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50 本当に臆病な女ね
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「そういえば、兄さんが来たんだってな」
「あぁ、うん、そうなの。急にだったからびっくりしちゃった」
久々にジュリアスが早い時間に帰ってきて嬉しい反面、どんな顔をすればいいかよくわからないマリーリ。
しかもグロウの話題を振っても多少気難しい顔をしたあと「そうらしいな。手間をかけさせてしまってすまなかったな」と労いの言葉をかけてはくれたが、それ以上言及されず話題をブルースのほうに向けたのを見るとあまりグロウの話はしたくないというのがわかる。
ちなみに今日は金曜日ということでジュリアスが一緒に寝る日なのだが、正直このあとどんな顔でどんな気持ちで過ごせばいいのかよくわからなかった。
(キューリスの護衛をやってるって本当?)
聞きたくても聞けない言葉。
聞いたら何かが全部壊れてしまうような気がして、マリーリは喉まで出かけている言葉をグッと飲み込んだ。
(はぁ、本当に臆病な女ね。私)
何でも自信たっぷりで傍若無人に振る舞っていたじゃじゃ馬な私はどこへやら。
今や気弱なただの女だとマリーリは自嘲する。
「どうした? 何かあったのか?」
「いえ。何でも、ないわ……」
言葉に詰まり、相変わらず自分は隠し事が下手だと思いながら俯く。
今この情けない顔をジュリアスには見られたくはなかった。
「こっちを見ろ、マリーリ」
「嫌」
「なぜだ?」
「なんだっていいでしょ、って……ちょ、へぶっ」
頬を掴まれたかと思えば、無理矢理ジュリアスの方に向かされるマリーリ。
手荒い仕打ちに睨むような目つきをすれば、ジュリアスは途端に笑い出す。
「酷い顔だな」
「誰のせいだと……!」
「よし、では甘やかそう」
「は? ちょっと、……や……っ」
急に腰を掴まれたかと思うと、向かい合わせの状態でジュリアスの膝に乗せられる。
顔と顔が近く、しかも抱き合っているときよりも密着してるような感覚に、マリーリはどうしたらよいかわからず、顔を真っ赤にさせていた。
「ジュリアス、何してるの……っ」
「最近すれ違ってばかりだからな。一日一個言うはずの約束も溜まってしまったから強制甘やかしだ」
「何それ、聞いてない!」
「言ってないからな」
ジュリアスはそう言うとマリーリをギュッと抱きしめながら、彼女の胸元に顔を埋め出す。
突然甘えてくるジュリアスに、マリーリはドキドキしながらも彼の背に腕を回した。
「どうしたの、ジュリアス? 何かあった?」
珍しく甘えるような仕草に、なんとなくジュリアスのほうにも何かあったのではないかと思うマリーリ。
彼も彼で頑固だからあまり多くは語らないが、何かあるときはこうして甘えてくると何となくマリーリは察していた。
「……いや、何でもない。だが、こうしていると落ち着く」
「そう? ならいいけど」
優しい手つきでジュリアスの髪を梳く。
相変わらず金色に輝く髪は綺麗で柔らかく、錦糸のように細くていいなぁと自分の太くて毛量が多いストロベリーブロンドの髪と比較して羨ましく思いながら、何度も何度も髪を撫でた。
「俺が甘やかされているな」
「いいんじゃない? たまには。いつも私が甘やかしてもらっているし」
「そうか? なら遠慮なく」
「え、え、何何何何何!?」
ぐいーっとジュリアスの膝の上に座ったまま、押し倒されるようにのし掛かられる。
思いきりバランスを崩して落ちそうになるが、ジュリアスがしっかりと抱きとめてくれているおかげで落ちずに済んでマリーリはホッと胸を撫で下ろすも、アクロバティックな態勢には変わりなく、バタバタとはしたなく脚をバタつかせた。
「ジュリアス!」
「んー?」
「んー? じゃないでしょ!」
「こらこら暴れるな」
「暴れるなって言われてもねぇ! そもそも重いし苦しい!!」
見た目は優男風だが筋肉質なので非常に重い。
しかもギュウギュウとこれでもかと強く抱きしめられれば苦しくて仕方がなかった。
マリーリが抗議しても力は緩まず、未だにジュリアスは彼女の胸元に顔を埋めたままだ。
「なら仕方ない。では、これでどうだ?」
「え? ちょ、ちょ、ちょーーーーーー!?」
今度はそのまま後ろに倒れるジュリアス。
マリーリがジュリアスを押し倒したかのように跨る形になって、彼を見下ろす格好になる。
「何やってるの!」
「はは、髪がぐしゃぐしゃだ」
「なんなのよ、もう。もしかして、酔ってる?」
「……酔ってなどいない」
なんだか言動がさっきから怪しいと思ってジュリアスの口元に顔を近づけると、薄らと香る酒の香りに一気にマリーリはジト目になった。
「もう! 飲んでるんじゃない!」
「言うほど飲んでない」
