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「いよいよ明日だな」
「そうね。なんだかあっという間だった」
あのあとそれぞれの両親も迎え、久々に大勢で歓談しながらの食事をして過ごした。
酔った父親達はそれぞれ仕事の話や国の行く末の話をし、母親達は結婚式の衣装やメイク、香水や髪飾りに装花のことなどをあーでもないこーでもないと延々と話し合っていた。
そして今日は無礼講だと使用人達もみんな揃って食事を楽しんだ。
メリダは得意のダンスを披露し、あのあがり症なメリダがこんな妖艶なダンスができるのかとみんなは驚き、グウェンは意外なことに歌が上手いらしく即興で歌わされていて、確かにとても上手くまるで歌手のように伸びやかな歌声で大いに盛り上がった。
そして酔ったミヤがマリーリに甘えるように何度もくっつけば、ジュリアスがそれをひっぺがすという繰り返し。
この二人のやりとりは、もはや最近よく目にする光景と化しているのでみんな手出しはせずに微笑みながら眺めていた。
そして夜も更けそれぞれをゲストルームに案内し、使用人達も後片付けは明日に早く起きてしましょうと早々に寝かせて、マリーリは適当に片付けをしたあとジュリアスと一緒に寝室へ向かう。
たくさん飲んで食べて喋って笑って、めいいっぱい楽しく過ごしたせいで部屋に入る前まではあれだけ眠かったというのに、なぜか布団に入ったら目が冴えてしまうマリーリ。
心なしか気持ちが昂って、そわそわと落ち着かなかった。
「明日は早起きしなきゃね」
「そうだな」
「でも、あんまり眠くない……」
「さっきまであんなに欠伸をしていたのに?」
ジュリアスに笑われて膨れるマリーリ。
先程のパーティー中、つい欠伸をしてしまったときどうやらタイミングがダンと同じだったらしいのを彼に見られていたらしい。
その後もマリーリがうとうとしていたら、どうやらダンもうつらうつらしていたようで、「シンクロしてる」とリサに笑われてしまったのだ。
まさか赤子であるダンとシンクロするとは思わず頬を染めれば、マーサとネルフィーネから温かい眼差しを向けられて余計に恥ずかしく思うマリーリは、そのことを掘り返されてまた羞恥が蘇ってきた。
「ジュリアスの意地悪」
「そうやって照れるマリーリが可愛いからな」
「またすぐそういうこと言う」
「本心だからな。で? どうして眠くないんだ?」
腕を引かれてジュリアスの腕の中に包み込まれる。
ジュリアスとこうして触れるのはドキドキしてまだ慣れないものの、体温の高いジュリアスに抱きしめられ彼の匂いを嗅ぐと、なんだかマリーリはとても安心した。
「もう寝たら結婚式だと思うと、なんだか緊張してしまって」
「でもちゃんと寝ないと寝坊助なマリーリは起きれないだろう?」
「それは、そうなんだけど」
正直まだ結婚式ができるという実感がわかないマリーリ。
ブランが浮気して、婚約破棄をして、そのあとジュリアスにプロポーズされて。
あれから約一年間本当に色々なことがあったとしみじみと思うとともに、こうして何度も延期や事件が身近にあると、また何かあったらとちょっとだけ不安も顔を覗かせてくる。
そもそもなんだか最近も幸せすぎてこれは夢なんじゃないかと、朝起きるたびに思うことも多かった。
そんなことを素直に白状すれば、ジュリアスが嬉しそうに微笑んだ。
「俺も今こうやってマリーリと一緒にいられることが未だに夢みたいだ」
「ジュリアス……」
頬に手を添えられ、そのままゆっくりと口づけられる。
そして、ジュリアスに甘えるようにマリーリが抱きつけば、頬や額に何度も口づけを落とされた。
愛しくて愛しくて堪らない。
こんなに人を好きになれるとはマリーリ自身も思ってもみなかった。
「ずっとずっと早くマリーリを本当の妻にしたかった。色々と時間はかかってしまって今更だと思うかもしれないが、改めて……マリーリ、俺と結婚してくれるか?」
「ふふ。もちろん、喜んで」
「ありがとう、愛してる。マリーリ、俺の愛しい妻」
再び唇が重なる。
