8 / 27
8
奮起するラナを見て、大丈夫そうだと安心したリタは、あらためて話しを続けることにした。
「もしこれが正解なら、例えばラナが真実を話したとしても、向こうのご両親は否定するでしょうね。それこそ必死に」
リタの言葉に、ラナは強くこぶしを握った。怒りのためか、ぶるぶると震えている。
「昨日の二人のやり取りを、ニックの両親とわたしの親に見てもらえていれば……っ」
「確かに、それが一番いいとは思うけれど……」
リタは顎に手を当て、考える素振りを見せた。
「ラナのあからさまな拒絶が続けば、きっとニックは焦って、レズリーと内密に会うことを止めてしまうのではないかしら」
「そ、それは困るわ!」
ラナが青ざめる。ラナが両親に真実を話し、それを両親が信じて婚約を破棄できたとしても、それではもう、ラナの中の怒りはおさまりそうもなかった。もはやラナの一番の願いは、あの二人の逢瀬を、二人が吐き捨てた科白を、みなに見て、聞いてもらうことになっていた。
「公爵家の娘との婚約破棄なんて、家の存続にも関わりかねないことだからね」
ましてラナの父親であるクライン公爵は、娘のラナを溺愛している。長女だからと厳しく育てられたラナにはあまり自覚がないようだが、まわりから見ていれば一目瞭然だったりする。そんなクライン公爵がこのことを知れば、いったいニックはどうなるのだろうか。きっとレズリーだって、ただではすまないだろう。ラナはそのあたり、気付いているのか。いないのか。とにもかくにも、婚約破棄ごときでクライン公爵が許すとはとうてい思えない。
私の知ったことではないけれど。と、リタは胸中で吐き捨てた。大事な幼馴染みを裏切り、傷付けた二人。リタだって充分、はらわたが煮え繰り返っていたから。
一方のラナは、なにやらぶつぶつと一人で呟いている。
「……じゃあ、わたしが今まで通りにしていたら、あの二人はまた逢瀬を重ねてくれるかしら」
なんとも可笑しな言い方だと、リタは思わず苦笑してしまった。それにしても。
「でも、ニックとレズリーの本性を知ったあなたが、そんなこと出来るの?」
自暴自棄になってやしないか。あんなに大切にしていた二人の裏切り。そんな簡単に乗り越えられるものなのか。心配そうに訊ねるリタに、ラナはにやりと口角を上げてみせた。
「やってみせるわ。今度はわたしの演技で、二人を騙す番よ」
ふふふふふふふ。
見たことのない笑みを浮かべるラナ。無理しているのか、いないのか。もはやリタにも判断できなかった。
「もしこれが正解なら、例えばラナが真実を話したとしても、向こうのご両親は否定するでしょうね。それこそ必死に」
リタの言葉に、ラナは強くこぶしを握った。怒りのためか、ぶるぶると震えている。
「昨日の二人のやり取りを、ニックの両親とわたしの親に見てもらえていれば……っ」
「確かに、それが一番いいとは思うけれど……」
リタは顎に手を当て、考える素振りを見せた。
「ラナのあからさまな拒絶が続けば、きっとニックは焦って、レズリーと内密に会うことを止めてしまうのではないかしら」
「そ、それは困るわ!」
ラナが青ざめる。ラナが両親に真実を話し、それを両親が信じて婚約を破棄できたとしても、それではもう、ラナの中の怒りはおさまりそうもなかった。もはやラナの一番の願いは、あの二人の逢瀬を、二人が吐き捨てた科白を、みなに見て、聞いてもらうことになっていた。
「公爵家の娘との婚約破棄なんて、家の存続にも関わりかねないことだからね」
ましてラナの父親であるクライン公爵は、娘のラナを溺愛している。長女だからと厳しく育てられたラナにはあまり自覚がないようだが、まわりから見ていれば一目瞭然だったりする。そんなクライン公爵がこのことを知れば、いったいニックはどうなるのだろうか。きっとレズリーだって、ただではすまないだろう。ラナはそのあたり、気付いているのか。いないのか。とにもかくにも、婚約破棄ごときでクライン公爵が許すとはとうてい思えない。
私の知ったことではないけれど。と、リタは胸中で吐き捨てた。大事な幼馴染みを裏切り、傷付けた二人。リタだって充分、はらわたが煮え繰り返っていたから。
一方のラナは、なにやらぶつぶつと一人で呟いている。
「……じゃあ、わたしが今まで通りにしていたら、あの二人はまた逢瀬を重ねてくれるかしら」
なんとも可笑しな言い方だと、リタは思わず苦笑してしまった。それにしても。
「でも、ニックとレズリーの本性を知ったあなたが、そんなこと出来るの?」
自暴自棄になってやしないか。あんなに大切にしていた二人の裏切り。そんな簡単に乗り越えられるものなのか。心配そうに訊ねるリタに、ラナはにやりと口角を上げてみせた。
「やってみせるわ。今度はわたしの演技で、二人を騙す番よ」
ふふふふふふふ。
見たことのない笑みを浮かべるラナ。無理しているのか、いないのか。もはやリタにも判断できなかった。
あなたにおすすめの小説
文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる──
侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。
だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。
アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。
そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。
「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」
これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。
4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。
待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。
そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。
なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと?
婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。
※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。
※ゆるふわ設定のご都合主義です。
※元サヤはありません。