっか、この店は始めてか。
慌てる彼女に大丈夫と告げて受付の機械まで連れて行く。
「この店は無人受付なんだ。時間の指定とか精算とかは全部この機械でやるんだよ」
「そ……そうなんですか?すみません取り乱しちゃって……」
「初めてなんだね。俺はアプリも入れてるからやっておくよ。フリータイムでいいよね?」
そんな承諾ももらいつつタッチパネルを操作して受付を進めていく。
彼女からは背を向けつつ、その頬は緩みきっていた。取り乱しても可愛いとか最強か。と。
「――――よし。部屋は3階だしエレベーターでいこっか。ドリンクも上にあるはずだよ」
「助かりました。ありがとうございます」
エレベーターも少し奥まったところにあったから俺が先導して向かうと彼女もピッタリと横について歩いてくる。
きっと上で誰か利用しているのだろう。ボタンを押しても一向に変わる気配の無い表示盤を眺めていたら、その手の甲が何度も何かにぶつかる感触に襲われた
「…………?」
犯人は言うまでもない、アイさんだ。
彼女は手を見ているようで頭を伏せながらその手を何度も俺に絡ませようとしてすぐ引っ込めている。
手の甲に当たるのはその副産物だがどうやら彼女は気づいていないようだ。
もしかして手を握ろうとしているのか……。
これで間違っていたら恥ずかしいことこの上ないが、きっとそうだろうと奮起して自ら手を伸ばす。
狙うは彼女が絡ませようと手を動かしたタイミング。横目で様子を伺いながら、距離が近くなったところで震える手をそっとすくい取る。
「あっ…………」
「その、アイさん・握ってていい、かな?」
「……はい。嬉しいです……ありがとうございます」
どうやら間違っていなかったようだ。
本当に小さくだがお礼を言ってくる声が聞こえてくる。
その後ニギニギと手の感触を確かめるような動きが。
小さくも柔らかい、そして時々触れる腕の感覚に思わずドキドキしてしまう。
爪の先から指の付け根、そして甲の骨に触れるようなぞってくる感触と、少し狭い区画で密着しているからかほんのり香ってくる彼女本来の香り。
どうにも彼女の所作は俺の心をくすぐってきて心臓に悪い。
けれどそれを表情に出すわけにもいかず、ただ黙ってカウントダウンする表示盤を注視していく。
チーンと。
無意識の攻勢に耐えているとエレベーターの到着を告げる音が聞こえてきた。
だいぶ待ったが、ようやく乗ることができるのか。これまでの時間も悪くなかったけど。悪くなかったけど辛かった。
「じゃあアイさ…………げっ――――」
適当に降りる人が掃けるのを待って乗り込もうと思ったその時、エレベーターから出てきたのは同じジャージを着込んだ男子の集団だった。
きっと部活帰りかなにかだろう。普段なら何も思わないが今はタイミングが悪い。ここは狭いし男性恐怖症のアイさんが居る。あぁ、こんなことならもう少し時間をずらしていれば。せめて受付してるところに遭遇したら回避出来たものを。
「後ろ、回っていいですか?」
「うん……大丈夫?」
「はい。守ってくださるのなら」
どう切り抜けようか考えていると彼女がスッと背中に回り込んできた。
どうやら彼女はこういうときの対処法も考えていたみたいだ。俺たちの存在を気にもしない集団は、此方を見向きもせずエレベーターから降りてすれ違う。その間ずっと彼女は俺の背中に抱きつくような形をとり、集団と目を合わせること無くやり過ごすことに成功した。
「――――ふぅ。平気?」
「ありがとうございます……なんとか」
顔を見せる彼女は少しだけ目を伏せつつも笑顔だった。
致命的ではなさそうな様子に安堵しつつ二人一緒にエレベーターに乗り込む。
忘れていた。
エレナが言っていた恐怖症が悪化したことを。
どうにも俺が平気だったから楽観視していた部分があったようだ。
彼女はずっと辛い思いをしているのに。克服しようと頑張ってもいるのに。
「慎也さん?」
「あ……あぁ、ごめん。なんでもない」
無言のエレベーター。
ジッと表示板を眺めながら考え事をしていると、いつの間にか目的階にたどり着いていたようだ。
眼の前には開かれた扉。心配そうに見ている顔を悪化させまいとなんでもないようにエレベーターを降りていく。
「ここは……靴を脱ぐタイプなんですね!初めてです!」
「もしかして椅子の部屋ばかりだったの?」
「はいっ!頑張れば横になれそうですね!」
適当に選んだその部屋は椅子ではなくカーペットが敷き詰められたフラットルームだった。