はかりきれないほどの幸福で胸が満たされ、マリーリは幸せすぎて思わず泣きそうになった。
◇
「もう、こぉら! 起きてください!!」
ガバリッと布団を剥がされる。
寒い、とマリーリが身を縮こませていると「マリーリさまぁ! 起きてくださーーい!!」と耳元で呼ばれて起こされた。
マリーリがむにゃむにゃと顔を上げると、怒ったようなミヤの顔。
ふと横を見ると隣にはジュリアスの姿はなく、自分しかベッドにいなかった。
その状況に「あれ、ジュリアスは……あれ?」と焦り始めるマリーリ。
(もしかして全部夢、とかじゃないわよね……)
思わず全部夢だったんじゃ、とマリーリが泣きそうな顔をすれば「泣くのはまだ早い!」とミヤにピシャリと言われる。
「へ?」
「これから結婚式ですよ!? 今泣いてどうするんです! てか、化粧するのに困るんで、まだ泣かないでください!!」
「え? あれ、私、結婚式……?」
「何を寝ぼけてるんです。これから結婚式でしょう!?」
「はっ、そうだった! あれ、……ジュリアスは?」
「もうとっくに起きて準備していますよ。もう、ジュリアスさまったらマリーリはまだ寝かせておいてくれ、ってすぐに甘やかすんだから。ほら、髪結と化粧と着替え! 今日は最っ高に美しくしますから、ちゃっちゃと動く!」
「へ? あ、は、はい!」
ミヤに応えるようにマリーリは大きな声で返事をし、バタバタと用意をし始めると「あぁ、夢じゃなかったのか」とだんだんと実感してくる。
そんなマリーリを見ながらミヤは幸せそうに微笑んだ。
「今まであった悪いこと全部吹っ飛ぶくらいこれから幸せになるんですから、まずは結婚式というスタートラインから成功させますよ」
「スタートライン……」
そうか、まだ自分はスタートラインに立ったばかりなのか、と改めて実感するマリーリ。
そして今日からジュリアスの正式な妻になるのだと思うと身が引き締まるような気がした。
「そうですよ。まだまだ幸せになってもらわないと困りますからね。今日からはマリーリ・フィーロではなく、マリーリ・バードとしての新たな門出なんですから」
終
「そうね。なんだかあっという間だった」
あのあとそれぞれの両親も迎え、久々に大勢で歓談しながらの食事をして過ごした。
酔った父親達はそれぞれ仕事の話や国の行く末の話をし、母親達は結婚式の衣装やメイク、香水や髪飾りに装花のことなどをあーでもないこーでもないと延々と話し合っていた。
そして今日は無礼講だと使用人達もみんな揃って食事を楽しんだ。
メリダは得意のダンスを披露し、あのあがり症なメリダがこんな妖艶なダンスができるのかとみんなは驚き、グウェンは意外なことに歌が上手いらしく即興で歌わされていて、確かにとても上手くまるで歌手のように伸びやかな歌声で大いに盛り上がった。
そして酔ったミヤがマリーリに甘えるように何度もくっつけば、ジュリアスがそれをひっぺがすという繰り返し。
この二人のやりとりは、もはや最近よく目にする光景と化しているのでみんな手出しはせずに微笑みながら眺めていた。
そして夜も更けそれぞれをゲストルームに案内し、使用人達も後片付けは明日に早く起きてしましょうと早々に寝かせて、マリーリは適当に片付けをしたあとジュリアスと一緒に寝室へ向かう。
たくさん飲んで食べて喋って笑って、めいいっぱい楽しく過ごしたせいで部屋に入る前まではあれだけ眠かったというのに、なぜか布団に入ったら目が冴えてしまうマリーリ。
心なしか気持ちが昂って、そわそわと落ち着かなかった。
「明日は早起きしなきゃね」
「そうだな」
「でも、あんまり眠くない……」
「さっきまであんなに欠伸をしていたのに?」
ジュリアスに笑われて膨れるマリーリ。
先程のパーティー中、つい欠伸をしてしまったときどうやらタイミングがダンと同じだったらしいのを彼に見られていたらしい。
その後もマリーリがうとうとしていたら、どうやらダンもうつらうつらしていたようで、「シンクロしてる」とリサに笑われてしまったのだ。
まさか赤子であるダンとシンクロするとは思わず頬を染めれば、マーサとネルフィーネから温かい眼差しを向けられて余計に恥ずかしく思うマリーリは、そのことを掘り返されてまた羞恥が蘇ってきた。
