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10章 悲劇の女神
09 カラー
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「凶器の場所が分かったかもしれないって本当!?」とマーニーは言った。ジークは頷いた。
「それよりそっちの方も分かったって言うのは本当?」
「ええ」
「よし、それじゃ家に向かおう」
そして、例のリリー・セイバーヘーゲンの家に来た。
玄関から現れたリリー・セイバーヘーゲンは腕を組んでまだ余裕そうな態度だった。
「証拠はあったのかしら?」
「はい」
「そんな筈はないわ! だって私は殺っていないんですもの」
「違いますよね? まだ自信があるのは本当に犯人だからではなく、まだ凶器が見つかっていないと分かっているからですよね?」
「な、なんのことか」
「何故なら凶器はこの中にあるからです」
「あら、失礼しちゃうわ! そこまで言うなら探し回ればいいわ!」
「構わないのですか?」
「ええ、構いませんよ。でも、きっと見つかりませんから」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
ジークはそう言うと、家の中の方へは向かわず花壇のある方へと向かった。
「ちょっと! 何をするつもり」
「探して構わないんですよね」
「え、い、言ったけどそこは駄目よ! 花が駄目になってしまうわ」
しかし、ジークは花をどけて土を掘り出した。
「ああ!! やめてちょうだい!!」
ジークは土の中から刃物を取り出した。
「どうして花壇の中に刃物があるのか教えてくれますか?」
「し、知らないわ! 逆に驚いているわ。何故、こんな場所に」
「その嘘は流石に無理がありますね。普段から花を植えているあなたが、花壇の中にある凶器に全く気づかなかったと説明するのは難しいでしょう」
「うっ」
「確かに、警察が例えダイイングメッセージの意味に気づきお宅を徹底的に調べたとしても凶器は出てこなかったでしょう。まさか、花が育つ土の中に凶器が隠されているとは思わない。素晴らしい隠し場所を見つけましたね。これなら、土いじりをしているあなたなら誰かがそこを掘ったかどうか直ぐに気づけますし、いつでもあなたは確認が出来る。しかも、単なる花好きで通せる。誰も怪しむことはない。あとは鑑識に調べてもらいましょう」
「こ、こんなのはあんまりだわ! なら、何故ラウンズベリーは私が犯人だと言わなかったの! おかしいじゃない」
「いえ、言っていました。ダイイングメッセージがあなただと示している。盗み聞きしたあなたならもうその説明は不要ですよね? そして、ラウンズベリーが証言したあれが嘘だったのです」
そこで、マーニーが前に出る。
「それは私が説明するわ。私はあなたとラウンズベリーの関係についてまず調べた。でも、二人にはそんなトラブル事どころか口論すらなかった。むしろ、非常に仲の良い関係でした」
「ええ、そうよ。なのに、何故私がラウンズベリーを襲うって言うわけ?」
「むしろ、それで何故ラウンズベリーがあなたを庇って嘘をついたのかが分かったんです」
「え?」
「二人の関係はそう、とても親しく、親友というよりは」
「やめなさい! ガキがそれ以上口にしたら痛い目見るわよ!」
「でしたら、認めるんですね。あなた達の関係はカラーという花に相応しいと」
「……ええ、認めるわ。これは私の過ちから始まったの。強い想いは時に人の目を盲目にさせるのよ。私以外で仲よくするラウンズベリーの姿を目撃してしまって、つい嫉妬してしまった。私はあの人を殺したあとで自分も死ぬつもりだったの。でも、殺すには至らなかった。出来なかった」
「実行前に留まれば勘違いだったことも気づけ、無関係の女性が巻き込まれることはなかった。サーティースに濡れ衣をきせる提案はラウンズベリーからですよね」
「ええ」
「お二人はとても罪深いことをしました。結果、若い女性の人生を滅茶苦茶にしたんですから」
「分かっています」
「では、すべきことはもう分かりますね?」
「ええ、出頭し全てを話します」
その後、リリーは出頭し全てを自白した。
そして、それに伴いサーティースは釈放されることとなった。
「知ってた? カラーはブーケに使われたりするんだよ」
「ああ。今回の事件はマーニーのお手柄だよ」
すると、後ろから「そうだな」とホランド警部が現れた。
「探偵ジークに探偵マーニーか」
「そうだよ! 私だって推理はするんだから! 助手と勘違いしないでよね」