両脇にはクッションが並べられていて中央にはテーブルが。たしかに頑張れば両脇に一人づつくらい眠れそうだろう。テーブルが動かせないのが難点だが。
エレベーターという難所を乗り越えて個室へとたどり着いた彼女は一段とテンションが上がっているようだ。
部屋の隅々を観察していき、ひとしきり見て回った後はこのほうがやりやすいからとライトを消灯して光源をモニターのみに。そしてカーペットに上がった後はクッションを一つ取って抱きかかえる。
「慎也さんも! クッションもビーズで気持ちいいですよ!」
呼ばれるように俺も机を挟んだ反対側に乗り込んでいく。
お、たしかにクッションがふわふわだ。片側に大きいサイズが4つ。計1メートルくらいか。これなら適当に使って眠ることもできそう。
「むっ……慎也さん慎也さん」
「?」
「こっちですよ!」
適当にクッションをかき分けて腰をおろそうとしたところで呼び止められた。
何かと視線を移すとどうやら手招きしている。どうやらこっちに来いと呼んでいるようだ。
「どうしたの?なにか見つけた?」
「慎也さんもこっちで一緒に座りましょ!」
「…………となり?」
「はいっ!」
彼女の声色はいつもより高い。そして輝く笑顔。
どうやらそのテンションは頂点に達しているようだ。
当然、そんな天使のお願いなんて拒否する選択肢など既に無く。俺は誘われるがままに彼女に近づいていく。
「えへへ……やっぱりこのほうが落ち着きますね」
「そう……かな?」
「はい!慎也さんの隣は、落ち着きます」
「…………」
それは世の男性全てを虜にする魔性の言葉だった。
壁を背もたれにしながら机の下に足を伸ばし、ピタリとくっついてくるアイさん。
一方で寄り添われている俺は心臓が破裂しそうだった。
こんなの俺は全然落ち着かない。しかしアイさんは何故男性の俺に近づいてそう言えるのだろうか。本当に俺が男か怪しくなってくる。いや、自分のことは自分がよくわかっている。俺は男だ。決してエレナの言っていたことが真実になりはすまい。
そして今日の本題。寄りかかりながらリラックスしているが、この状態は歌うのには適していない。
モニターは90度横にあり、見ようにも彼女の頭で隠れて非常に見えにくい。
「じゃあ、早速歌いましょうか! え~っと……操作する機械は…………
「そこの机にあるみたいだね。取るからちょっと待ってね」
「あ、慎也さんは座っていてください!私が取りますので――――きゃっ!!」
「えっ…………?アイん―――――!!!!」
彼女が、端末を探そうと立ち上がろうとしたその時だった。
足元に転がっていたのだろう大きなクッションの端を踏みんだ彼女はそのまま足を滑らせてしまい、気づいたときにはその体が俺の方向へと迫ってくる。
気づくのが遅かった。
慌ててその身体を支えようと手をかざそうとするも時すでに遅し。
彼女も支えを探そうと必死だったのか、助けを求めるように俺の肩を掴んでくる。
そんな彼女に俺は重心を移動して支えることすら叶わず、お互いにカーペットへと倒れ込んでしまった。
二人とも、壁やテーブルに頭をぶつけなかったのは不幸中の幸いだろう。
倒れた先は何も置いていない柔らかなカーペット。俺の頭もぶつけたものの、その軟性のお陰で何の痛みもない。
けれどそこから先のことは、きっとアイさんにとっては人生最大の不幸と言えるのだろう。
唯一の幸運といえば彼女の右手は俺の首元の床に、左手は胸元へ。この状態で倒れたのだから怪我という怪我は何一つしていないことは確実だ。
けれどその頭は……………………
お互いに向き合うようになってしまったその顔は、倒れると同時に唇が触れ合ってしまっていた――――。
駅から数分ほど離れた大通り沿い。
2学期も始まって9月と言えどもまだまだ気温は高いくらいだ。
きっと日焼け止めを塗っているのだろうが、この暑さの中直射日光の降り注ぐ道を長く歩くわけにはいかない。俺は近場にある適当なカラオケ店を前にして彼女に問いかける。
「はい。慎也さんのオススメとなれば」
そう柔和に微笑まれる姿に少し頬が赤くなる。
場所を完全に任せてくれる全幅の信頼。彼女との信頼を気づけてることに小躍りしたくなるところをすんでで抑え、ともに店へと入っていく。
二人して自動ドアをくぐると、店内には最近の音楽がBGMとして流れていた。
ゲーセンのようなゴチャゴチャとした音の数々。賑やかではあるが見渡す限り人は居ない。
