30 / 124
3章 クリスマスの夜
01 始まり
しおりを挟む
ジークは現在ロンドンから離れパリにいた。ジークにとっては二つめの街になる。
石橋と凱旋門、更にエッフェル塔が特徴の街で、人通りも多い。
統一感ある街並みは大都市改造によるもので、狭い道を無くしていきスラム街をパリから消していった。
そんなパリに何故ジークはいるのかというと、前回の寝台列車で起きた事件の捜査協力で市長から飛行機のチケットを手に入れ、単純に次の街に行く手段を得たからだった。
ジークは空港でパリを案内するエリックと共に観光をしながら買い物も済ませていた。
街が違うと店で手に入るアイテムや装備も変わってくるのがこのゲームのシステムだ。
いつまでもギルドの借り物でいるわけにもいかないので、今まで得た報酬から装備を購入したのだ。
借りた武器が片手剣だったこともあり、自分で初めて購入した武器も片手剣にした。他にも戦闘で使えそうなアイテムや防具も買っていった。それでも手持ちは余る程余裕があった。
だが、パリに来たのは単に装備を揃える為ではない。実は市長から依頼も受けていた。いわゆるクエストというものだ。
どうも、ロンドンの機密文書をドイツの諜報員によって奪われてしまったようで、その諜報員は飛行機に乗りパリへ向かったことまでは分かっているが、ロンドンの警官をパリに向かわせるのは無理なので、かわりにその機密文書を盗んだ諜報員を探してきて欲しいというものだった。
「人探しならこの人に訊くのが一番です」
エリックは自信満々に自分をある建物へと案内する。
「エリックさんが案内しようとしてるその人物とはどんな方なんです?」
「名前はヴェラ・ミラー。この辺りでは有名な占い師です」
「占い師?」
建物の中に入って一階にある部屋のドアをエリックはノックした。
扉が開かれると中から若い女性が現れた。女性は自分達を見るなり「どうぞ」と言った。
中に入り、長椅子にエリックとジークが並ぶように座るとテーブルの上に用紙とペンが置かれた。
「どうぞ記入していって下さい」
「あの、私達はまだ何も喋ってはいませんが?」
「占いに来たのですよね? でしたら、記入をしていって下さい」
ジークは言われた通りに従った。
本心は、占いで人が見つかるならこの街の行方不明者はゼロなんだろうなと皮肉に思ったのだが、なんとか胸の中に留めた。
「はい、書き終わりましたよ」
女性は用紙を受け取り、チェックする。それから「宜しいですよ。それではあちらの階段から二階へ向かって下さい」
そう言われたので直ぐ近くにあった階段を上がっていった。
部屋のドアが僅かに開いたままで、多分恐らくはこの部屋のことだろうと覗いてみると中から「とっとと入ってきたらどうだ」と低い女性の声がかかった。
ジークとエリックは顔を合わせると、ジークは扉を開けて中に入った。
奥が窓際でよく太陽の光が入り、窓を背にして椅子に座っている女性がいた。
年齢は40代といったところか。煙草を吸い、机の上には灰皿と書類が山積みになっている。
鈴の音がしたので足元を見ると、そこには鈴を付けた黒猫がいた。
ジークは再び女性の方を見る。
「あなたが占い師のヴェラ・ミラーさんですか?」
「ああ、その通りだ。そう言うあなたはジーク。ロンドンからわざわざこのパリへと訪れた。占って欲しいことは人探し。しかし、不思議なことにあんたはその人物のことをよく知らない。知りもしない人物を追っかけているなんて妙な話しだが、なに、今までも似たような依頼をする客はいたさ。例えば、犯人を探してくれとか」
「す、凄い! 当たってますよジークさん」
「いや、一階の人から情報を得たんだと思いますよ」
「しかし、この部屋を見る限りは電話は見当たらないですが」
「電話は嫌いでね」
「電話がなくても例えばこの部屋の真下は丁度先程受付を済ませた部屋になります。窓から洗濯バサミを取り付けた紐を垂らし、私が記入した用紙を私達が階段を登っている間に受け取ればいい。それ以外に連絡手段があれば、それを利用したのかもしれません」
「ジークさん、失礼ですよ!」
しかし、ヴェラ・ミラーは笑った。
「そうやっていつも人を疑っているのか?」
「申し訳ありません。つい……気を悪くされましたか?」
「いいや。慣れっこさ。むしろ、それぐらいで弱音を吐いていたら占い師なんて続けられんよ」
「それで、本当に分かるんですか? 手掛かりはないんですよ?」
「だから占いを頼りに来たんだろ。いや、あんたはその隣の男に連れて来られただけか。まぁ、いい。私には分かる。あんた達が求めるものを……この近くにホテルがある。そこではホテル恒例のパーティーが行われる。ホテル宿泊者でなくても料金を支払えば参加出来るが、人数制限があって宿泊客優先になっている。そこに、探している人物が現れる」
「パーティーに?」
「そこには色んな人物も出席する。大物がね。パーティーは翌日の夜」
「分かりました」
エリックはそのホテルを案内してくれた。
大きなホテルの目の前には『クリスマスパーティー開催』と看板があった。
