最恐家族は本日も無双中 ~ギルモア家と愉快な人々~

Rohdea

文字の大きさ
6 / 70
ギルモア家と愉快な人々の日常

なぜですの?【ナターシャ】

しおりを挟む


「ナターシャ!   準備はいいか? 今日も体力作りに励むとしよう」
「うあったぁあ!」

 ───はい、エリオットおじいさま!

 おじいさまにむかってわたくし、ナターシャはげんきよくおへんじしました。
 そんな、げんきいっぱいのわたくしのようすに、おじいさまはすこしおどろいたかおをしましたわ。
 でも、すぐにやさしくわらってくれました。
 
「ナターシャは毎日、元気だな!」
「あぶうあぁあ! あっぷぁあ、うあっぱぁあ!」

 ───とうぜんですわ! わたくしはだれよりもつよくなって、にくきジョシュアをボッコボコにしてやるんですもの!

 わたくしがきあいまんたんでこたえると、おじいさまがうーんとかおをしかめます。
 
「…………ナターシャから感じるこのメラメラした殺気はなんなのだろう?」
「あっぷぁあ……」 
 
 ───ジョシュア……
 
 わたくしは、あたまのなかでにくきおとこのかおをおもいうかべます。
 そいつのおなまえは、ジョシュア・ギルモア。
 “あうあ”がくちぐせで、いつでもどこでもニパッとわらってヘラヘラしているような、なんじゃくなおとこですわ。

「ああ、そうか! 弟か妹が産まれて“お姉さん”になるから今から張り切っているのか!」
「!」

(おねえさん……!)

 そうですの。
 まだすこしさきのおはなしらしいですけど、わたくしには、おとうとかいもうとがうまれるんですの。
 つまり、わたくしは“おねえさん”になるのです!
 なんだか、えらくなったきぶんですわ。

「男の子か女の子かはまだ分からないが……そうか。ナターシャは強くなってこれから誕生する弟か妹の赤ちゃんを守ろうとしてい……」
「ぷぁぁうあっあっあーー!」

 ───ええ、ええ。おねえさんなわたくし、やってやりますわぁーー!

「何を言ってるかは分からないが、偉いぞ!」

 おじいさまは、わたくしのあたまをナデナデしてくれました。
 おかげで、ムクムクとわたくしの“やるき”がわいてきます。


 いま、わたくしはおじいさまのもとで、つよくなるためのとっくんをしていますの。
 きほんの、たいりょくづくりからはじまり……
(ジョシュアを)なぐるれんしゅー、
(ジョシュアを)けりとばすれんしゅー…… 
 とにかく、れんしゅーざんまいのひびですわ!

「おお、この気合いの入れよう……君は強くていいお姉さんになる! いいぞ、ナターシャ」
「うあう! うああっぷぁあ、うあうあうあったぁ~!」

 ───つよく……ええ! だとー、ジョシュア! ですわ~

 おとうとかいもうとのことはすっかりわすれて、わたくしのあたまのなかがジョシュアでいっぱいになりました。

(ふっふっふ、みてなさいですわ、ジョシュア!)

 いつかおまえにはわたくしのことを“ナターシャさま”とよばせ、めのまえにひざまずかせて、
 “どーか、このぼくをナターシャさまのえいえんのしもべにしてください”
 とでもいわせてみせますわ!
 そして、おもうぞんぶん、たっぷりとこきつかってやりますのよ。

(かくごなさいですわーー!)

「ぅおっおっお……」
「ん? ナターシャ?   その笑い方はウェンディに似ているなぁ」

 おばあさまのことがだいすきなおじいさまが、わたくしをみてうれしそうにわらいます。

(ええ、ええ。わたくしはおばあさまのようにつよくなってみせますもの!)

「おっおっお!」

 そして、ジョシュアのやろーにはまいにち、さいこーきゅーのミルク……いえ、さいこーきゅーのじゅーすとさいこーきゅーのおかしをみつがせて、かわいいおリボンもたくさんかわせましょう。
 それからそれから……

「う?」

 あら?
 わたくしが、ばらいろのひびをもーそーしてわらっていたら、とつぜんフワリとわたくしのからだがもちあがりましたわ。
 なぜですの?

「はっはっは! ナターシャ。どこにいったのかと思っていたら父上に遊んでもらっていたのか!」
「あぱぁ!?」

 しまったですわ……
 なんとここで、わたくしのおとうさまのとうじょうです!
 ばらいろのひびをもーそーしていたからドアがバーンしたことにもきづきませんでしたわ。
 これは、いっしょーのふかくです!

「あったぁう! ああっぱぁぁあ!?」

 ───あそびじゃないですわ! だとージョシュアのとっくんですわ!?

 わたくしははひっしにうったえます。

「なに? お父様ともたくさん遊びたい? そうだろう、そうだろう僕もだ!」
「あばばばば! ああっぱぁあ!」

 ───ちがいますわ! わたくしはいま、とっくんちゅーですの!