最悪のパターン、男の人が大勢精算に集まってるとかの事態になっていなくてホッとする。もしそうだったとしたら今すぐ引き返して、炎天下の中また別のお店を探すことになっていただろう。
「大変です!慎也さん!!」
「はい?」
ふと人の少なさに安堵していると、隣の彼女が少し興奮した様子で握られた手を引っ張ってきた。
彼女は辺りを見渡しながら真剣な表情でこちらを見上げる。
「ここ、受付がありません!これじゃ入室できませんよっ!」
「あーー……」
何事か……!?と思ったが、その言葉を受けて得心がいった。そっか、この店は始めてか。
慌てる彼女に大丈夫と告げて受付の機械まで連れて行く。
「この店は無人受付なんだ。時間の指定とか精算とかは全部この機械でやるんだよ」
「そ……そうなんですか?すみません取り乱しちゃって……」
「初めてなんだね。俺はアプリも入れてるからやっておくよ。フリータイムでいいよね?」
そんな承諾ももらいつつタッチパネルを操作して受付を進めていく。
彼女からは背を向けつつ、その頬は緩みきっていた。取り乱しても可愛いとか最強か。と。
「――――よし。部屋は3階だしエレベーターでいこっか。ドリンクも上にあるはずだよ」
「助かりました。ありがとうございます」
エレベーターも少し奥まったところにあったから俺が先導して向かうと彼女もピッタリと横について歩いてくる。
きっと上で誰か利用しているのだろう。ボタンを押しても一向に変わる気配の無い表示盤を眺めていたら、その手の甲が何度も何かにぶつかる感触に襲われた
「…………?」
犯人は言うまでもない、アイさんだ。
彼女は手を見ているようで頭を伏せながらその手を何度も俺に絡ませようとしてすぐ引っ込めている。
手の甲に当たるのはその副産物だがどうやら彼女は気づいていないようだ。
もしかして手を握ろうとしているのか……。
これで間違っていたら恥ずかしいことこの上ないが、きっとそうだろうと奮起して自ら手を伸ばす。
狙うは彼女が絡ませようと手を動かしたタイミング。横目で様子を伺いながら、距離が近くなったところで震える手をそっとすくい取る。
「あっ…………」
「その、アイさん・握ってていい、かな?」
「……はい。嬉しいです……ありがとうございます」
どうやら間違っていなかったようだ。
本当に小さくだがお礼を言ってくる声が聞こえてくる。
その後ニギニギと手の感触を確かめるような動きが。
小さくも柔らかい、そして時々触れる腕の感覚に思わずドキドキしてしまう。
爪の先から指の付け根、そして甲の骨に触れるようなぞってくる感触と、少し狭い区画で密着しているからかほんのり香ってくる彼女本来の香り。
どうにも彼女の所作は俺の心をくすぐってきて心臓に悪い。
けれどそれを表情に出すわけにもいかず、ただ黙ってカウントダウンする表示盤を注視していく。
チーンと。
無意識の攻勢に耐えているとエレベーターの到着を告げる音が聞こえてきた。
だいぶ待ったが、ようやく乗ることができるのか。これまでの時間も悪くなかったけど。悪くなかったけど辛かった。
「じゃあアイさ…………げっ――――」
適当に降りる人が掃けるのを待って乗り込もうと思ったその時、エレベーターから出てきたのは同じジャージを着込んだ男子の集団だった。
きっと部活帰りかなにかだろう。普段なら何も思わないが今はタイミングが悪い。ここは狭いし男性恐怖症のアイさんが居る。あぁ、こんなことならもう少し時間をずらしていれば。せめて受付してるところに遭遇したら回避出来たものを。
「後ろ、回っていいですか?」
「うん……大丈夫?」
「はい。守ってくださるのなら」
どう切り抜けようか考えていると彼女がスッと背中に回り込んできた。
どうやら彼女はこういうときの対処法も考えていたみたいだ。俺たちの存在を気にもしない集団は、此方を見向きもせずエレベーターから降りてすれ違う。その間ずっと彼女は俺の背中に抱きつくような形をとり、集団と目を合わせること無くやり過ごすことに成功した。
「――――ふぅ。平気?」
「ありがとうございます……なんとか」
顔を見せる彼女は少しだけ目を伏せつつも笑顔だった。
致命的ではなさそうな様子に安堵しつつ二人一緒にエレベーターに乗り込む。
忘れていた。
エレナが言っていた恐怖症が悪化したことを。
どうにも俺が平気だったから楽観視していた部分があったようだ。
