探偵主人公

アズ

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6章 恐怖のラブレター

11 VS少佐②

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 リッター刑事はあるだけの弾を少佐に向け撃ち続けた。だが、どれも素早く回避されてしまい、結局リッター刑事は弾を早くに失った。
 もっと計画的に弾を使いきる前にここぞという時の為に温存してもらいたかった。
 頭の悪いNPCが役に立たないことはゲームの中では珍しい光景ではないが。
 リッター刑事とジークも引き下がり隣の車両へと移動した。
 少佐は笑いながら座席を次々と破壊しながら進んだ。
 扉もだ。
 そうやって二人を追いかけるように隣の車両へと移動した。
「これ以上引き下がれば他の乗客が避難している車両に追いついてしまう。どうにかここで倒さないと」とリッター刑事は更に勝利条件をさらっと追加した。
 ジークはやけくそに効くかどうか分からないまま残ったボロボロの片手剣を振るった。少佐は腕を出して片手でガードした。
 鉄のように頑丈になった腕は簡単に剣を防いだ。むしろ、ダメージを負ったのはジークの剣だった。
 ポロッと剣が折れ、刃先が落ち床に突き刺さった。
 片手剣が破壊され消失する。
「おい! まさか剣もか」
 ジークはアイテム欄からログインボーナスであるだけの手榴弾を出すと、少佐に向けて投げまくった。
 少佐の足元に手榴弾が沢山転がり、それは一斉に爆発した。
「やったか!?」
 リッター刑事は大声をあげたが、少佐は無傷だった。
 一切、ダメージを負った感じはしない。
 もう、攻撃を与えるアイテムは無い。
 そして、再びバッドエンドの文字を見ることになる。
 一日に三度も死ぬことになったのは今回が初めてだった。
 最後、自分がやられた時、一回の攻撃で即死だった。
 単純に装備だけでなくレベルも不足していたのかもしれない。
 その為、再び少佐戦をするのではなくもっと前のセーブポイントに今度は戻ることにした。
 それがエジプトだった。
 砂漠の場所に戻るとジークはそこから街へ向かい、一旦装備を揃えることにした。
 これまで事件を解決し貯めてきたお金で今まで以上の武器を装備した。
 武器にはランクがあり、高いランクであればある程高い攻撃力を持ち合わせ、それ相応の価格となる。
 前回はランクB相当だったのを今回は奮発してランクS相当に変更した。盾も同様にだ。それに加え状況に応じ遠距離も出来るよう銃関係も揃えた。
 色々と買い揃えていると、それなりにあった貯金はすっかり無くなってしまっていた。
 貧乏に逆戻りだ。
 現実もゲームの世界も貧乏とは。
 とにかく装備を揃い終えたジークはまだ保留中だったダンジョン化したピラミッドでレベル上げをする為にパーティ募集欄を見た。
 現在、募集中のパーティはどれも条件指定が多く、レベル50以上や35以上など、自分のレベルよりはるかに高い設定のものが多かった。確かに、自分は冒険やレベル上げより事件ばかりに時間を費やしていたからどんどん自分より後から始めたプレイヤーに追い抜かれているのは事実だった。
 それに、始まりの街がプレイヤーによってランダムに決まるので、単純にエジプトから始まったプレイヤーが少ないのもあった。
 ようやく、自分が入れそうなパーティ一覧を見つけると、とりあえず申請を送った。
 暫くしてかは返事が来て「どこにいますか?」とあったのでショップにいることを伝えた。
 メンバーはそのショップにわざわざ来てくれると言うので待っていると、女性のプレイヤーがショップに入ってきた。
「あなたね、申請したの?」
 黒いボブヘアに見た目日本人のプレイヤーの服装は忍者のような格好をしていた。
「忍者?」外見をそのまま口にすると、女は笑って「忍者風」と答えた。
 見た目年齢は大学生みたいだが。
「この世界では忍術はないの。魔法と同じね。あるのは、生々しい銃ばかり。まぁ、他にもあるけど、最終的に皆銃に落ち着くのよね。だって、楽だから」
「でも、銃で効かない相手もいるでしょ?」
「いるの?」
 逆に聞き返されてしまった。
 実際にいたんだが。それも人間相手だが。
「私の武器は手裏剣と刀よ」
「それじゃ、忍者だ」
「手裏剣があるし忍者の格好の装備もあったからね。でも、忍術はないのよ」
「その格好で活躍したらアップデートで忍術が使えるかもよ」
「そうかしら?」
「あぁ、自己紹介が遅れました。ジークです」
「ジークフリート?」
「いいえ。ジークという名前です」
「あ、そう。私はマーニーよ」
「それで、あなた以外のメンバーはどちらに?」
「私だけよ」
「あぁ、そうだったんですね。それじゃ、マーニーさんもずっとソロで?」
「マーニーでいいわ。私もジークって呼ぶから。あなたもソロだったの?」
「はい、そうです」
「レベルは?」
「20です」
「私は30よ。それじゃ、始めたのは私より後なのかしら? まぁ、いいわ。それで、ピラミッドに早速行く?」
「二人で行けますか?」
「一時間ぐらい募集してあなただったけど」
「それは……では、行きますか」
「あなた、エジプトが始まりの街?」
「いえ、ロンドンです」
「ロンドン!! いいなぁ、私このゲーム始めたの色んな国に行けるからなの。でも、他の国に行くにはミステリーを進めなきゃ行けないでしょ? 私の始まりの街は日本だったの」
「あぁ、それで忍者の格好だったんですね。あれ? でも確か」
「エジプトはようやく2つ目の街に行けた場所なの。行けるのは日本とエジプトだけ」
「私はイギリス以外にエジプトとパリに行けます」
「パリ!! いいなぁ。それじゃ、私よりミステリーが得意なのね。そう言えばジーク……聞いたことある名前ね。ありそうな名前だったからスルーしてたけど、まさか新聞で度々出る有名な探偵じゃ?」
「まぁ、たまに新聞にのってますね」
「やっぱり! ピラミッドは単に迷路ってだけじゃなくて仕掛けや謎もあるらしいから、少し頼りにしてるね」
 そう言ったマーニーは着ていた装備を一瞬で変更した。
 忍者から探検家のような格好になった。
「私はいつも環境に適合した服に変えるの。あなたも探偵なら旅芸人みたいな格好とかじゃなくて探偵の格好したら?」
「スーツならありますが動きにくいので」
「ダメよ! お洒落に気を遣わなきゃ。イギリス出身でしょ」
「始まりの街を出身と言う人に初めて会いました」
「ずっとソロだったんでしょ?」
「えぇ、そうですが」
 しかし、強引なマーニーのすすめでジークはトレンチコートにパイプ(煙草)に虫眼鏡まで持たされた。しかも、何故か虫眼鏡は部類はアイテムではなく武器扱いになっていた。
 こんなものでどうやって戦えと言うのか。
 時折、おかしなところがあるゲームだとジークは思った。
 それから二人はピラミッドの中へと向かった。



 ピラミッドの中は非常に暗く、等間隔に松明の明かりがあるぐらいだった。
 通路は一つしかなく、二人は真っ直ぐ進んだ。
 途中、道は行き止まりになった。
「あれ? ピラミッドはダンジョンじゃなかったのか?」
「違うわよジーク。さっき説明したばかりでしょ。ピラミッドは単なるダンジョンじゃないって。仕掛けがある筈よ。さぁ、あなたの推理で仕掛けを解いてみて?」
「そういきなり言われても」
「その虫眼鏡を使って調べるのよ」
「え? 虫眼鏡は関係ないでしょ」
「せっかく買ったんだから使ってよ」
 仕方なくジークは虫眼鏡を使って壁を見た。
 なんだかマーニーと組んでいるとこっちが狂わされるみたいだ。
「あれ?」
「何か見つけた?」
 虫眼鏡で壁を見ると、文字が浮かび上がったのだ。


 壁を押すと何かが起こる。


 ジークは虫眼鏡で見た通りにやって見た。
 すると、壁は動き出し斜めに前へ押すことが出来た。
「隠し通路発見!」とマーニーは言った。
 なる程、これは便利だと思った。
 更に通路を進んでいくと、奥から今度はミイラが現れた。ゾンビのようにゆったりと歩いている。いや、ゾンビなのか?
 ジークは虫眼鏡から片手剣に装備をかえると、ミイラに襲いかかった。
 敵の動きは遅く、簡単に倒すことが出来た。
「思ったより簡単?」
 そう思った直後、異常状態がアナウンスされた。


 呪いを受けました。


「呪い?」
「ミイラは死体だからね。遺体をそんな風にやったら呪いを受けるに決まってるじゃん」
「え? だったら今のはどうすれば良かったの?」
「誰かが呪いを受けるしかないね。それで無事のメンバーが呪いの解除をアイテム使って治療する。ソロプレイヤー殺しのモンスターだよ。呪われたら不幸が連続で続くし、呪い解除のアイテムも呪いを受けたプレイヤーはそのアイテムごと呪いを受けるからどうすることも出来ない。その状態で戦闘を続けると、呪いを受けたプレイヤーの攻撃は全く当たらなくなるどころか、戦闘中に毒状態に勝手になったり、装備も全て呪いを受けるから装備も耐久性がゼロになってゲームオーバー」
 最後のゲームオーバーは発音よくマーニーは言った。
「なる程。それじゃ、解除してくれないか」
「オッケー。後で解除するに使ったアイテムの費用は請求するからね」
「シビアだ」
「何?」
「いいえ、なんでもありません」



 それから30分ぐらいはピラミッドでレベル上げを行った。
「かなりレベルが稼げたわ。あなたのおかげよ、ジーク」
「請求額が最後とんでもなく此方は財布が閑古鳥が鳴いています」
「あなたの財布はモンスターを倒して稼ぐより事件を解決して稼ぐのよ、探偵さん」
「まぁ、そういうことにしましょう」
「倒せるといいわね、その少佐に」
「でなきゃ困りますけどね」
「ねぇ、また会えるようにフレンド登録しない?」
「分かりました」
 マーニーからきたフレンド申請をジークは受けた。
「少佐を倒せたらチャットで教えてね」
「えぇ、それじゃそうします」



 こうしてジークはレベルを35にしてから、再び少佐の戦闘のセーブポイントに戻った。
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