「やけに甘えてくるからおかしいと思えば」
「俺は別にいつも通りだ」
不貞腐れるように唇を尖らせるジュリアス。
まるで子供のような表情にキュンとするマリーリだが、このままだと何をしでかすかわからないと、とりあえず体勢を変えようと動けば腰を押さえられてしまう。
「何してるの」
「どこへ行く?」
「どこも行かないから、もう早く寝るわよ?」
「まだ寝たくない。久々にマリーリに会えたのだからもっと話したい」
「別に今日でなくてもいいでしょう? 疲れてお酒も回っているなら、早く寝るほうがいいわ」
「嫌だ」
「もう、ジュリアス。子供じゃないんだから……っ!」
マリーリが喋っている最中にジュリアスが彼女を引っ張り、体勢が逆転する。
今度はジュリアスがマリーリに跨る形で、ジュリアスがマリーリを見下ろしていた。
「な、に……して……ん、っ! ジュリ、アス……!?」
覆い被さるようにジュリアスの頭が降ってきて、首元に顔を埋められる。
マリーリは思わず身体を硬直させれば、これ幸いとばかりにジュリアスは首筋に口づけてきた。
「あ、……やめ……っ、……ん……! もぉ!」
「はぁ、マリーリ……っ」
「こら、もう、ダメ……だってばぁ……っ!!」
チュッチュッと耳元で鳴る音や刺激にあわあわとするも、ジュリアスはそのまま首筋ばかり攻めてきて、マリーリはもうどうしたらいいかわからなかった。
そして仕上げとばかりにべろりと思いきり舐められ、「ひゃあ!!」とマリーリが大きく声を上げると、ジュリアスは肩を震わせて笑い出す。
「マリーリは可愛いなぁ」
「なんなのよ、もうさっきから……!!」
「あぁ、可愛い。可愛くて食べてしまいたいくらいだ。かわ……ぐぅ……」
途中で睡魔に負けたのか、どさっとそのままのし掛かられる。
「このタイミングで寝る!? 信っじられない! てか、重ぉぉぉぉぉいいい!!」
押しても引っ張っても起きず。
耳元で呼んでもむにゃむにゃしているだけで動く気配がない。
「全くもう。毎度こうしてなんだかんだと寝ちゃうんだから!」
そうぶつくさ言っているマリーリだが、その表情はとても穏やかだった。
好き、という言葉はなくてもこうして触れ合って仲睦まじくできている事実に蟠りがだんだん薄れていく。
「いつもありがとう、ジュリアス。起きてるときは言えないけど、大好きだからね。……まぁ、重いからできればどいてほしいけど」
結局その後もどうやっても動く気配はなく、マリーリはどうにか抜け出そうとするも途中で力尽きて、そのまま寝てしまうのであった。
「あぁ、うん、そうなの。急にだったからびっくりしちゃった」
久々にジュリアスが早い時間に帰ってきて嬉しい反面、どんな顔をすればいいかよくわからないマリーリ。
しかもグロウの話題を振っても多少気難しい顔をしたあと「そうらしいな。手間をかけさせてしまってすまなかったな」と労いの言葉をかけてはくれたが、それ以上言及されず話題をブルースのほうに向けたのを見るとあまりグロウの話はしたくないというのがわかる。
ちなみに今日は金曜日ということでジュリアスが一緒に寝る日なのだが、正直このあとどんな顔でどんな気持ちで過ごせばいいのかよくわからなかった。
(キューリスの護衛をやってるって本当?)
聞きたくても聞けない言葉。
聞いたら何かが全部壊れてしまうような気がして、マリーリは喉まで出かけている言葉をグッと飲み込んだ。
(はぁ、本当に臆病な女ね。私)
何でも自信たっぷりで傍若無人に振る舞っていたじゃじゃ馬な私はどこへやら。
今や気弱なただの女だとマリーリは自嘲する。
「どうした? 何かあったのか?」
「いえ。何でも、ないわ……」
言葉に詰まり、相変わらず自分は隠し事が下手だと思いながら俯く。
今この情けない顔をジュリアスには見られたくはなかった。
「こっちを見ろ、マリーリ」
「嫌」
「なぜだ?」
「なんだっていいでしょ、って……ちょ、へぶっ」
頬を掴まれたかと思えば、無理矢理ジュリアスの方に向かされるマリーリ。
手荒い仕打ちに睨むような目つきをすれば、ジュリアスは途端に笑い出す。
「酷い顔だな」
「誰のせいだと……!」
「よし、では甘やかそう」
「は? ちょっと、……や……っ」
急に腰を掴まれたかと思うと、向かい合わせの状態でジュリアスの膝に乗せられる。
顔と顔が近く、しかも抱き合っているときよりも密着してるような感覚に、マリーリはどうしたらよいかわからず、顔を真っ赤にさせていた。
「ジュリアス、何してるの……っ」
「最近すれ違ってばかりだからな。一日一個言うはずの約束も溜まってしまったから強制甘やかしだ」
「何それ、聞いてない!」
「言ってないからな」
ジュリアスはそう言うとマリーリをギュッと抱きしめながら、彼女の胸元に顔を埋め出す。
突然甘えてくるジュリアスに、マリーリはドキドキしながらも彼の背に腕を回した。
