【完結】地味で目立たない眼鏡っ子令嬢の可愛いところは王子様だけが知っている ~その求婚はお断りしたいのですが~

Rohdea

文字の大きさ
4 / 15

4. お断りしたかったのに!

しおりを挟む



  その後、無事に息を吹き返した(死んでないけど)お父様は、目を覚ますなりとんでもない事を口にした。

  何故か私がアーネスト殿下にプロポーズされてしまったので、
  王家と縁が出来るぞ!  と、この話に大喜びで乗っかるのかと思いきや……

「で、で、で、殿下!!  この破壊魔に王子妃は務まりませんとも!  さらに王宮の物を破壊して回ってしまう事でしょう!!  我が家は貧乏伯爵家!  請求書を送られるのだけはご勘弁を……!!」

  
  また、それなの?  お父様。
  眼鏡があれば大丈夫だと言っているのに。
  それと、もっと心配する所があるでしょう!?

  だけど、お父様は何よりも請求書が怖いらしい。(貧乏だから)

  

  ちなみに、アーネスト殿下がお父様のその叫びを聞いて、再び盛大に吹き出したのは言うまでもない。




◇◇◇


  困ったわ。何と切り出したら良いのか分からない……


「……」


  せっかく目覚めたのに再び興奮しているお父様を休ませている間、殿下と二人で王宮の庭を散策しながら過ごす事になってしまった。


  なので先程の謎の求婚プロポーズ……に、お答えしないといけない。
  私は思い切って口を開いた。



「え?  断りたい?」
「はい。不敬を承知で申し上げます。私は殿下の妃にはなれません!」
「どうして?」

  私は首を撥ねられる覚悟でそう話してるのに、当の殿下は怒る事も無くただ純粋に何故?  と、首を傾げて聞いて来た。

  その仕草が妙に可愛くて胸がキュンとしてしまったわ。
  やめて、その母性本能をくすぐるかのような表情は反則よ……!

  ちょっと変な方向に心が傾きかけたけれど、私は私の気持ちをはっきりと伝えなくては。

「我が家は中流の(貧乏)伯爵家ですわ。王家に嫁げるような身分ではありません。領地だって……」
「さすがに平民は難しいけど、それは別に問題は無いよ。それにトリントン伯爵家はどこの派閥にも属してないからむしろ、大歓迎」
「ぐっ!」

  お父様!  なぜどこの派閥にも所属していないのですか!!  心の中で文句を言わせてもらう。

  ダメだわ。トリントン伯爵家のダメな所をあげてもどうにかなる気がしないわ。
  ならば仕方ないわね……

「……です」
「ん?」

  自分で自分を下げるような事は言いたく無かったけれど、背に腹はかえられない。だからここは言わせてもらうわ!



「私は眼鏡です!」


「??  …………えぇと?」


  ──あれ?


  殿下がちょっと眉間にしわを寄せて変な顔になった。
  ……そうね、勢い余って私も言い方がおかしかったかもしれないわね。
  何だか色々足りなかった気がする。


「えーと、コホンッ……殿下も見てお分かりだと思いますが私は眼鏡を掛けています」

  気を取り直して言い直してみた。

「あぁ。うん、そうだね」
「この眼鏡の私を見て、何か思いませんか??」
「可愛い!  とっても似合ってる!!」

  何故か、アーネスト殿下が満面の笑みでそう言った。

「!?!?」

  その突飛な返答に私は言葉を失ってしまった。 
  いったい何を言い出したの、この王子様は!

「にあ……にあっ!?」
「どうしたの?  猫みたいな鳴き声出して」

  アワアワする私に不思議そうな顔をする殿下。
  この方は今の自分の発言の威力が分かっていないらしい。

「そ、そ、そうではなく……て……客観的に、見て、ですね……」
「え?  あぁ、なら視力が悪いって大変そうだよね、かな」

  殿下は全く邪気の無い顔で答えた。
  何ですか、その答えは。……力が抜けるじゃないの。

  でも、そうなのよ!  大変なの。分かってくれるのねー……

  ──って、そうではなくて!

  お父様もお母様もお姉様も妹も……みんな、この眼鏡のせいで私の表情が分かりにくいと口を揃えて言っているのに……!
  婚約者だったロビン様には、そんな理由で婚約解消されているのに!

  この方はそうは思わないの?
  可愛いとか似合ってる……なんて……おかしいわ。

「クリスティーナ嬢、君は思い違いをしているよ」
「思い違い……ですか?」

  ドキッとした。
  アーネスト殿下は突然、私の心を読んだかのように口を開いた。

「君の表情はいつだってすごく表現豊かだよ。その眼鏡があっても無くてもね。だから、僕は眼鏡の有無そんなことなんて一切気にならないんだ」
「!!」

  は、初めてそんな事を言われたわ……!
  そして、それはまさに私が求めていた言葉そのもの……!

