もっと傲慢でいてください、殿下。──わたしのために。

ふまさ

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 月日は流れ、一年生の教育課程が修了し、二年生になる前の休みの朝。

 イライジャは、父親である国王に呼び出され、謁見の間に向かっていた。

(父上の部屋や執務室でなく、どうして謁見の間なんだろう……?)

 前を歩く兵に続いて歩きながら、イライジャが窓から見える太陽を見上げる。

(どんな用かは知らないが、今日もデートの約束があるから、早めにすましてくれるといいけど)

 なんてことを吞気に考えている間に、イライジャは謁見の間に到着した。兵によって開けられた扉から足を踏み入れると、玉座にはすでに、国王が座っていた。そしてまわりを見渡せば、重臣たちと共に、クラリスもこちらに目を向け、立っていた。

「何だ。クラリスまで呼ばれていたのか」

 玉座の正面に真っ直ぐ伸びる真っ赤な絨毯の右側に立つクラリスに近付こうとするイライジャを、国王が止めた。

「──お前は、そこに立て」

 国王が指差したのは、玉座の正面だった。イライジャは、圧を感じる声色に戸惑いながらも、それに従った。

 不思議そうな表情のイライジャと数秒目線を交差させた国王は、大きく、深く、ため息をついた。

「……前代未聞だぞ」

「? 何がでしょうか」

「次期国王にふさわしいかどうか。普通なら、三年の年月をかけて見極める。なのにお前は、たった一年で、その資格なしとの烙印を押された」

 イライジャは、目を丸くした。同時に、思考も停止した。

「……あの。意味がよく」

「王位継承権のある者が、どうして代々学園の生徒会長になるのか。考えたことはあるか」

「……ええと」

 普段なら、もう少しまともな意見を言えていたかもしれないが、今のイライジャは、頭が真っ白だった。

「学園という小さな国をまとめることが出来ない者が、国をまとめることが出来ると思うか?」

「! あ、ああ……そういう」

 なるほど。イライジャが、納得したように呟く。その様子に、その場にいる者はみな、呆れはてていた。


 ──たった一人を除いて。
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