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1. 未来の大魔術師様との出会い
しおりを挟む王立魔術学院の入学式の日、突然私は初対面の少年に絡まれた。
「おい! お前が、フィーリー・アドシークか!?」
「……そうですけど、何か?」
びっくりした私がそう聞き返すと、目の前の少年はワナワナ震え出して突然私に向かって叫んだ。
「やはりお前か! お前が……この俺を超える魔力を有してると聞いた! どういう事なんだ!?」
「は?」
思わずそんな言葉が口から飛び出した。
どういう事だ……は、はっきり言ってこっちのセリフだと思う。
そっちこそ突然、何なのだ。そして、そう言うそちらこそどこの誰なのか。
私、フィーリーはそう言いたい気持ちをどうにか抑える。
おそらく彼は、私と同じ新入生。
そして、私と違って彼は貴族の令息に違いない。逆らってもいい事はないだろうと思った。
「どういう事かと言われましても困ります」
「お前が現れるまで、俺が1番だった! 誰よりも魔力を有してると言われていたのは俺だったんだぞ……!」
「はぁ……」
どうしよう。全く話が見えない。
ただ、この少年が本人も言っているようにかなりの魔力を有してる事は私にも分かる。
だからと言って何故、私に絡んで来たのかが分からない。
「今世代の大魔術師になれる素質がある人間は俺だ! 予言では間違いなく俺を示していたんだ。なのに……突然、お前……が現れた……」
(えぇぇぇ……)
目の前の少年は、最初の勢いはどこに行ったのか、だんだん項垂れて行く。
情緒不安定過ぎる!
(だけど、今世代の大魔術師となる人……彼がそうなのね)
この少年の言う通り、この国では約100年に一度、大魔術師と呼ばれる他に類を見ない程の魔力量を持った子が生まれる。
“予言”の特殊能力を持つ人間によって、その人物は早々に特定され手厚い保護と教育を受けさせられる。
そして、どうやら今、私の目の前にいる少年がそうらしい。
「私に言われても困ります」
「だが!」
「それに、確かに私は魔力量こそ多いと判定されていますが、属性は不明です」
「なに!?」
「だから、私はうまく魔術が使えません」
私のその言葉を聞いて、目の前の少年は驚愕の表情を浮かべている。
「そ、そんな、事が有り得るのか?」
「有り得るも何も……そう判定されていますから」
「嘘だろう? いったい、お前は何者なんだよ」
「……」
私が何者かですって?
───そんな事、むしろ私が知りたい。
だけど、目の前の少年に、本当の事を話すわけにもいかないからこれでいい。
“秘密”はどこまでも秘密にしておかなければ。
「私ですか? 私は、フィーリー・アドシークです」
「……そうだけど、そうじゃないっ!!」
少年は顔を真っ赤にして怒鳴る。
「あなたこそ、誰なんですか? 突然、自己紹介もせず無礼ですよね?」
「……ぐっ!」
目の前の少年は言葉につまる。
ようやく、自己紹介すらしていない事を思い出したようだ。
「す、すまなかった……俺は、ルシアン・ハフェス、だ」
(あら? 意外と素直?)
バツの悪そうな表情をして、私に向かって自己紹介をする少年の瞳は燃えるような紅色で、それがとても印象に残った。
これが、私……フィーリーとルシアンの出会い。
この時共に12歳。
後に長い付き合いとなる彼との全ての……始まりだった。
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