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6章 恐怖のラブレター
10 VS少佐①
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視界が真っ白になったかと思ったらゲームオーバーの文字が表示された。
クソッ、油断した。
まさか、いきなり手榴弾でご挨拶とは。
セーブポイントからスタートし、再びあの世界へと入り込んだ。
そして、再び列車の中に戻ると、列車が急停止するところから始まった。
コロコロと転がっていく手榴弾をキャッチし急いで後方へと投げる。
手榴弾は爆発し、衝撃を三人が襲った。
だが、ジークのおかげで三人はなんとか無事に済んだ。
「大丈夫か?」
「あぁ、助かった。よく反応できたな」とリッター刑事はジークに感心した。
いや、やり直したから反応できただけだ。
とにかくジークは手榴弾が投げられた後方を覗いた。
滅茶苦茶に破壊された座席の瓦礫に埋もれた少佐の姿があった。
頭には血が流れている。
「俺達を殺そうとしたのか?」
まだ、少佐に意識があるようで、目は微かに開き、此方を見ていた。
「クソッ……しくじった……」
少佐はそう言いながらポケットから注射器を取り出した。
注射器の中に緑色の液体が入っている。その緑色の液体は見覚えがあった。研究所の水槽の中がまさに同じ緑色をしていた。
その緑色の液体が少佐の体内へと入っていく。
すると、血管が浮かび上がり、少佐は苦しみ始めた。
体内で何かが起こっていて、その急激な変化に少佐は必死に耐えているようだった。
手足をバタつかせながら、受けた傷口が徐々に閉ざされていく。
そして、瞳の色が緑色に変化すると、少佐は落ち着き起き上がった。
まるで、生き返ったみたいに。
それから少佐は立ち上がった。手榴弾をまともにくらった男がだ。
「あり得ない」とリッター刑事は自分の目を疑ったが、これは現実だった。
「恐らく、あの注射が少佐の体に異変をもたらしたのでしょう」
「あぁ、その通りだ。君の想像する通り博士の発明品だ。緑色の液体を生物に打ち込めばその生物は急激な進化を与える。進化は単なる強化ではない。生きる為に必要な適応を与えるものだ。例えば、私は瀕死の重傷を負った。その状態で薬品を体内に打ち込めば、私の体はより頑丈なものへと変化を遂げる」
そう言って少佐は裾を破り腕を見せた。毛はなく、頑丈な皮膚は柔らかい人間の皮膚をしておらず、まるで鉄のような皮膚をしていた。失った爪は鋭い爪へと生え変わり黒い。
「人の進化は脳の発達ではなく、むしろ危機的状況から進化する。人はピンチになると、それを乗り越えようと必死になる。生物の本能だ」
アニメや漫画で主人公がピンチになる度に強くなっていくのと近い。
「私のピンチは進化に必要な条件だった。だから、君にはむしろ感謝している。おかげで私は誰よりも先に進化を得ることができた」
「進化に必要な条件が瀕死なら、失敗したら死に繋がっていた筈だ。そんなリスクのある研究は成功とは言えない」
「違うな。今まで出来なかったものを発明した時点で博士の研究は成功している。何事も、リスク無しでは得るものも無い。重傷を負った兵士がもう助からないと分かった時点で博士の薬品を打ち込めば、むしろそれはチャンスに繋がる。博士の発明はチャンスを作ったことだ」
「なる程。あなた達はそれを実戦で使いたいわけですね」
「逆に兵器にもなる。瀕死でない状態の人間に博士の研究を打ち込めば、その人物は死ぬ。リスク無しの進化を求める欲求は身を滅ぼすわけだ」
リッター刑事は銃を取り出し少佐に向けた。
「化け物が」
そう言って発砲したが、少佐はそれを目でとらえることが出来ないスピードで回避した。
「銃をこの距離で避けたのか!?」
「これが進化だ」
少佐は大笑いした。この状況に優越感に浸っているのだ。