「はっはっは!」

 なぜですの? わたくしのおとうさまは、いつも、なかなかおはなしがつうじませんの。
 わたくしは、てあしをパタパタさせてひっしに“だとージョシュア”をうったえます。
 しかし……

「そうだ! ギルモア家に行こう!」
「あばばぁ!?」

 ───なんでですの!?

「はっはっは!」
  
 おとうさまがたのしそうにわらっています。
 なぜ……なぜ、そこで“ギルモアけにいこう”となるのです?
 わたくしには、まったくりかいできませんわ!

「よしよしよーし、思い立ったが吉日! 行くぞナターシャ!」
「あばばばばぁぁあ!?」

 ───だから、なぜですのぉぉぉお!?

 こうして、おとうさまにつれられて、きょーもなぜかわたくしは、にくきおとこジョシュアと、たくさんかおをあわせることになるのです。

 
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?いいですよ。ですが、次期王を決めるのは私ですので

水中 沈
恋愛
「コメット、今ここで君との婚約を破棄する!!」 建国記念パーティーの最中、私の婚約者であり、第一王子のエドワードは人目も気にせずに大声でそう言った。  彼の腕には伯爵令嬢、モニカがべったりとくっついている。 婚約破棄の理由を問うと、モニカを苛めた悪女と結婚する気は無い。俺は真実の愛を見つけたのだ!とのたまった。   「婚約破棄ですか。別に構いませんよ」 私はあっさりと婚約破棄を了承し、書類にサインをする。 (でもいいのかしら?私と婚約破棄をするってことはそういう事なんだけれど。 まあ、本人は真実の愛とやらを見つけたみたいだし…引き留める理由も無いわ) 婚約破棄から数日後。 第二王子との結婚が決まった私の元にエドワードが鬼の形相でやって来る。 「この悪女め何をした!父上が弟を次期王にすると言い出すなんて!! お前が父上に良からぬことを吹き込んだだろう!!」 唾をまき散らし叫ぶ彼に冷めた声で言葉を返す。 「まさか。 エドワード様、ご存じないのですか?次期王を決めるのは私ですよ」 王座がいらない程焦がれる、真実の愛を見つけたんでしょう?どうぞお幸せに。 真実の愛(笑)の為に全てを失った馬鹿王子にざまぁする話です。

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

『婚約破棄されたので玉座から降りました。――理で王国をざまあします

ふわふわ
恋愛
王太子から突然の婚約破棄を告げられた公爵令嬢。 社交界の中心で恥をかかされ、次期王妃の座を奪われた――はずだった。 けれど彼女は泣かなかった。怒鳴らなかった。復讐を誓いもしなかった。 「玉座は、座るより設計したほうが面白いですわ」 そう言って一歩退いた彼女は、王妃教育制度を立ち上げ、王と王妃を“育てる側”へと回る。 感情で動く王太子は、やがて理を学び始める。 新たに選ばれた王妃候補は、責任と孤独を知りながら成長していく。 武力でも陰謀でもない。 透明性と制度、そして対話で国を立て直していく静かな逆転劇。 婚約破棄で笑った者たちは、気づけば彼女の作った仕組みの中で頭を下げていた。 これは復讐ではない。 これは成熟。 選ばれなかった令嬢が、王国そのものを進化させる物語。

婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?

無色
恋愛
 子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。  身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。

初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。予約投稿済みです。

「お前を愛する者などいない」と笑われた夜、私は“本物の王子”に拾われた

波依 沙枝
恋愛
侯爵令嬢セレスティアは、第二王子リヒトの婚約者だった。 彼に愛されていると信じ、どれほど冷たくされても、気まぐれに与えられる優しい言葉だけを支えに、隣に立ち続けてきた。 ――しかしある夜、彼女は見てしまう。 婚約者が、知らない女を抱きながら、自分を嘲笑っているところを。 「お前みたいな女を愛する者などいない」 絶望の中で崩れ落ちた彼女に、ひとりの男が手を差し伸べた。 「――助けるのは、私でもいいかな」 それは、かつて彼女の孤独に寄り添ってくれた、“本当の王子”だった。 これは、愛されなかったはずの侯爵令嬢が、 本物の王子に見出され、溺愛され、 そして彼女を捨て、嘲笑った婚約者が、すべてを失って後悔するまでの物語。 今さら縋りついても、もう遅い。 彼女はもう、“選ばれる側”ではなく、“選ぶ側”なのだから。

義兄のために私ができること

しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。 しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。 入り婿である義兄はどこまで知っている? 姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。 伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。

幼馴染を選んで婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです

睡蓮
恋愛
レーベット侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたミリアの事を受け入れていた。しかしレーベットはその後、自身の幼馴染であるリナリーの事ばかりを偏愛し、ミリアの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにレーベットはミリアのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったレーベットは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。

処理中です...