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「? 浮気以外で、ぼくがクラリッサと別れる理由がどこに?」
ぽかんとするベイジルに答えたのは、ロペス伯爵だった。わからんのか。低い声で鋭く問われても、ベイジルはまったくわからない。
「──わたしも、そう思っていました」
静かに呟いたクラリッサの方へ、ベイジルがぱっと顔を向けた。
「うん。だよね?」
「はい。こんな些細なことであなたと別れてもいいという許しをお父様たちからもらえるなんて、思いもしなかったのです」
でも。クラリッサは隣に座るネリーに視線を移した。
「王都からここまでの移動のあいだ。ネリーさんとたくさんお話をしたんです。これまでどのような言葉をあなたに吐かれ、わたしがどのような扱いを受けてきたのかを。そしたら、ネリーさんが教えてくれたのです」
心底不思議そうに「なにを?」と、ベイジルが首を傾げる。クラリッサは、薄く笑みを浮かべた。
「ベイジルは、人としておかしいと」
ベイジルは目をまん丸にしてから、ふっと鼻を鳴らした。
「それはね。ネリーがぼくと一緒になりたくて、嘘をついたん──」
ベイジルの言葉を遮るように、クラリッサは「何度も」と。ゆっくりだが芯のある強い口調で、ベイジルを射るように見詰めた。
「何度も。何度も何度も、わたしは言いましたよね。あなたのことなど、愛していませんと。まして一目惚れなどありえません。いまの顔、鏡でごらんになったら? 本性が滲み出て、いつもよりさらに醜くなっていますから」
いつもと明らかに雰囲気が違うクラリッサに、息を呑むベイジル。クラリッサはさらに、溜め込んだ思いを一気にぶつけはじめた。
ぽかんとするベイジルに答えたのは、ロペス伯爵だった。わからんのか。低い声で鋭く問われても、ベイジルはまったくわからない。
「──わたしも、そう思っていました」
静かに呟いたクラリッサの方へ、ベイジルがぱっと顔を向けた。
「うん。だよね?」
「はい。こんな些細なことであなたと別れてもいいという許しをお父様たちからもらえるなんて、思いもしなかったのです」
でも。クラリッサは隣に座るネリーに視線を移した。
「王都からここまでの移動のあいだ。ネリーさんとたくさんお話をしたんです。これまでどのような言葉をあなたに吐かれ、わたしがどのような扱いを受けてきたのかを。そしたら、ネリーさんが教えてくれたのです」
心底不思議そうに「なにを?」と、ベイジルが首を傾げる。クラリッサは、薄く笑みを浮かべた。
「ベイジルは、人としておかしいと」
ベイジルは目をまん丸にしてから、ふっと鼻を鳴らした。
「それはね。ネリーがぼくと一緒になりたくて、嘘をついたん──」
ベイジルの言葉を遮るように、クラリッサは「何度も」と。ゆっくりだが芯のある強い口調で、ベイジルを射るように見詰めた。
「何度も。何度も何度も、わたしは言いましたよね。あなたのことなど、愛していませんと。まして一目惚れなどありえません。いまの顔、鏡でごらんになったら? 本性が滲み出て、いつもよりさらに醜くなっていますから」
いつもと明らかに雰囲気が違うクラリッサに、息を呑むベイジル。クラリッサはさらに、溜め込んだ思いを一気にぶつけはじめた。
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