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ギルモア家と愉快な人々の日常
なぜですの?【ナターシャ】
しおりを挟む「ナターシャ! 準備はいいか? 今日も体力作りに励むとしよう」
「うあったぁあ!」
───はい、エリオットおじいさま!
おじいさまにむかってわたくし、ナターシャはげんきよくおへんじしました。
そんな、げんきいっぱいのわたくしのようすに、おじいさまはすこしおどろいたかおをしましたわ。
でも、すぐにやさしくわらってくれました。
「ナターシャは毎日、元気だな!」
「あぶうあぁあ! あっぷぁあ、うあっぱぁあ!」
───とうぜんですわ! わたくしはだれよりもつよくなって、にくきジョシュアをボッコボコにしてやるんですもの!
わたくしがきあいまんたんでこたえると、おじいさまがうーんとかおをしかめます。
「…………ナターシャから感じるこのメラメラした殺気はなんなのだろう?」
「あっぷぁあ……」
───ジョシュア……
わたくしは、あたまのなかでにくきおとこのかおをおもいうかべます。
そいつのおなまえは、ジョシュア・ギルモア。
“あうあ”がくちぐせで、いつでもどこでもニパッとわらってヘラヘラしているような、なんじゃくなおとこですわ。
「ああ、そうか! 弟か妹が産まれて“お姉さん”になるから今から張り切っているのか!」
「!」
(おねえさん……!)
そうですの。
まだすこしさきのおはなしらしいですけど、わたくしには、おとうとかいもうとがうまれるんですの。
つまり、わたくしは“おねえさん”になるのです!
なんだか、えらくなったきぶんですわ。
「男の子か女の子かはまだ分からないが……そうか。ナターシャは強くなってこれから誕生する弟か妹の赤ちゃんを守ろうとしてい……」
「ぷぁぁうあっあっあーー!」
───ええ、ええ。おねえさんなわたくし、やってやりますわぁーー!
「何を言ってるかは分からないが、偉いぞ!」
おじいさまは、わたくしのあたまをナデナデしてくれました。
おかげで、ムクムクとわたくしの“やるき”がわいてきます。
いま、わたくしはおじいさまのもとで、つよくなるためのとっくんをしていますの。
きほんの、たいりょくづくりからはじまり……
(ジョシュアを)なぐるれんしゅー、
(ジョシュアを)けりとばすれんしゅー……
とにかく、れんしゅーざんまいのひびですわ!
「おお、この気合いの入れよう……君は強くていいお姉さんになる! いいぞ、ナターシャ」
「うあう! うああっぷぁあ、うあうあうあったぁ~!」
───つよく……ええ! だとー、ジョシュア! ですわ~
おとうとかいもうとのことはすっかりわすれて、わたくしのあたまのなかがジョシュアでいっぱいになりました。
(ふっふっふ、みてなさいですわ、ジョシュア!)
いつかおまえにはわたくしのことを“ナターシャさま”とよばせ、めのまえにひざまずかせて、
“どーか、このぼくをナターシャさまのえいえんのしもべにしてください”
とでもいわせてみせますわ!
そして、おもうぞんぶん、たっぷりとこきつかってやりますのよ。
(かくごなさいですわーー!)
「ぅおっおっお……」
「ん? ナターシャ? その笑い方はウェンディに似ているなぁ」
おばあさまのことがだいすきなおじいさまが、わたくしをみてうれしそうにわらいます。
(ええ、ええ。わたくしはおばあさまのようにつよくなってみせますもの!)
「おっおっお!」
そして、ジョシュアのやろーにはまいにち、さいこーきゅーのミルク……いえ、さいこーきゅーのじゅーすとさいこーきゅーのおかしをみつがせて、かわいいおリボンもたくさんかわせましょう。
それからそれから……
「う?」
あら?
わたくしが、ばらいろのひびをもーそーしてわらっていたら、とつぜんフワリとわたくしのからだがもちあがりましたわ。
なぜですの?
「はっはっは! ナターシャ。どこにいったのかと思っていたら父上に遊んでもらっていたのか!」
「あぱぁ!?」
しまったですわ……
なんとここで、わたくしのおとうさまのとうじょうです!
ばらいろのひびをもーそーしていたからドアがバーンしたことにもきづきませんでしたわ。
これは、いっしょーのふかくです!
「あったぁう! ああっぱぁぁあ!?」
───あそびじゃないですわ! だとージョシュアのとっくんですわ!?
わたくしははひっしにうったえます。
「なに? お父様ともたくさん遊びたい? そうだろう、そうだろう僕もだ!」
「あばばばば! ああっぱぁあ!」
───ちがいますわ! わたくしはいま、とっくんちゅーですの!
「はっはっは!」
なぜですの? わたくしのおとうさまは、いつも、なかなかおはなしがつうじませんの。
わたくしは、てあしをパタパタさせてひっしに“だとージョシュア”をうったえます。
しかし……
「そうだ! ギルモア家に行こう!」
「あばばぁ!?」
───なんでですの!?
「はっはっは!」
おとうさまがたのしそうにわらっています。
なぜ……なぜ、そこで“ギルモアけにいこう”となるのです?
わたくしには、まったくりかいできませんわ!
「よしよしよーし、思い立ったが吉日! 行くぞナターシャ!」
「あばばばばぁぁあ!?」
───だから、なぜですのぉぉぉお!?
こうして、おとうさまにつれられて、きょーもなぜかわたくしは、にくきおとこジョシュアと、たくさんかおをあわせることになるのです。
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