「市長、俺達でなんとか足止めするのであなただけでも逃げて下さい」
「わ、分かったわ」
市長はそう言って隣の車両へと逃げ込んだ。
リッター刑事がかっこよく俺達と言ったのをジークは聞き逃さなかった。どうやら自分は化け物に進化してしまった少佐と戦わなければならないようだ。
ジークはアイテム欄から武器を装備した。
ボロボロの片手剣と盾が装備されてからまずいと気づいた。
エジプトからロンドンに戻った時にバトルは一切なかったのですっかり忘れていた。エジプトでモンスターばかり戦ってレベル上げをしていた時に武器がボロボロで買い替えのタイミングだったことをだ。
大丈夫なのか、この武器で。
そういう不安があるまま少佐との戦闘が始まった。
少佐はいきなりリッター刑事を襲いかかった。
鋭い爪は凶器で、リッター刑事の体に鋭い5本の縦線を刻んだ。
大量の血を流しながらリッター刑事は倒れ込んだ。
「リッター刑事! 大丈夫ですか」
相手が早すぎて反応しきれなかった。
リッター刑事は口からも吐血しながら「あとは……頼んだ……」と言って意識を失った。
その直後、視界にバッドエンドの文字が表示された。
そして、再びセーブポイントに戻された。
どうやら、リッター刑事を守りながら少佐に勝利しなければならないらしい。
セーブポイントは、少佐が進化を遂げた後だった。
市長が隣の車両へ逃げ込むと、戦闘が始まった。
バッドエンド前と同じく少佐はリッター刑事に襲いかかろうとした。今度は直ぐに対応できたジークは盾でリッター刑事を守りに出た。
少佐の鋭い爪はジークの盾を破壊し、防具はキラキラと光りながら消滅した。
「よく反応したな」
少佐は感心し、リッター刑事は「助かった!」とお礼を言った。
「お礼は少佐を倒せたらにして欲しい」
ジークはそう言った。だってそれは本音だからだ。
もう、少佐からの攻撃を防ぐ手段はない。
「銃は効かない。どうやって倒す?」
リッター刑事はジークに訊いたが、それは自分にだって分からなかった。
クソッ、油断した。
まさか、いきなり手榴弾でご挨拶とは。
セーブポイントからスタートし、再びあの世界へと入り込んだ。
そして、再び列車の中に戻ると、列車が急停止するところから始まった。
コロコロと転がっていく手榴弾をキャッチし急いで後方へと投げる。
手榴弾は爆発し、衝撃を三人が襲った。
だが、ジークのおかげで三人はなんとか無事に済んだ。
「大丈夫か?」
「あぁ、助かった。よく反応できたな」とリッター刑事はジークに感心した。
いや、やり直したから反応できただけだ。
とにかくジークは手榴弾が投げられた後方を覗いた。
滅茶苦茶に破壊された座席の瓦礫に埋もれた少佐の姿があった。
頭には血が流れている。
「俺達を殺そうとしたのか?」
まだ、少佐に意識があるようで、目は微かに開き、此方を見ていた。
「クソッ……しくじった……」
少佐はそう言いながらポケットから注射器を取り出した。
注射器の中に緑色の液体が入っている。その緑色の液体は見覚えがあった。研究所の水槽の中がまさに同じ緑色をしていた。
その緑色の液体が少佐の体内へと入っていく。
すると、血管が浮かび上がり、少佐は苦しみ始めた。
体内で何かが起こっていて、その急激な変化に少佐は必死に耐えているようだった。
手足をバタつかせながら、受けた傷口が徐々に閉ざされていく。
そして、瞳の色が緑色に変化すると、少佐は落ち着き起き上がった。
まるで、生き返ったみたいに。
それから少佐は立ち上がった。手榴弾をまともにくらった男がだ。
「あり得ない」とリッター刑事は自分の目を疑ったが、これは現実だった。
「恐らく、あの注射が少佐の体に異変をもたらしたのでしょう」
「あぁ、その通りだ。君の想像する通り博士の発明品だ。緑色の液体を生物に打ち込めばその生物は急激な進化を与える。進化は単なる強化ではない。生きる為に必要な適応を与えるものだ。例えば、私は瀕死の重傷を負った。その状態で薬品を体内に打ち込めば、私の体はより頑丈なものへと変化を遂げる」
