勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」

そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。

外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。

そして迎えた舞踏会の夜。

「便利だったが、飾りには向かん」

公開婚約破棄。

それならば、とレイナは微笑む。

「では業務も終了でよろしいですね?」

王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。

保証を外し、責任を返し、
そして最後に――

「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。

国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。

働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。

静かな契約ざまぁ劇、開幕。


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