彼女はずっと辛い思いをしているのに。克服しようと頑張ってもいるのに。
「慎也さん?」
「あ……あぁ、ごめん。なんでもない」
無言のエレベーター。
ジッと表示板を眺めながら考え事をしていると、いつの間にか目的階にたどり着いていたようだ。
眼の前には開かれた扉。心配そうに見ている顔を悪化させまいとなんでもないようにエレベーターを降りていく。
「ここは……靴を脱ぐタイプなんですね!初めてです!」
「もしかして椅子の部屋ばかりだったの?」
「はいっ!頑張れば横になれそうですね!」
適当に選んだその部屋は椅子ではなくカーペットが敷き詰められたフラットルームだった。
両脇にはクッションが並べられていて中央にはテーブルが。たしかに頑張れば両脇に一人づつくらい眠れそうだろう。テーブルが動かせないのが難点だが。
エレベーターという難所を乗り越えて個室へとたどり着いた彼女は一段とテンションが上がっているようだ。
部屋の隅々を観察していき、ひとしきり見て回った後はこのほうがやりやすいからとライトを消灯して光源をモニターのみに。そしてカーペットに上がった後はクッションを一つ取って抱きかかえる。
「慎也さんも! クッションもビーズで気持ちいいですよ!」
呼ばれるように俺も机を挟んだ反対側に乗り込んでいく。
お、たしかにクッションがふわふわだ。片側に大きいサイズが4つ。計1メートルくらいか。これなら適当に使って眠ることもできそう。
「むっ……慎也さん慎也さん」
「?」
「こっちですよ!」
適当にクッションをかき分けて腰をおろそうとしたところで呼び止められた。
何かと視線を移すとどうやら手招きしている。どうやらこっちに来いと呼んでいるようだ。
「どうしたの?なにか見つけた?」
「慎也さんもこっちで一緒に座りましょ!」
「…………となり?」
「はいっ!」
彼女の声色はいつもより高い。そして輝く笑顔。
どうやらそのテンションは頂点に達しているようだ。
当然、そんな天使のお願いなんて拒否する選択肢など既に無く。俺は誘われるがままに彼女に近づいていく。
「えへへ……やっぱりこのほうが落ち着きますね」
「そう……かな?」
「はい!慎也さんの隣は、落ち着きます」
「…………」
それは世の男性全てを虜にする魔性の言葉だった。
壁を背もたれにしながら机の下に足を伸ばし、ピタリとくっついてくるアイさん。
一方で寄り添われている俺は心臓が破裂しそうだった。
こんなの俺は全然落ち着かない。しかしアイさんは何故男性の俺に近づいてそう言えるのだろうか。本当に俺が男か怪しくなってくる。いや、自分のことは自分がよくわかっている。俺は男だ。決してエレナの言っていたことが真実になりはすまい。
そして今日の本題。寄りかかりながらリラックスしているが、この状態は歌うのには適していない。
モニターは90度横にあり、見ようにも彼女の頭で隠れて非常に見えにくい。
「じゃあ、早速歌いましょうか! え~っと……操作する機械は…………
「そこの机にあるみたいだね。取るからちょっと待ってね」
「あ、慎也さんは座っていてください!私が取りますので――――きゃっ!!」
「えっ…………?アイん―――――!!!!」
彼女が、端末を探そうと立ち上がろうとしたその時だった。
足元に転がっていたのだろう大きなクッションの端を踏みんだ彼女はそのまま足を滑らせてしまい、気づいたときにはその体が俺の方向へと迫ってくる。
気づくのが遅かった。
慌ててその身体を支えようと手をかざそうとするも時すでに遅し。
彼女も支えを探そうと必死だったのか、助けを求めるように俺の肩を掴んでくる。
そんな彼女に俺は重心を移動して支えることすら叶わず、お互いにカーペットへと倒れ込んでしまった。
二人とも、壁やテーブルに頭をぶつけなかったのは不幸中の幸いだろう。
倒れた先は何も置いていない柔らかなカーペット。俺の頭もぶつけたものの、その軟性のお陰で何の痛みもない。
けれどそこから先のことは、きっとアイさんにとっては人生最大の不幸と言えるのだろう。
唯一の幸運といえば彼女の右手は俺の首元の床に、左手は胸元へ。この状態で倒れたのだから怪我という怪我は何一つしていないことは確実だ。
けれどその頭は……………………
お互いに向き合うようになってしまったその顔は、倒れると同時に唇が触れ合ってしまっていた――――。
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