そう言って少佐は裾を破り腕を見せた。毛はなく、頑丈な皮膚は柔らかい人間の皮膚をしておらず、まるで鉄のような皮膚をしていた。失った爪は鋭い爪へと生え変わり黒い。
「人の進化は脳の発達ではなく、むしろ危機的状況から進化する。人はピンチになると、それを乗り越えようと必死になる。生物の本能だ」
アニメや漫画で主人公がピンチになる度に強くなっていくのと近い。
「私のピンチは進化に必要な条件だった。だから、君にはむしろ感謝している。おかげで私は誰よりも先に進化を得ることができた」
「進化に必要な条件が瀕死なら、失敗したら死に繋がっていた筈だ。そんなリスクのある研究は成功とは言えない」
「違うな。今まで出来なかったものを発明した時点で博士の研究は成功している。何事も、リスク無しでは得るものも無い。重傷を負った兵士がもう助からないと分かった時点で博士の薬品を打ち込めば、むしろそれはチャンスに繋がる。博士の発明はチャンスを作ったことだ」
「なる程。あなた達はそれを実戦で使いたいわけですね」
「逆に兵器にもなる。瀕死でない状態の人間に博士の研究を打ち込めば、その人物は死ぬ。リスク無しの進化を求める欲求は身を滅ぼすわけだ」
リッター刑事は銃を取り出し少佐に向けた。
「化け物が」
そう言って発砲したが、少佐はそれを目でとらえることが出来ないスピードで回避した。
「銃をこの距離で避けたのか!?」
「これが進化だ」
少佐は大笑いした。この状況に優越感に浸っているのだ。
「市長、俺達でなんとか足止めするのであなただけでも逃げて下さい」
「わ、分かったわ」
市長はそう言って隣の車両へと逃げ込んだ。
リッター刑事がかっこよく俺達と言ったのをジークは聞き逃さなかった。どうやら自分は化け物に進化してしまった少佐と戦わなければならないようだ。
ジークはアイテム欄から武器を装備した。
ボロボロの片手剣と盾が装備されてからまずいと気づいた。
エジプトからロンドンに戻った時にバトルは一切なかったのですっかり忘れていた。エジプトでモンスターばかり戦ってレベル上げをしていた時に武器がボロボロで買い替えのタイミングだったことをだ。
大丈夫なのか、この武器で。
そういう不安があるまま少佐との戦闘が始まった。
少佐はいきなりリッター刑事を襲いかかった。
鋭い爪は凶器で、リッター刑事の体に鋭い5本の縦線を刻んだ。
大量の血を流しながらリッター刑事は倒れ込んだ。
「リッター刑事! 大丈夫ですか」
相手が早すぎて反応しきれなかった。
リッター刑事は口からも吐血しながら「あとは……頼んだ……」と言って意識を失った。
その直後、視界にバッドエンドの文字が表示された。
そして、再びセーブポイントに戻された。
どうやら、リッター刑事を守りながら少佐に勝利しなければならないらしい。
セーブポイントは、少佐が進化を遂げた後だった。
市長が隣の車両へ逃げ込むと、戦闘が始まった。
バッドエンド前と同じく少佐はリッター刑事に襲いかかろうとした。今度は直ぐに対応できたジークは盾でリッター刑事を守りに出た。
少佐の鋭い爪はジークの盾を破壊し、防具はキラキラと光りながら消滅した。
「よく反応したな」
少佐は感心し、リッター刑事は「助かった!」とお礼を言った。
「お礼は少佐を倒せたらにして欲しい」
ジークはそう言った。だってそれは本音だからだ。
もう、少佐からの攻撃を防ぐ手段はない。
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リッター刑事はジークに訊いたが、それは自分にだって分からなかった。
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