「ジュリアスの意地悪」
「そうやって照れるマリーリが可愛いからな」
「またすぐそういうこと言う」
「本心だからな。で? どうして眠くないんだ?」
腕を引かれてジュリアスの腕の中に包み込まれる。
ジュリアスとこうして触れるのはドキドキしてまだ慣れないものの、体温の高いジュリアスに抱きしめられ彼の匂いを嗅ぐと、なんだかマリーリはとても安心した。
「もう寝たら結婚式だと思うと、なんだか緊張してしまって」
「でもちゃんと寝ないと寝坊助なマリーリは起きれないだろう?」
「それは、そうなんだけど」
正直まだ結婚式ができるという実感がわかないマリーリ。
ブランが浮気して、婚約破棄をして、そのあとジュリアスにプロポーズされて。
あれから約一年間本当に色々なことがあったとしみじみと思うとともに、こうして何度も延期や事件が身近にあると、また何かあったらとちょっとだけ不安も顔を覗かせてくる。
そもそもなんだか最近も幸せすぎてこれは夢なんじゃないかと、朝起きるたびに思うことも多かった。
そんなことを素直に白状すれば、ジュリアスが嬉しそうに微笑んだ。
「俺も今こうやってマリーリと一緒にいられることが未だに夢みたいだ」
「ジュリアス……」
頬に手を添えられ、そのままゆっくりと口づけられる。
そして、ジュリアスに甘えるようにマリーリが抱きつけば、頬や額に何度も口づけを落とされた。
愛しくて愛しくて堪らない。
こんなに人を好きになれるとはマリーリ自身も思ってもみなかった。
「ずっとずっと早くマリーリを本当の妻にしたかった。色々と時間はかかってしまって今更だと思うかもしれないが、改めて……マリーリ、俺と結婚してくれるか?」
「ふふ。もちろん、喜んで」
「ありがとう、愛してる。マリーリ、俺の愛しい妻」
再び唇が重なる。
はかりきれないほどの幸福で胸が満たされ、マリーリは幸せすぎて思わず泣きそうになった。
◇
「もう、こぉら! 起きてください!!」
ガバリッと布団を剥がされる。
寒い、とマリーリが身を縮こませていると「マリーリさまぁ! 起きてくださーーい!!」と耳元で呼ばれて起こされた。
マリーリがむにゃむにゃと顔を上げると、怒ったようなミヤの顔。
ふと横を見ると隣にはジュリアスの姿はなく、自分しかベッドにいなかった。
その状況に「あれ、ジュリアスは……あれ?」と焦り始めるマリーリ。
(もしかして全部夢、とかじゃないわよね……)
思わず全部夢だったんじゃ、とマリーリが泣きそうな顔をすれば「泣くのはまだ早い!」とミヤにピシャリと言われる。
「へ?」
「これから結婚式ですよ!? 今泣いてどうするんです! てか、化粧するのに困るんで、まだ泣かないでください!!」
「え? あれ、私、結婚式……?」
「何を寝ぼけてるんです。これから結婚式でしょう!?」
「はっ、そうだった! あれ、……ジュリアスは?」
「もうとっくに起きて準備していますよ。もう、ジュリアスさまったらマリーリはまだ寝かせておいてくれ、ってすぐに甘やかすんだから。ほら、髪結と化粧と着替え! 今日は最っ高に美しくしますから、ちゃっちゃと動く!」
「へ? あ、は、はい!」
ミヤに応えるようにマリーリは大きな声で返事をし、バタバタと用意をし始めると「あぁ、夢じゃなかったのか」とだんだんと実感してくる。
そんなマリーリを見ながらミヤは幸せそうに微笑んだ。
「今まであった悪いこと全部吹っ飛ぶくらいこれから幸せになるんですから、まずは結婚式というスタートラインから成功させますよ」
「スタートライン……」
そうか、まだ自分はスタートラインに立ったばかりなのか、と改めて実感するマリーリ。
そして今日からジュリアスの正式な妻になるのだと思うと身が引き締まるような気がした。
「そうですよ。まだまだ幸せになってもらわないと困りますからね。今日からはマリーリ・フィーロではなく、マリーリ・バードとしての新たな門出なんですから」
終
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