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6章 恐怖のラブレター
09 探偵VS死神
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18日の朝刊には昨日の爆発について犯人が新聞社に送ったメッセージが記事にされてあった。
「市長が宿泊するホテルの前で爆発が起こったことを市長は知っている筈だ。これで、私が本気だと伝わった筈だ。市長は自分のせいで他人を巻き込みたくはないだろ? なら、市長は一人でいるべきだ。市長を守る警官も、家族がいる筈だ。その者達の命まで奪いたいとは思わない。ならば、すべきことをしろ。市民の大勢の前で告白し謝罪しろ」
最後に死神よりと書かれてあった。
リッター刑事はジークの顔を見るなり「朝刊を見ました?」と訊いてきた。
今じゃロンドン市民は全員釘付けだ。市長と死神を名乗る犯人の対決が行われているのだから。それを世間は面白がって読んでいた。
次の朝刊が待ち遠しい。まるで、続きが気になる小説のようだ。
市長は今隣の部屋で顔を青ざめている。
「そうだ、頼まれたもの作っておきましたけど……」
そう言って山のようなリストをテーブルの上に置いた。
「これ全部?」
「分かっている範囲です。もっとかも。これ市長が見たら気絶してしまうかも。しかし、よくこんなに恨まれると分かっていても市長をやろうと思いますね。頼まれても政治家になろうとは思いませんよ」
「誰でも好かれる政治家は難しいのでしょう」
そう言って、リッター刑事が用意してくれたリストを一つ一つ確認していく。
「その中に犯人がいると思いますか?」
「どうでしょう……そう言えば市長の次の場所は決まったんですか?」
「いえ……実は少し困っていて、市長が自分の家に戻ると言い出したのです」
「恐らくは新聞を読んでそう思われたのでしょう」
「えぇ、そうです。よく分かりましたね」
「市長の性格が少しは分かってきたんですよ。市長は誰も自分を守る為に犠牲になってもらいたくはないのでしょう」
「全く! 何の為のボディーガードですか。何の為の警察ですか。市長をお守りするのが我々の仕事だと言うのに」
「まぁまぁ」
だが、結局リッター刑事の説得に応じなかった市長は自宅へと戻った。
19日の朝刊。
「市長は勇敢ある人物だ! お世話になったホテルへの感謝も忘れなかった! それどころか自分を守るボディーガードや警察にまで気を遣っている! 市長は決して脅迫に屈したりはしない。万が一屈することがあれば、それは即ち民主主義が揺らぐことを意味する。選挙に不正はなく、これは文句のつけようがない市長の大勝利である。故に市長の決意は固い。やりきる決意だ。そんな市長を卑劣な犯人にやらせるわけにはいかない。死神と名乗る犯人に告ぐ。直ちに出頭せよ」
最後に探偵とあった。
19日の夜。
市長の家の近くまできたとある人物は、双眼鏡で家の様子を屋上から覗いた。
家には明かりがあり、書斎には市長の姿があった。
下を向けると、門の前には警官が立っており、市長の家の周辺は私服警官が巡回している。
腕時計を見て時間を確認する。
こんな時間にしては人が多い。
全く分かっていない。これでは私服警官の意味はない。
もう一度双眼鏡で中を確認する。
例の男、探偵の姿は見当たらない。
まぁ、いい。
恐らく、探偵は翌日の朝刊が出るのを待っている筈だ。
だが、翌日の朝刊は来ない。
その前に決着をつけるからだ。
さぁ、終わりにしよう。
双眼鏡からライフルのスコープで標的を確認する。そして、引き金に指をかけ、あとは引くだけ。
市長は書斎を出て移動する。
此方も銃口を追いかける。
息を整え、チャンスを伺う。
相手が止まった瞬間を狙え。そう自分に言い聞かせて。
その直後、異変に気づいた。
「誰だ?」
似ているが市長ではない。
どういうことだ!?
その頃、市長とリッター刑事、それにジークは列車の中にいた。
「うまくいったのかしら……」
市長は不安そうにしているが、リッター刑事は自信満々に「大丈夫ですよ。市長そっくりな人物があなたの身代わりになっているんですから」と答えた。
そう、これを考えたのはジークだった。
身代わりを用意させ、犯人を信じ込ませる為に警察の警備も配置し信じ込ませる演技をさせたのだ。
「心配です」
「ご安心を。防弾ガラスに窓を全て変えましたから」
「犯人は爆弾を使うかも」
「それではあなた以外の犠牲者が出ることになります。犯人がそれでも構わず行動に出たらそれまでですが、ジークさんは爆弾を使ってこないと言ったので、大丈夫でしょう」
「カルメン市長が狙われた際に銃が使われました。となれば、一人を狙うのにわざわざ爆弾を使わないでその銃を使うと思ったんです。ですが、あのホテルではそれは不可能。だから、市長にはあのホテルから出てもらう必要があったんです。カルメン市長の自宅ならば、そこから狙撃出来るポイントはだいたい分かります」
「既に警察は待機済みです。犯人は知らないでしょうな」
リッター刑事がそう言っている間にも、警官隊は階段を駆け上がり、建物屋上への扉をまさに開けるところだった。
そして、警官隊が扉を開けると同時にジーク達が乗る列車が急停止した。
「なんで止まった!?」
リッター刑事は驚き席を立つと、コロコロと何かが転がっていく音がした。
ジークは何だろうと思い顔を横に向けると、手榴弾が転がっていた。
「なっ!?」
「市長が宿泊するホテルの前で爆発が起こったことを市長は知っている筈だ。これで、私が本気だと伝わった筈だ。市長は自分のせいで他人を巻き込みたくはないだろ? なら、市長は一人でいるべきだ。市長を守る警官も、家族がいる筈だ。その者達の命まで奪いたいとは思わない。ならば、すべきことをしろ。市民の大勢の前で告白し謝罪しろ」
最後に死神よりと書かれてあった。
リッター刑事はジークの顔を見るなり「朝刊を見ました?」と訊いてきた。
今じゃロンドン市民は全員釘付けだ。市長と死神を名乗る犯人の対決が行われているのだから。それを世間は面白がって読んでいた。
次の朝刊が待ち遠しい。まるで、続きが気になる小説のようだ。
市長は今隣の部屋で顔を青ざめている。
「そうだ、頼まれたもの作っておきましたけど……」
そう言って山のようなリストをテーブルの上に置いた。
「これ全部?」
「分かっている範囲です。もっとかも。これ市長が見たら気絶してしまうかも。しかし、よくこんなに恨まれると分かっていても市長をやろうと思いますね。頼まれても政治家になろうとは思いませんよ」
「誰でも好かれる政治家は難しいのでしょう」
そう言って、リッター刑事が用意してくれたリストを一つ一つ確認していく。
「その中に犯人がいると思いますか?」
「どうでしょう……そう言えば市長の次の場所は決まったんですか?」
「いえ……実は少し困っていて、市長が自分の家に戻ると言い出したのです」
「恐らくは新聞を読んでそう思われたのでしょう」
「えぇ、そうです。よく分かりましたね」
「市長の性格が少しは分かってきたんですよ。市長は誰も自分を守る為に犠牲になってもらいたくはないのでしょう」
「全く! 何の為のボディーガードですか。何の為の警察ですか。市長をお守りするのが我々の仕事だと言うのに」
「まぁまぁ」
だが、結局リッター刑事の説得に応じなかった市長は自宅へと戻った。
19日の朝刊。
「市長は勇敢ある人物だ! お世話になったホテルへの感謝も忘れなかった! それどころか自分を守るボディーガードや警察にまで気を遣っている! 市長は決して脅迫に屈したりはしない。万が一屈することがあれば、それは即ち民主主義が揺らぐことを意味する。選挙に不正はなく、これは文句のつけようがない市長の大勝利である。故に市長の決意は固い。やりきる決意だ。そんな市長を卑劣な犯人にやらせるわけにはいかない。死神と名乗る犯人に告ぐ。直ちに出頭せよ」
最後に探偵とあった。
19日の夜。
市長の家の近くまできたとある人物は、双眼鏡で家の様子を屋上から覗いた。
家には明かりがあり、書斎には市長の姿があった。
下を向けると、門の前には警官が立っており、市長の家の周辺は私服警官が巡回している。
腕時計を見て時間を確認する。
こんな時間にしては人が多い。
全く分かっていない。これでは私服警官の意味はない。
もう一度双眼鏡で中を確認する。
例の男、探偵の姿は見当たらない。
まぁ、いい。
恐らく、探偵は翌日の朝刊が出るのを待っている筈だ。
だが、翌日の朝刊は来ない。
その前に決着をつけるからだ。
さぁ、終わりにしよう。
双眼鏡からライフルのスコープで標的を確認する。そして、引き金に指をかけ、あとは引くだけ。
市長は書斎を出て移動する。
此方も銃口を追いかける。
息を整え、チャンスを伺う。
相手が止まった瞬間を狙え。そう自分に言い聞かせて。
その直後、異変に気づいた。
「誰だ?」
似ているが市長ではない。
どういうことだ!?
その頃、市長とリッター刑事、それにジークは列車の中にいた。
「うまくいったのかしら……」
市長は不安そうにしているが、リッター刑事は自信満々に「大丈夫ですよ。市長そっくりな人物があなたの身代わりになっているんですから」と答えた。
そう、これを考えたのはジークだった。
身代わりを用意させ、犯人を信じ込ませる為に警察の警備も配置し信じ込ませる演技をさせたのだ。
「心配です」
「ご安心を。防弾ガラスに窓を全て変えましたから」
「犯人は爆弾を使うかも」
「それではあなた以外の犠牲者が出ることになります。犯人がそれでも構わず行動に出たらそれまでですが、ジークさんは爆弾を使ってこないと言ったので、大丈夫でしょう」
「カルメン市長が狙われた際に銃が使われました。となれば、一人を狙うのにわざわざ爆弾を使わないでその銃を使うと思ったんです。ですが、あのホテルではそれは不可能。だから、市長にはあのホテルから出てもらう必要があったんです。カルメン市長の自宅ならば、そこから狙撃出来るポイントはだいたい分かります」
「既に警察は待機済みです。犯人は知らないでしょうな」
リッター刑事がそう言っている間にも、警官隊は階段を駆け上がり、建物屋上への扉をまさに開けるところだった。
そして、警官隊が扉を開けると同時にジーク達が乗る列車が急停止した。
「なんで止まった!?」
リッター刑事は驚き席を立つと、コロコロと何かが転がっていく音がした。
ジークは何だろうと思い顔を横に向けると、手榴弾が転がっていた。
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