断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる

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拝啓、お母さん

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「お母さん、里奈は異世界転生したみたいです」

日本語で、ちょっと言ってみたかっただけ。


生まれた時から前世の記憶があった。

前世の幼い頃には、世の中異世界転生モノは溢れ返り、好んで見なくても設定くらいは知っていた。
ちなみに私は魔法少女モノが好きだった

だから、今世で自分の容姿を認識した時、何のラノベかゲームに転生したのか不安になったものだ。
何のキャラ?モブ?どうしたらいい?って。

片田舎の貧乏男爵令嬢っていうのもあるあるで、何か起こるたびにフラグかっ!?って、いちいちビクつきながら成長した。

まあ10歳くらいから、貧乏貴族の現実に妄想してる場合じゃないと思い至り、男爵令嬢といってもほぼ平民と変わらないし、お兄様もお姉様もいるから、私にはお金をかけられないだろうし、平民として生きていくんだろう。いや、前世庶民としてはその方が良くない?じゃあ今から平民として生きていく準備をしとこう!ってことで、領地の平民が通う初等学校にも通った。

お父様はあまりいい顔をしなかったが、ちょうどお姉様のデビュタントもあり、家庭教師を雇うお金がなかったため、しぶしぶ了承してくれた。

もちろん転生者だとカミングアウトはしなかった。だって、絶対碌な事ないし、そもそも前世の知識を保護するって話だけど、保護されるような知識を持ってない。

これ、名乗り出る人いる?

私の強みといえば、前世、県下で1番偏差値高かった高校に通って、最高学府を目指してたってことくらい。

なので、今世では、地元でちょっと有名な可愛くて頭の良い女の子やってました。

そんな生活が一変したのは17歳になる年。

その頃私は、隣の領地にある領立学園に通っていた。
かなり昔の転生者が、『識字率UPと誰にでも勉強出来る機会を!』をスローガンに創設したらしいこの学園は、初等科、中等科と専門科があり、初等科は小学校、中等科は中学校、専門科は中等部を修了した子が通う専門学校のようなところだ。
平民や、私みたいな近場の下位貴族の子息令嬢でやがて平民になる子達が通っている。
特に専門科は手に職をつけたい人には打ってつけのため、私は中等科から通っていた。
希望通り薬学科に進み、着々と平民になって薬屋をひらく準備をしていた。
食いっぱぐれない職は大事!

そんなある日、王都から帰ってきたお父様が、ホクホク顔で私を呼んで、王立学院へ編入出来ることになったと言った。

いや、何で?と聞くと、どうも貴族の子息令嬢は全員王立学院を卒業する必要があるらしい。
卒業しないと貴族として認められないということだ。
なので、平民になることが決まっている場合は通わないこともあるらしい。

ここまで着実にライフプランを実現すべく頑張ってきた私にとっては青天の霹靂。

嫌だ!って言うよね。
だって将来は平民として生きるって言ってあったし。
バカ高い学費払ってまで行かなくていいよ!って。

だが家族は、私が貧乏男爵家だから、遠慮し我慢し泣く泣く平民になる道を選んだと思っていたよ。

ちなみに、王立学院への途中編入はうちのような貧乏貴族には、よくあるそうだ。

3年間通わせるお金はないが中途編入してとりあえず卒業し、貴族としての対面を保つらしい。
今回私は学園での学業が優秀だったため、簡単に編入が認められたそうだ。

この国では、全貴族が年一で王城へ挨拶と領の収支報告、納税等々を行いに行く。
確かに2週間ほど前に出掛けていったなーとは思っていたよ。
ただ、その時に、勝手に!人の了解も得ず!編入手続きをした上で、卒業までの学費を払い込んでくるなんて誰が思うのよ!?

_| ̄|○ってなるよね。前世で昔からあるあの絵文字を、まさか今世で体感するとは思わなかった。

そして久々に感じたフラグ感。あと強制力?

田舎の貧乏男爵令嬢が途中編入。
自分でいうのも何だけど、可愛くて頭も良い。

ヒロインじゃん。絶対ヒロインでしょ。


今思えば、この時点で、編入を取りやめることは出来た。
でも、前世庶民の感覚が身についてる私は支払い済みの学費を無駄にすることが出来なかった。


『人生は選択の連続だ』
前世でよく聞いた言葉だ。
初めて聞いた時は、そりゃそうだよねって思った。

でもね。

『選択を決して間違えてはいけない』とは、
誰も教えてくれなかった。
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