それを聞いてジークは笑った。
後日、冤罪事件を解決した二人が新聞に掲載された。
(第十章・完)
「それよりそっちの方も分かったって言うのは本当?」
「ええ」
「よし、それじゃ家に向かおう」
そして、例のリリー・セイバーヘーゲンの家に来た。
玄関から現れたリリー・セイバーヘーゲンは腕を組んでまだ余裕そうな態度だった。
「証拠はあったのかしら?」
「はい」
「そんな筈はないわ! だって私は殺っていないんですもの」
「違いますよね? まだ自信があるのは本当に犯人だからではなく、まだ凶器が見つかっていないと分かっているからですよね?」
「な、なんのことか」
「何故なら凶器はこの中にあるからです」
「あら、失礼しちゃうわ! そこまで言うなら探し回ればいいわ!」
「構わないのですか?」
「ええ、構いませんよ。でも、きっと見つかりませんから」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
ジークはそう言うと、家の中の方へは向かわず花壇のある方へと向かった。
「ちょっと! 何をするつもり」
「探して構わないんですよね」
「え、い、言ったけどそこは駄目よ! 花が駄目になってしまうわ」
しかし、ジークは花をどけて土を掘り出した。
「ああ!! やめてちょうだい!!」
ジークは土の中から刃物を取り出した。
「どうして花壇の中に刃物があるのか教えてくれますか?」
「し、知らないわ! 逆に驚いているわ。何故、こんな場所に」
「その嘘は流石に無理がありますね。普段から花を植えているあなたが、花壇の中にある凶器に全く気づかなかったと説明するのは難しいでしょう」
「うっ」
「確かに、警察が例えダイイングメッセージの意味に気づきお宅を徹底的に調べたとしても凶器は出てこなかったでしょう。まさか、花が育つ土の中に凶器が隠されているとは思わない。素晴らしい隠し場所を見つけましたね。これなら、土いじりをしているあなたなら誰かがそこを掘ったかどうか直ぐに気づけますし、いつでもあなたは確認が出来る。しかも、単なる花好きで通せる。誰も怪しむことはない。あとは鑑識に調べてもらいましょう」
「こ、こんなのはあんまりだわ! なら、何故ラウンズベリーは私が犯人だと言わなかったの! おかしいじゃない」
「いえ、言っていました。ダイイングメッセージがあなただと示している。盗み聞きしたあなたならもうその説明は不要ですよね? そして、ラウンズベリーが証言したあれが嘘だったのです」
そこで、マーニーが前に出る。
「それは私が説明するわ。私はあなたとラウンズベリーの関係についてまず調べた。でも、二人にはそんなトラブル事どころか口論すらなかった。むしろ、非常に仲の良い関係でした」
「ええ、そうよ。なのに、何故私がラウンズベリーを襲うって言うわけ?」
「むしろ、それで何故ラウンズベリーがあなたを庇って嘘をついたのかが分かったんです」
「え?」
「二人の関係はそう、とても親しく、親友というよりは」
「やめなさい! ガキがそれ以上口にしたら痛い目見るわよ!」
「でしたら、認めるんですね。あなた達の関係はカラーという花に相応しいと」
「……ええ、認めるわ。これは私の過ちから始まったの。強い想いは時に人の目を盲目にさせるのよ。私以外で仲よくするラウンズベリーの姿を目撃してしまって、つい嫉妬してしまった。私はあの人を殺したあとで自分も死ぬつもりだったの。でも、殺すには至らなかった。出来なかった」
「実行前に留まれば勘違いだったことも気づけ、無関係の女性が巻き込まれることはなかった。サーティースに濡れ衣をきせる提案はラウンズベリーからですよね」
「ええ」
「お二人はとても罪深いことをしました。結果、若い女性の人生を滅茶苦茶にしたんですから」
「分かっています」
「では、すべきことはもう分かりますね?」
「ええ、出頭し全てを話します」
その後、リリーは出頭し全てを自白した。
そして、それに伴いサーティースは釈放されることとなった。
「知ってた? カラーはブーケに使われたりするんだよ」
「ああ。今回の事件はマーニーのお手柄だよ」
すると、後ろから「そうだな」とホランド警部が現れた。
「探偵ジークに探偵マーニーか」
「そうだよ! 私だって推理はするんだから! 助手と勘違いしないでよね」
それを聞いてジークは笑った。
後日、冤罪事件を解決した二人が新聞に掲載された。
(第十章・完)
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