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異世界生活
異世界(アルホンス)
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学友であり、親友。そして、上司でもあるジャディールに呼び出された。
ユウリの護衛任務を遂行し、『運命の番』である彼女に自分を意識させながら愛でていきたい。もっとさらに進んでいきたいと思っていた矢先の呼び出しだ。
彼女のそばに居たい事は、知っているはずだし、理解もされているはずだ。
竜人族特有の執着もあるから。
だが、この世界の起こっている危機的状態も理解できる。
多分、そっちの呼び出しだろう。
ジャディールはアステード王国王弟。
前王が早くから王位を彼の兄に譲って、竜人族では早い王弟殿下となった。
その職務は多いが、今回俺について来ていた。
その時々で、俺達は人称を変えているから、特に気にする事はない。
ノックして入室すると、かなり険しい顔の殿下がいた。
「お呼びでしょうか」
そう言って、この屋敷で間借りしている執務室に入る。
机の上にには山のような書類が積み上げられている。
兄の補佐もしているこの男は、昔からかなり優秀だ。
ついてこなくてもいい、国で仕事を頑張って欲しいとも伝えておいたが、面白そうだし、親友として協力もしたいとついて来たんだ。
仕事もついて来たが…
「あぁ、少し厄介な事があってね」
この顔は…面倒事か…
「ちょっと見てくれ」
そう言って渡された書類。
この国の皇太子からの極秘書類だ。
「これは…」
「あぁ、身内が問題を起こそうとしているようだ。しかも、あの場所に居たらしい。で、どう言う手を使ったのか彼女の生存を知ったようだ。それだけならまだどうにかできそうだったんだけどね。問題はこれとこれ」
そう言って渡された書類。
問題人物は二人。
その中の一人は、彼女の存在に気がついて、手に入れようとする可能性が高い事。
手に入れて、その後は…
腹立たしい…。彼女は実験体でも何でもない。なのに、研究と称して…
もう一つは、私にか…
これは、あり得ない事だ。
私には彼女がいる。
私の相手は彼女だけだ。
これだから…
大きなため息をつく。
「まぁ、気持ちは大いに分かるよ。で、この一人、こっちがこの屋敷に来るらしい。かなりのゴリ押しで向こうも止められそうにないと言って来た。迷惑をかけるが、対処をよろしくと… 丸投げだね…」
そう言って、困ったように態度で示して来た。
イライラしてくる。
もういっその事、こいつらを密かに消しても良いだろうか…
誰にも気づかれぬように消し去る計画を立てようとしたら、『やめとけ』と言われた。
そうでなくても、瘴気問題で、例の扉がかなり怪しい状態なんだ。
この世界の危機的状態。
聖女巡礼が始まり、順次浄化している最中だが、まだまだのこの状態で、国同士の問題に発展してはまずい。
いくら極秘で消し去る事ができても…
「で、どうしろと?彼女を悲しませる事はしたくないし、危険にも晒させるつもりもないが」
「そうなんだけどね…ここの領主と、彼女の上司。この二人にも協力してもらって面倒だがとりあえず受け入れる事になった。直ぐに帰ってもらう方針だが…君を指名して来たから、頼むよ」
一度国に戻って用事を済ませ、急いで戻って今から彼女の側に付いていられれるはずだったのに、客人の相手か…
「来る者が、彼女に接近する可能性が高い。下手すれば危害を加えてくる可能性も大いにある。だから頼む。私も協力するから」
ジャディールに頭を下げられてしまった。
我が国の王弟殿下にここまでされては、騎士として否とは言えなかった。
この事は彼女に伏せておくとも言われ、何とも言えない。
しかも、明日にはその者がこの領地に到着するとの事。
皇太子から、転移陣の使用は拒否されたらしく、その理由はわからないが、とにかく時間をかけさ、諦めさせようとしたらしい。
無駄に終わったらしいが…
そして、腹立たしいが、ユウリの身を護為、彼女の部屋を変更する事になったらしい。
今に部屋は、南向きの庭や他の景色がよく見えて、警備上もいい場所だった。
が、今回のことで、相手側を常に警備という名の監視目的でその部屋を使うから、別館に改めて用意したと言っていた。
この屋敷の別館であるから、侍女とこの屋敷の護衛数名はそのまま付けれるが、他の使用人はこの屋敷に留まるから、彼女には少し不便な思いをさせてしまうと言う。