「なる程、パーティーってそれか」
石橋と凱旋門、更にエッフェル塔が特徴の街で、人通りも多い。
統一感ある街並みは大都市改造によるもので、狭い道を無くしていきスラム街をパリから消していった。
そんなパリに何故ジークはいるのかというと、前回の寝台列車で起きた事件の捜査協力で市長から飛行機のチケットを手に入れ、単純に次の街に行く手段を得たからだった。
ジークは空港でパリを案内するエリックと共に観光をしながら買い物も済ませていた。
街が違うと店で手に入るアイテムや装備も変わってくるのがこのゲームのシステムだ。
いつまでもギルドの借り物でいるわけにもいかないので、今まで得た報酬から装備を購入したのだ。
借りた武器が片手剣だったこともあり、自分で初めて購入した武器も片手剣にした。他にも戦闘で使えそうなアイテムや防具も買っていった。それでも手持ちは余る程余裕があった。
だが、パリに来たのは単に装備を揃える為ではない。実は市長から依頼も受けていた。いわゆるクエストというものだ。
どうも、ロンドンの機密文書をドイツの諜報員によって奪われてしまったようで、その諜報員は飛行機に乗りパリへ向かったことまでは分かっているが、ロンドンの警官をパリに向かわせるのは無理なので、かわりにその機密文書を盗んだ諜報員を探してきて欲しいというものだった。
「人探しならこの人に訊くのが一番です」
エリックは自信満々に自分をある建物へと案内する。
「エリックさんが案内しようとしてるその人物とはどんな方なんです?」
「名前はヴェラ・ミラー。この辺りでは有名な占い師です」
「占い師?」
建物の中に入って一階にある部屋のドアをエリックはノックした。
扉が開かれると中から若い女性が現れた。女性は自分達を見るなり「どうぞ」と言った。
中に入り、長椅子にエリックとジークが並ぶように座るとテーブルの上に用紙とペンが置かれた。
「どうぞ記入していって下さい」
「あの、私達はまだ何も喋ってはいませんが?」
「占いに来たのですよね? でしたら、記入をしていって下さい」
ジークは言われた通りに従った。
本心は、占いで人が見つかるならこの街の行方不明者はゼロなんだろうなと皮肉に思ったのだが、なんとか胸の中に留めた。
「はい、書き終わりましたよ」
女性は用紙を受け取り、チェックする。それから「宜しいですよ。それではあちらの階段から二階へ向かって下さい」
そう言われたので直ぐ近くにあった階段を上がっていった。
部屋のドアが僅かに開いたままで、多分恐らくはこの部屋のことだろうと覗いてみると中から「とっとと入ってきたらどうだ」と低い女性の声がかかった。
ジークとエリックは顔を合わせると、ジークは扉を開けて中に入った。
奥が窓際でよく太陽の光が入り、窓を背にして椅子に座っている女性がいた。
年齢は40代といったところか。煙草を吸い、机の上には灰皿と書類が山積みになっている。
鈴の音がしたので足元を見ると、そこには鈴を付けた黒猫がいた。
ジークは再び女性の方を見る。
「あなたが占い師のヴェラ・ミラーさんですか?」
「ああ、その通りだ。そう言うあなたはジーク。ロンドンからわざわざこのパリへと訪れた。占って欲しいことは人探し。しかし、不思議なことにあんたはその人物のことをよく知らない。知りもしない人物を追っかけているなんて妙な話しだが、なに、今までも似たような依頼をする客はいたさ。例えば、犯人を探してくれとか」
「す、凄い! 当たってますよジークさん」
「いや、一階の人から情報を得たんだと思いますよ」
「しかし、この部屋を見る限りは電話は見当たらないですが」
「電話は嫌いでね」
「電話がなくても例えばこの部屋の真下は丁度先程受付を済ませた部屋になります。窓から洗濯バサミを取り付けた紐を垂らし、私が記入した用紙を私達が階段を登っている間に受け取ればいい。それ以外に連絡手段があれば、それを利用したのかもしれません」
「ジークさん、失礼ですよ!」
しかし、ヴェラ・ミラーは笑った。
「そうやっていつも人を疑っているのか?」
「申し訳ありません。つい……気を悪くされましたか?」
「いいや。慣れっこさ。むしろ、それぐらいで弱音を吐いていたら占い師なんて続けられんよ」
「それで、本当に分かるんですか? 手掛かりはないんですよ?」
「だから占いを頼りに来たんだろ。いや、あんたはその隣の男に連れて来られただけか。まぁ、いい。私には分かる。あんた達が求めるものを……この近くにホテルがある。そこではホテル恒例のパーティーが行われる。ホテル宿泊者でなくても料金を支払えば参加出来るが、人数制限があって宿泊客優先になっている。そこに、探している人物が現れる」
「パーティーに?」
「そこには色んな人物も出席する。大物がね。パーティーは翌日の夜」
「分かりました」
エリックはそのホテルを案内してくれた。
大きなホテルの目の前には『クリスマスパーティー開催』と看板があった。
「なる程、パーティーってそれか」
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる