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第Ⅱ章

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「ありがとう」
「もう落ち着いた?」
 僕は小さく頷く。それからもう一度、体を横に倒す。なんだかとても疲れた。母さんが僕に毛布をかけてくれる。毛布は母さんの手みたいに温かい。身体がひどくダルい。茹で過ぎたパスタみたいに全身に力が入らない。
「おやすみ」
 遠くから、母さんの優しい声が聞こえる。おやすみなさい。朦朧とする意識の中で僕はそう、心の中で言った。
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