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8.5話 報告:月明かりが綺麗でございました。
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こうして私は寮へと帰って来ました。
軽く掃除などをしていると、お嬢様もお戻りになられました。何やご機嫌のご様子。
お聞きすると、本日は純粋に楽しかったとのこと。ファイツ様がキョロキョロし過ぎて、看板に頭をぶつけていたこと。ルーカス様のクレープが微妙なお味で、お顔が面白かったことなど、楽しそうに今日の出来事を話してくださいました。
こうしてみると年相応の少女でございますね。いつも大人びた雰囲気でいらっしゃいますので、今のお顔を見ると本当に楽しかったのでしょう。
……ほう、ルーカス様はルー君とファイツ様に呼ばれているのですね。なんて可愛らしい。それでは、お嬢様は?
……おや?さっきまで饒舌だったのに、ピタリと止まりました。お顔も微妙なお顔をされていますね。もしや、変な呼び名を?
……シーちゃん?な、なんと、なんと愛らしいのでしょう!これはぜひ私も呼ばせていただかねば。コホン。シーちゃん。
……おや?どうされたのですか?そんな気持ち悪い虫を見る様なお顔をされて。「だから、言うの嫌だったのよ」?はて、何が嫌だったのでしょうか。
その後、プイッとお部屋を出て行かれたお嬢様は、寮でのご夕食、ご入浴など済まされました。
ご機嫌だったご様子も今では真剣なお顔へ。
そして、夜も深まり、時間となりました。
「そろそろ時間ね」
「はい、お嬢様。では、行ってまいります」
「ええ、頼んだわよ」
さて。それでは、そろそろ向かいましょうか。
「……本当にお前だったのかよ」
「おやおや、覚えていてくださったとは。感激でございます」
月明かりが照らす、男子寮の屋上。そこで、私を待っていたのは一人の男子学生。以前お会いした時と同じ状況。こう見れば、やはりそうでございましたね。
「お前みたいな強烈な奴、誰が忘れるかよ」
「それは光栄でございます。私も貴方様を忘れることはございませんでした。ルーカス=ウィル。いえ、英雄イリアス=ノヴァ」
照らされたその姿はルーカス=ウィル。しかし、彼の正体はあの英雄イリアス=ノヴァ。姿形は違えど、その佇まいは変わりませんね。
「あの時のお前の予言通りになったな」
「ええ、少し予想外の形でしたが」
数年前の彼との出会い。あの時、また彼とは後に再会することになると感じておりましたが、まさかこんな形でとは。世の中には、色んなことがございますね。
「それで。あのお嬢様が言ってる、魔王を倒すってのは本気か?」
「はい、お嬢様は本気でございます。ぜひ、貴方様のお力もお借りしたいと考えております」
私が仕えていた前魔王ゼラ様を撃退した英雄。二人がかりとは言え、重傷を負わせ、撤退を余儀なくさせるその力。ぜひとも、お嬢様へお力をお貸しいただきたいところ。
「お前から見て、魔王を倒せると思うのか?」
「……それはこの学園生活次第かと」
「学園生活?」
私は彼に素直に目的をお話しました。
「……なるほどな。婚約破棄にスカウトね。全てはそれ次第と」
「はい。ですので、ぜひお力添えをお願いいたします」
お嬢様から全てのカードは切ったと伺っております。こちらの目的も全てお話しいたしました。あとは、彼次第ですね。
「……一つ確認したい」
「はい、何なりと」
「お前は誰の味方だ?」
イリアス様から刺すような視線が私に。
「もちろん、お嬢様、シイナ=スノーガーデン様でございます」
「……嘘じゃねえだろうな」
「はい、もちろん」
その視線が緩まることはありません。視線だけで人を殺せそうでございます。この状況で、……いえ。その問いに対して、どうして私が嘘をつくことなどありましょうか。
「……まあ、いいや。とりあえずは信じる。……でも、生徒に危害加えたら、お前を殺す」
おや、どうやら信じていただけた様です。とんでもない釘を刺されましたが。
「……あの手の奴は止めたって聞かねえんだろうな」
「ええ。お嬢様は意外と頑固な所もございますので。きっと貴方様が何を言おうと止まらないでしょう」
お嬢様は意外と頑固で、意外と子供っぽい所もございます。そこも可愛らしい所でございますが、決心し、もう既に動き出してもいらっしゃいますので、止まることは無いでしょう。
「…………子供だけにそんな危ねえことさせられねえよ。ちゃんと人間の保護者がいねえとな」
「フフッ、それではぜひご引率をお願いいたします。イリアス先生?」
彼の英雄が力を貸してくださる。これは魔王討伐への大きな一歩となるでしょう。
「やめろ。ようやく名前間違えねえようになってきたんだから」
「さようでございますか。そう言えば、何故そのお姿に?」
「まあ、色々あるんだよ」
「お聞きしても?」
「……コソコソ調べられても嫌だしな。前みたいに不法侵入されそうだし」
その後、経緯など一通りのお話しを聞きました。中々面白いお話しですね。
「…………って訳だから、あんま問題起こすなよ」
「はい、かしこまりました」
「……絶対分かってねえだろ。まあ、いいや。お嬢様にもよろしくな」
「ええ、これからよろしくお願いいたしますね。英雄殿」
「はいはい」
ひらひらと手を振り彼は室内へと戻って行きました。さて、私も帰りましょうか。待っていらっしゃるお嬢様へ報告いたしましょう。
充実した一日でしたと。
軽く掃除などをしていると、お嬢様もお戻りになられました。何やご機嫌のご様子。
お聞きすると、本日は純粋に楽しかったとのこと。ファイツ様がキョロキョロし過ぎて、看板に頭をぶつけていたこと。ルーカス様のクレープが微妙なお味で、お顔が面白かったことなど、楽しそうに今日の出来事を話してくださいました。
こうしてみると年相応の少女でございますね。いつも大人びた雰囲気でいらっしゃいますので、今のお顔を見ると本当に楽しかったのでしょう。
……ほう、ルーカス様はルー君とファイツ様に呼ばれているのですね。なんて可愛らしい。それでは、お嬢様は?
