そんなに嫌いで好きで怖いなら…… 《シリーズ番外編》

Rohdea

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コラボ話 (ひっそり生きてきた私~&そんなに怖いなら~)

精霊の愛し子と髪の愛し子の夫 〈前編〉

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ジェフ視点です

✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼


「ティア、また見てるの?」
「ジェフ……だって、やっぱり何度見ても凄いんだもの、あの、ぶぉん、ぶぉん……」

 僕の愛する妃のティアは、今、新婚旅行で王宮に滞在しているベニテンツ国の王子夫妻の妃殿下(の髪)に夢中になっている。
 可愛いティアの心を奪うなんて!  と本来なら文句を言いたい所だが、アレは仕方がないと僕でも思うんだ。

『アリスティアはすっかり夢中だねー』
『ちなみにツルツルチリチリにするのはやっぱり無理だった』
『無理、勝てなーい』

(───ん?)

 この可愛い見た目に反して無邪気に残酷な事をする精霊たちは今なんて言った?
 無理だった……そう言わなかったか??

 ティアにも聞こえていたようで、この発言にはビックリして言葉を失っている。

「待て待て!  まさか……あの縦ロールに戦いを……挑んだのか?」

 僕がおそるおそる訊ねると、精霊たちは無邪気な笑顔で答えた。

『そうだよー』

「い、いつの間に!?」

 これは大変だ。

『気になって気になって仕方なかったんだよ』
『ちなみに何も出来なかった~』
『弾き返されたよね。あれはバリアかなー?』

 何を呑気なことを言っている!
 あと、バリアってなんだ!?

「さ、さすがにそれは国際問題になるからやめてくれ」
「そ、そうよ!  妃殿下は何も悪いことしてないでしょう?  とっても元気な可愛らしい方よ?」

 ティアも必死に宥める。

『悪人じゃないのは知ってるよー』
『でも、挑みたくなっちゃったんだもん』
『無理だったけど~』

「だから───」

 ようやく覚醒したティアと二人で必死に説得する羽目になった。




「ティア、ちょっと、僕は王子夫妻の様子を見て来るよ」
「あ、そうよね。お願い」

 精霊たちの事はティアに任せた方が良いだろう。   
 と、いう事で僕はどうやら攻撃(?)を受けたらしい王子夫妻の元へと向かう。
 彼らが滞在している部屋が近付くと、

 ぶぉん、ぶぉん……

(あ、あっちの方から音がする)

 髪の毛から音がするってやっぱりすごいと思う。
 精霊たちがソワソワして気になるのも分からなくはない……が、攻撃するのだけはやっぱり勘弁して欲しい。

 そんな王子夫妻は大変、仲睦まじい様子で過ごしていた。


 ぶぉーーん!

「ははは、ミュゼットは相変わらず照れ屋さんだな」
「て、照れてなどいませんわ!」

 ぶぉんぶぉんぶぉん!

「いや?  縦ロールがもっとしてくれと言っている」
「っ!  ですからー!!」

 ぶぉんぶぉんぶぉんぶぉん!

「……」

 会話を盗み聞きする趣味はなかったのだが……

(やっぱりラファエル殿下はあの縦ロールと会話をしていそうだな)

 何がどうして彼にそんなことが出来るのかは不明だが、『髪の神様に愛された子』の夫なんだからきっと何か特別な力があるに違いない。

(精霊たちの攻撃の件はラファエル殿下に確認してみるか)

 見た感じの妃殿下は元気そうで安心はしたが、いきなり「実はあなたは精霊に攻撃されました」とはさすがに言えない。
 この元気な妃殿下も驚いて倒れてしまうかもしれない。



「失礼する、ラファエル殿下、少しよろしいでしょうか?」
「ジーフリート殿?」
「少しだけ話が」

 いい雰囲気の所を邪魔してしまったからな……申し訳ない気持ちでいると、あっさり承諾してくれた。

「分かった。ミュゼット、ちょっと行って来る」
「いってらしゃいませ───って、きゃぁっ!?」

 ラファエル殿下は軽く妃殿下に口付けをしてからこちらにやって来た。

(今、息をするようにキスしたぞ?)

 さすが、他国にまで溺愛っぷりが伝わる夫妻だなと思った。
 ────こうして、僕はラファエル殿下だけを呼び出し、事情を説明する。



「……この国の精霊が?」
「本当に本当に申し訳ない。彼らには今、言って聞かせている。もう二度こんな事はさせないようにする」
「ミュゼットに怪我はない?」
「ありません。その、あの変わった縦ロールの守りが鉄壁で何も出来なかった……と」
「……」

 頭を下げる僕をラファエル殿下は黙って見ている。

(怒るか?  怒るよな……)

 国際問題?  戦争?  
 だが、それだけは何としても回避せねば!

「…………ジーフリート殿」
「な、何だろうか?」

  少しの沈黙の後、ラファエル殿下がようやく口を開いた。

  「……やはりか。そうなんだ。俺の可愛い可愛いミュゼットは素晴らしいのだ!」

(────ん?)

 何やら思っていたのと違う反応が返ってきた。


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