「どうしたの、ジュリアス? 何かあった?」
珍しく甘えるような仕草に、なんとなくジュリアスのほうにも何かあったのではないかと思うマリーリ。
彼も彼で頑固だからあまり多くは語らないが、何かあるときはこうして甘えてくると何となくマリーリは察していた。
「……いや、何でもない。だが、こうしていると落ち着く」
「そう? ならいいけど」
優しい手つきでジュリアスの髪を梳く。
相変わらず金色に輝く髪は綺麗で柔らかく、錦糸のように細くていいなぁと自分の太くて毛量が多いストロベリーブロンドの髪と比較して羨ましく思いながら、何度も何度も髪を撫でた。
「俺が甘やかされているな」
「いいんじゃない? たまには。いつも私が甘やかしてもらっているし」
「そうか? なら遠慮なく」
「え、え、何何何何何!?」
ぐいーっとジュリアスの膝の上に座ったまま、押し倒されるようにのし掛かられる。
思いきりバランスを崩して落ちそうになるが、ジュリアスがしっかりと抱きとめてくれているおかげで落ちずに済んでマリーリはホッと胸を撫で下ろすも、アクロバティックな態勢には変わりなく、バタバタとはしたなく脚をバタつかせた。
「ジュリアス!」
「んー?」
「んー? じゃないでしょ!」
「こらこら暴れるな」
「暴れるなって言われてもねぇ! そもそも重いし苦しい!!」
見た目は優男風だが筋肉質なので非常に重い。
しかもギュウギュウとこれでもかと強く抱きしめられれば苦しくて仕方がなかった。
マリーリが抗議しても力は緩まず、未だにジュリアスは彼女の胸元に顔を埋めたままだ。
「なら仕方ない。では、これでどうだ?」
「え? ちょ、ちょ、ちょーーーーーー!?」
今度はそのまま後ろに倒れるジュリアス。
マリーリがジュリアスを押し倒したかのように跨る形になって、彼を見下ろす格好になる。
「何やってるの!」
「はは、髪がぐしゃぐしゃだ」
「なんなのよ、もう。もしかして、酔ってる?」
「……酔ってなどいない」
なんだか言動がさっきから怪しいと思ってジュリアスの口元に顔を近づけると、薄らと香る酒の香りに一気にマリーリはジト目になった。
「もう! 飲んでるんじゃない!」
「言うほど飲んでない」
「やけに甘えてくるからおかしいと思えば」
「俺は別にいつも通りだ」
不貞腐れるように唇を尖らせるジュリアス。
まるで子供のような表情にキュンとするマリーリだが、このままだと何をしでかすかわからないと、とりあえず体勢を変えようと動けば腰を押さえられてしまう。
「何してるの」
「どこへ行く?」
「どこも行かないから、もう早く寝るわよ?」
「まだ寝たくない。久々にマリーリに会えたのだからもっと話したい」
「別に今日でなくてもいいでしょう? 疲れてお酒も回っているなら、早く寝るほうがいいわ」
「嫌だ」
「もう、ジュリアス。子供じゃないんだから……っ!」
マリーリが喋っている最中にジュリアスが彼女を引っ張り、体勢が逆転する。
今度はジュリアスがマリーリに跨る形で、ジュリアスがマリーリを見下ろしていた。
「な、に……して……ん、っ! ジュリ、アス……!?」
覆い被さるようにジュリアスの頭が降ってきて、首元に顔を埋められる。
マリーリは思わず身体を硬直させれば、これ幸いとばかりにジュリアスは首筋に口づけてきた。
「あ、……やめ……っ、……ん……! もぉ!」
「はぁ、マリーリ……っ」
「こら、もう、ダメ……だってばぁ……っ!!」
チュッチュッと耳元で鳴る音や刺激にあわあわとするも、ジュリアスはそのまま首筋ばかり攻めてきて、マリーリはもうどうしたらいいかわからなかった。
そして仕上げとばかりにべろりと思いきり舐められ、「ひゃあ!!」とマリーリが大きく声を上げると、ジュリアスは肩を震わせて笑い出す。
「マリーリは可愛いなぁ」
「なんなのよ、もうさっきから……!!」
「あぁ、可愛い。可愛くて食べてしまいたいくらいだ。かわ……ぐぅ……」
途中で睡魔に負けたのか、どさっとそのままのし掛かられる。
「このタイミングで寝る!? 信っじられない! てか、重ぉぉぉぉぉいいい!!」
押しても引っ張っても起きず。
耳元で呼んでもむにゃむにゃしているだけで動く気配がない。
「全くもう。毎度こうしてなんだかんだと寝ちゃうんだから!」
そうぶつくさ言っているマリーリだが、その表情はとても穏やかだった。
好き、という言葉はなくてもこうして触れ合って仲睦まじくできている事実に蟠りがだんだん薄れていく。
「いつもありがとう、ジュリアス。起きてるときは言えないけど、大好きだからね。……まぁ、重いからできればどいてほしいけど」
結局その後もどうやっても動く気配はなく、マリーリはどうにか抜け出そうとするも途中で力尽きて、そのまま寝てしまうのであった。
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