大好きだったあなたはもう、嫌悪と恐怖の対象でしかありません。

「──お前のこと、本当はずっと嫌いだったよ」

「……ジャスパー?」

「いっつもいっつも。金魚の糞みたいにおれの後をついてきてさ。鬱陶しいったらなかった。お前が公爵令嬢じゃなかったら、おれが嫡男だったら、絶対に相手になんかしなかった」

 マリーの目が絶望に見開かれる。ジャスパーとは小さな頃からの付き合いだったが、いつだってジャスパーは優しかった。なのに。

「楽な暮らしができるから、仕方なく優しくしてやってただけなのに。余計なことしやがって。おれの不貞行為をお前が親に言い付けでもしたら、どうなるか。ったく」

 続けて吐かれた科白に、マリーは愕然とした。

「こうなった以上、殺すしかないじゃないか。面倒かけさせやがって」

 
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