  ──って、ちょっと思わぬ発言にときめいてしまったけど、ダメダメ!
  相手は王子様。
  無理よ!  どう考えても無理!
  私がこの方と並ぶなんて無理。

  想像してみて?
  このキラキラ王子と地味眼鏡の私が……ほら、不釣り合い過ぎる。


 
「クリスティーナ嬢」
「は、はい」
「君の事が好きだから求婚した、そう言っても今の君は信じてくれなさそうだ」
「あ、」

  思わず当たり前です!
  と、答えそうになってしまった。

  それよりも、アーネスト殿下は本気で言ってるの?
  胸がドキドキした。
  嘘でも何でも男性にそんな事を言われたのは初めてだったから。

  (ロビン様からは、1度も言われた事が無かったもの……)


「……まぁ、仕方ないよね。なら、僕にもう少しだけチャンスをくれないか」
「チャンス、ですか?」

  この方、今度は何を言い出したの?
  私が首を傾げていると、殿下はさらに続ける。

「お試し期間を設けて欲しい。とりあえずしばらくは僕の婚約者候補って事で僕と一緒に過ごしてもらう。それから僕の求婚を受けるかどうか決めてくれないかな。それならどう?  少しは考えてくれる?」

   殿下の顔はまるで捨てられた子犬のような顔で、私は「それもお断りです!」と言いたくても言えなくなってしまった。


「……お、お試し期間を経て、やっぱり無理です!  と言っても私の首を撥ねないでいてくれますか??」

  ブハッ

  殿下が吹き出した。

「何でそうも物騒な方向に思考が行くのかなぁ?」
「こう見えて、わ、私だって命は惜しいのです」

  そんな事を言い出す方には見えないけれど、念には念を入れておきたいの。

「あははは、命なんて取らないよ!  だって、せっかく…………た……のに」
「え?」

  後半がよく聞き取れなくて顔を上げたら、殿下と目が合った(気がした)

「で、でしたら……き、期間はどうするのです?」
「期間?」

  私は何だか気恥ずかしくなってしまい殿下から目を逸らしながら尋ねた。

「いつまでも、ダラダラとお試し期間などと言って婚約者候補でいたらお互いによくありません」
「あー、まぁ、それはそうだね……」

  アーネスト殿下は、うーんと考え込む。

「なら、3ヶ月後のクリスティーナ嬢の18歳の誕生日。そこを期限にしようか?」
「え?」
「駄目かな?  区切りとしてはちょうど良いと思うのだけど?」
「駄目……ではありませんが……」

  何故、殿下は私の誕生日を知ってるのかしら?
  そんな疑問が頭に浮かんだけれど、きっと今回私を呼び出すにあたって色々調べたからに違いないわね。
  と、勝手に納得する。

「それじゃ、決まりだ。3ヶ月後に良い返事を期待してるよ、クリスティーナ」
「!!」

  殿下は嬉しそうな顔でそう言って、私の手の甲にそっとキスを落とした。



  ───私の誕生日まで約3ヶ月。その日までに私は答えを出さないといけない。



  (断るはずだったのに、うまく丸め込まれた気がする。私がチョロいだけ??)

  

  初めてこの眼鏡姿でも構わないと言ってくれた人が現れたのに。

  困った事にその人は私とはまるで釣り合わないこの国の王子様だった。

しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

転生したら没落寸前だったので、お弁当屋さんになろうと思います。

皐月めい
恋愛
「婚約を破棄してほしい」 そう言われた瞬間、前世の記憶を思い出した私。 前世社畜だった私は伯爵令嬢に生まれ変わったラッキーガール……と思いきや。 父が亡くなり、母は倒れて、我が伯爵家にはとんでもない借金が残され、一年後には爵位も取り消し、七年婚約していた婚約者から婚約まで破棄された。最悪だよ。 使用人は解雇し、平民になる準備を始めようとしたのだけれど。 え、塊肉を切るところから料理が始まるとか正気ですか……? その上デリバリーとテイクアウトがない世界で生きていける自信がないんだけど……この国のズボラはどうしてるの……? あ、お弁当屋さんを作ればいいんだ! 能天気な転生令嬢が、自分の騎士とお弁当屋さんを立ち上げて幸せになるまでの話です。

妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付

唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。

前世の私は重い女だったので、今世は恋なんてしません。

ありま氷炎
恋愛
前世は余りにも夫が大好きで、愛が重すぎた。 だから捨てられた。 なので生まれ変わった今は、恋なんてするつもりはなかったのだけど……。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...