……おや?さっきまで饒舌だったのに、ピタリと止まりました。お顔も微妙なお顔をされていますね。もしや、変な呼び名を?
……シーちゃん?な、なんと、なんと愛らしいのでしょう!これはぜひ私も呼ばせていただかねば。コホン。シーちゃん。
……おや?どうされたのですか?そんな気持ち悪い虫を見る様なお顔をされて。「だから、言うの嫌だったのよ」?はて、何が嫌だったのでしょうか。
その後、プイッとお部屋を出て行かれたお嬢様は、寮でのご夕食、ご入浴など済まされました。
ご機嫌だったご様子も今では真剣なお顔へ。
そして、夜も深まり、時間となりました。
「そろそろ時間ね」
「はい、お嬢様。では、行ってまいります」
「ええ、頼んだわよ」
さて。それでは、そろそろ向かいましょうか。
「……本当にお前だったのかよ」
「おやおや、覚えていてくださったとは。感激でございます」
月明かりが照らす、男子寮の屋上。そこで、私を待っていたのは一人の男子学生。以前お会いした時と同じ状況。こう見れば、やはりそうでございましたね。
「お前みたいな強烈な奴、誰が忘れるかよ」
「それは光栄でございます。私も貴方様を忘れることはございませんでした。ルーカス=ウィル。いえ、英雄イリアス=ノヴァ」
照らされたその姿はルーカス=ウィル。しかし、彼の正体はあの英雄イリアス=ノヴァ。姿形は違えど、その佇まいは変わりませんね。
「あの時のお前の予言通りになったな」
「ええ、少し予想外の形でしたが」
数年前の彼との出会い。あの時、また彼とは後に再会することになると感じておりましたが、まさかこんな形でとは。世の中には、色んなことがございますね。
「それで。あのお嬢様が言ってる、魔王を倒すってのは本気か?」
「はい、お嬢様は本気でございます。ぜひ、貴方様のお力もお借りしたいと考えております」
私が仕えていた前魔王ゼラ様を撃退した英雄。二人がかりとは言え、重傷を負わせ、撤退を余儀なくさせるその力。ぜひとも、お嬢様へお力をお貸しいただきたいところ。
「お前から見て、魔王を倒せると思うのか?」
「……それはこの学園生活次第かと」
「学園生活?」
私は彼に素直に目的をお話しました。
「……なるほどな。婚約破棄にスカウトね。全てはそれ次第と」
「はい。ですので、ぜひお力添えをお願いいたします」
お嬢様から全てのカードは切ったと伺っております。こちらの目的も全てお話しいたしました。あとは、彼次第ですね。
「……一つ確認したい」
「はい、何なりと」
「お前は誰の味方だ?」
イリアス様から刺すような視線が私に。
「もちろん、お嬢様、シイナ=スノーガーデン様でございます」
「……嘘じゃねえだろうな」
「はい、もちろん」
その視線が緩まることはありません。視線だけで人を殺せそうでございます。この状況で、……いえ。その問いに対して、どうして私が嘘をつくことなどありましょうか。
「……まあ、いいや。とりあえずは信じる。……でも、生徒に危害加えたら、お前を殺す」
おや、どうやら信じていただけた様です。とんでもない釘を刺されましたが。
「……あの手の奴は止めたって聞かねえんだろうな」
「ええ。お嬢様は意外と頑固な所もございますので。きっと貴方様が何を言おうと止まらないでしょう」
お嬢様は意外と頑固で、意外と子供っぽい所もございます。そこも可愛らしい所でございますが、決心し、もう既に動き出してもいらっしゃいますので、止まることは無いでしょう。
「…………子供だけにそんな危ねえことさせられねえよ。ちゃんと人間の保護者がいねえとな」
「フフッ、それではぜひご引率をお願いいたします。イリアス先生?」
彼の英雄が力を貸してくださる。これは魔王討伐への大きな一歩となるでしょう。
「やめろ。ようやく名前間違えねえようになってきたんだから」
「さようでございますか。そう言えば、何故そのお姿に?」
「まあ、色々あるんだよ」
「お聞きしても?」
「……コソコソ調べられても嫌だしな。前みたいに不法侵入されそうだし」
その後、経緯など一通りのお話しを聞きました。中々面白いお話しですね。
「…………って訳だから、あんま問題起こすなよ」
「はい、かしこまりました」
「……絶対分かってねえだろ。まあ、いいや。お嬢様にもよろしくな」
「ええ、これからよろしくお願いいたしますね。英雄殿」
「はいはい」
ひらひらと手を振り彼は室内へと戻って行きました。さて、私も帰りましょうか。待っていらっしゃるお嬢様へ報告いたしましょう。
充実した一日でしたと。
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