仕方ないことではあるが……
グッと握り拳に力を入れて、無理矢理納得させた。
ユウリの護衛任務を遂行し、『運命の番』である彼女に自分を意識させながら愛でていきたい。もっとさらに進んでいきたいと思っていた矢先の呼び出しだ。
彼女のそばに居たい事は、知っているはずだし、理解もされているはずだ。
竜人族特有の執着もあるから。
だが、この世界の起こっている危機的状態も理解できる。
多分、そっちの呼び出しだろう。
ジャディールはアステード王国王弟。
前王が早くから王位を彼の兄に譲って、竜人族では早い王弟殿下となった。
その職務は多いが、今回俺について来ていた。
その時々で、俺達は人称を変えているから、特に気にする事はない。
ノックして入室すると、かなり険しい顔の殿下がいた。
「お呼びでしょうか」
そう言って、この屋敷で間借りしている執務室に入る。
机の上にには山のような書類が積み上げられている。
兄の補佐もしているこの男は、昔からかなり優秀だ。
ついてこなくてもいい、国で仕事を頑張って欲しいとも伝えておいたが、面白そうだし、親友として協力もしたいとついて来たんだ。
仕事もついて来たが…
「あぁ、少し厄介な事があってね」
この顔は…面倒事か…
「ちょっと見てくれ」
そう言って渡された書類。
この国の皇太子からの極秘書類だ。
「これは…」
「あぁ、身内が問題を起こそうとしているようだ。しかも、あの場所に居たらしい。で、どう言う手を使ったのか彼女の生存を知ったようだ。それだけならまだどうにかできそうだったんだけどね。問題はこれとこれ」
そう言って渡された書類。
問題人物は二人。
その中の一人は、彼女の存在に気がついて、手に入れようとする可能性が高い事。
手に入れて、その後は…
腹立たしい…。彼女は実験体でも何でもない。なのに、研究と称して…
もう一つは、私にか…
これは、あり得ない事だ。
私には彼女がいる。
私の相手は彼女だけだ。
これだから…
大きなため息をつく。
「まぁ、気持ちは大いに分かるよ。で、この一人、こっちがこの屋敷に来るらしい。かなりのゴリ押しで向こうも止められそうにないと言って来た。迷惑をかけるが、対処をよろしくと… 丸投げだね…」
そう言って、困ったように態度で示して来た。
イライラしてくる。
もういっその事、こいつらを密かに消しても良いだろうか…
誰にも気づかれぬように消し去る計画を立てようとしたら、『やめとけ』と言われた。
そうでなくても、瘴気問題で、例の扉がかなり怪しい状態なんだ。
この世界の危機的状態。
聖女巡礼が始まり、順次浄化している最中だが、まだまだのこの状態で、国同士の問題に発展してはまずい。
いくら極秘で消し去る事ができても…
「で、どうしろと?彼女を悲しませる事はしたくないし、危険にも晒させるつもりもないが」
「そうなんだけどね…ここの領主と、彼女の上司。この二人にも協力してもらって面倒だがとりあえず受け入れる事になった。直ぐに帰ってもらう方針だが…君を指名して来たから、頼むよ」
一度国に戻って用事を済ませ、急いで戻って今から彼女の側に付いていられれるはずだったのに、客人の相手か…
「来る者が、彼女に接近する可能性が高い。下手すれば危害を加えてくる可能性も大いにある。だから頼む。私も協力するから」
ジャディールに頭を下げられてしまった。
我が国の王弟殿下にここまでされては、騎士として否とは言えなかった。
この事は彼女に伏せておくとも言われ、何とも言えない。
しかも、明日にはその者がこの領地に到着するとの事。
皇太子から、転移陣の使用は拒否されたらしく、その理由はわからないが、とにかく時間をかけさ、諦めさせようとしたらしい。
無駄に終わったらしいが…
そして、腹立たしいが、ユウリの身を護為、彼女の部屋を変更する事になったらしい。
今に部屋は、南向きの庭や他の景色がよく見えて、警備上もいい場所だった。
が、今回のことで、相手側を常に警備という名の監視目的でその部屋を使うから、別館に改めて用意したと言っていた。
この屋敷の別館であるから、侍女とこの屋敷の護衛数名はそのまま付けれるが、他の使用人はこの屋敷に留まるから、彼女には少し不便な思いをさせてしまうと言う。
仕方ないことではあるが……
グッと握り拳に力を入れて、無理矢理納得させた。
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