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「先ほどと同じことを申し上げましょう。ルイスが語ることが真実だという証拠はあるのですか? 何なら、庭を掘り返してみますか?」
ランゲ公爵が「必要ない。それにその様子では、すでに処分したあとだろうしな」と返答すると、ジャスパーは薄く笑った。
「ぼくはね、全てわかりましたよ。なあ、ルイス。お前はずっと、ぼくに嫉妬していたのだろう?」
ルイスが「……嫉妬?」と首をひねる。
「そう。父上に一番信頼され、可愛がられているぼくに、嫉妬していたんだ。それだけじゃない。お前はマリーに恋をしていた。違うが?」
何を言い出すのか。ルイスが目を点にする。
「父上とマリーを手に入れるため、お前は嘘をつくことにした。ぼくを悪者にして、陥れるために。そう考えると、全てつじつまが合うと思わないか?」
マリーが「この人の怪我はどう説明するつもり? まさかルイスがやったとでもいいたいの?」と睨み付ける。ジャスパーは腕を掴まれながらも、小さく肩をすくめた。
「自分でやったんじゃないかな。これは誰も知らないことだけど、実は彼女には、自傷癖があるんだ」
侍女が「──そ、そんな。嘘です……っ!」と叫ぶが、ジャスパーは意に介さない。まるで詐欺師のようだという父の言葉に妙に納得しながら、マリーは口を開いた。
「それが事実だとして、証拠はあるの?」
マリーが訊ねると、ジャスパーはあっさりと「ないよ」と答えた。
「さっきから証拠、証拠と吠えてる人とは思えない発言ね」
「ないものはないからね。さて、そうなってくると、誰を信じるかにかかってくるわけだけど──」
ジャスパーはちらっとシュルツ伯爵を見た。
「父上は、ぼくとこの人たちと、どちらを信じますか?」
それはまるで、自分だと言わんばかりの表情だった。ルイスだけは同じ考えのようで、諦めの眼差しをシュルツ伯爵に送っていた。
ランゲ公爵が「必要ない。それにその様子では、すでに処分したあとだろうしな」と返答すると、ジャスパーは薄く笑った。
「ぼくはね、全てわかりましたよ。なあ、ルイス。お前はずっと、ぼくに嫉妬していたのだろう?」
ルイスが「……嫉妬?」と首をひねる。
「そう。父上に一番信頼され、可愛がられているぼくに、嫉妬していたんだ。それだけじゃない。お前はマリーに恋をしていた。違うが?」
何を言い出すのか。ルイスが目を点にする。
「父上とマリーを手に入れるため、お前は嘘をつくことにした。ぼくを悪者にして、陥れるために。そう考えると、全てつじつまが合うと思わないか?」
マリーが「この人の怪我はどう説明するつもり? まさかルイスがやったとでもいいたいの?」と睨み付ける。ジャスパーは腕を掴まれながらも、小さく肩をすくめた。
「自分でやったんじゃないかな。これは誰も知らないことだけど、実は彼女には、自傷癖があるんだ」
侍女が「──そ、そんな。嘘です……っ!」と叫ぶが、ジャスパーは意に介さない。まるで詐欺師のようだという父の言葉に妙に納得しながら、マリーは口を開いた。
「それが事実だとして、証拠はあるの?」
マリーが訊ねると、ジャスパーはあっさりと「ないよ」と答えた。
「さっきから証拠、証拠と吠えてる人とは思えない発言ね」
「ないものはないからね。さて、そうなってくると、誰を信じるかにかかってくるわけだけど──」
ジャスパーはちらっとシュルツ伯爵を見た。
「父上は、ぼくとこの人たちと、どちらを信じますか?」
それはまるで、自分だと言わんばかりの表情だった。ルイスだけは同じ考えのようで、諦めの眼差しをシュルツ伯爵に送っていた。
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