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11章 探偵の勘
02 原稿
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後日。ホランド警部(今度は本当)が訪ねて来た。
「ジーク、いきなりですまないが急用でな、直ぐに見てもらいたい写真があるんだ」
そう言って書斎に入ってきたと思えば、警部は胸ポケットから一枚の写真をジークに見せてきた。
それは昨日訪ねて来た作家志望のリーガンだった。
「ああ、それなら昨日来ましたよ。この方がどうかしましたか?」
「なんだと、本当か!?」
「ええ」
「なんてこった……」
警部は額に手を当てて困った顔をした。
「こいつはアメリカの元諜報員で無断でイギリスに渡ったのが分かり、アメリカからこいつの捜索願いを受けたんだ。で、探していると、どうもそいつはこの島に向かったらしいと分かって、それならまずはお前さんに聞こうと思ったんだ」
「元諜報員?」
「それで、こいつは何の用でお前んとこに訪ねに来たんだ」
ジークはリーガンが自分が心変わりをするのを期待して置いていった原稿を警部に見せてから「小説を書くのに自分をモデルにしたいので許可が欲しいと来たんです」と説明した。
原稿を読んだ警部は「なんだこれは。私も出ているじゃないか」と困惑した表情をした。
「元諜報員が何か? 作家にでも転職したってことなのか?」
「いえ、多分恐らく違うでしょう。この原稿を置いていったのも、警部が訪ねに来る前日に素顔で現れたのも、完全に私に対する挑戦でしょう」
「それじゃあれか? この原稿の内容は本当だと言うのか? となると……Xがその元諜報員!?」
「随分とナメられたものです。自分の手口をわざわざ本人が探偵の目の前で自慢するかのように話していたわけですよ」
「元諜報員だったとは言え、お前さんがそれに気づかないとはな。探偵の勘は当たらないか」
ジークはテーブルを叩き「いいでしょう。その挑戦、受けてやりますよ!」と宣言した。
「しかし、証拠は残してないんだろうな。諜報員だった男がそんなヘマをするとは思わんし。そもそも何故ジークを挑発するような真似を?」
「私が幾つも事件を解決したのを知ったからでしょう。特にアメリカで起きた大事件にも私は捜査協力しましたし」
「それじゃ、奴はそんなお前に勝ちたいわけだ」
「彼は遊びを見つけたようですね。諜報員の任務は彼にとって退屈だったんでしょう。かなりの自信家でうぬぼれのようだ。今回は私の負けで認めますが、必ず逆転してみせますよ」
「それじゃお前さんの勝利にベットするよ」
そこに、ドアが勢いよく開きズカズカとマーニーが入ってきた。
「どうやらお前さんは今日も忙しいようだな。まぁ、こっちの件は俺達も調べるよ。それじゃ」と警部は言って、マーニーに会釈して部屋を出た。
「それで、今日はどうしたの?」
「もしかしてそっちも事件?」
「その言い方だと事件ですか?」
「出来ればそっちの事件は後回しでこちらの方を優先してもらいたいんだけど」
そう言われたジークは考えた。
此方の方は相手が元諜報員ともあって今まで相手にしてきたものより手強いと思われる。長期戦になるのなら、先にマーニーの方の事件を訊いた方がいいか。
「分かりました。では、そちらの話を聞きましょう」
「ありがとう。急を要するの。事件と言っても殺人ではないわ。行方不明の人を探すのを一緒に見つけて欲しいの」
「人探し?」
マーニーは頷いた。
「行方不明の高齢の女性は認知症(現代の言い方で統一)で外出したっきり戻って来ないの。人探しの依頼を軽く受けたつもりが、時間制限があって。2日以内に見つけなきゃならないの」
「なる程。それ以上は厳しいってことで時間制限か。うん、分かった。でも、警察は?」
「警察には既に捜索願いは出してあるわ」
「それじゃ警察はその行方不明の高齢女性の特徴をもとに街の中を捜索してくれるでしょう。私達は他の方法で探そう」
「他の方法?」
「警察と一緒に探すより二手に分かれた方がいいでしょ? まぁ、その前に同居家族はいないの? 流石に一人ではないんでしょ?」
「ええ。息子が一人いるわ」
「では、まずその息子から行方不明になる直前の話を訊きましょう」
「ジーク、いきなりですまないが急用でな、直ぐに見てもらいたい写真があるんだ」
そう言って書斎に入ってきたと思えば、警部は胸ポケットから一枚の写真をジークに見せてきた。
それは昨日訪ねて来た作家志望のリーガンだった。
「ああ、それなら昨日来ましたよ。この方がどうかしましたか?」
「なんだと、本当か!?」
「ええ」
「なんてこった……」
警部は額に手を当てて困った顔をした。
「こいつはアメリカの元諜報員で無断でイギリスに渡ったのが分かり、アメリカからこいつの捜索願いを受けたんだ。で、探していると、どうもそいつはこの島に向かったらしいと分かって、それならまずはお前さんに聞こうと思ったんだ」
「元諜報員?」
「それで、こいつは何の用でお前んとこに訪ねに来たんだ」
ジークはリーガンが自分が心変わりをするのを期待して置いていった原稿を警部に見せてから「小説を書くのに自分をモデルにしたいので許可が欲しいと来たんです」と説明した。
原稿を読んだ警部は「なんだこれは。私も出ているじゃないか」と困惑した表情をした。
「元諜報員が何か? 作家にでも転職したってことなのか?」
「いえ、多分恐らく違うでしょう。この原稿を置いていったのも、警部が訪ねに来る前日に素顔で現れたのも、完全に私に対する挑戦でしょう」
「それじゃあれか? この原稿の内容は本当だと言うのか? となると……Xがその元諜報員!?」
「随分とナメられたものです。自分の手口をわざわざ本人が探偵の目の前で自慢するかのように話していたわけですよ」
「元諜報員だったとは言え、お前さんがそれに気づかないとはな。探偵の勘は当たらないか」
ジークはテーブルを叩き「いいでしょう。その挑戦、受けてやりますよ!」と宣言した。
「しかし、証拠は残してないんだろうな。諜報員だった男がそんなヘマをするとは思わんし。そもそも何故ジークを挑発するような真似を?」
「私が幾つも事件を解決したのを知ったからでしょう。特にアメリカで起きた大事件にも私は捜査協力しましたし」
「それじゃ、奴はそんなお前に勝ちたいわけだ」
「彼は遊びを見つけたようですね。諜報員の任務は彼にとって退屈だったんでしょう。かなりの自信家でうぬぼれのようだ。今回は私の負けで認めますが、必ず逆転してみせますよ」
「それじゃお前さんの勝利にベットするよ」
そこに、ドアが勢いよく開きズカズカとマーニーが入ってきた。
「どうやらお前さんは今日も忙しいようだな。まぁ、こっちの件は俺達も調べるよ。それじゃ」と警部は言って、マーニーに会釈して部屋を出た。
「それで、今日はどうしたの?」
「もしかしてそっちも事件?」
「その言い方だと事件ですか?」
「出来ればそっちの事件は後回しでこちらの方を優先してもらいたいんだけど」
そう言われたジークは考えた。
此方の方は相手が元諜報員ともあって今まで相手にしてきたものより手強いと思われる。長期戦になるのなら、先にマーニーの方の事件を訊いた方がいいか。
「分かりました。では、そちらの話を聞きましょう」
「ありがとう。急を要するの。事件と言っても殺人ではないわ。行方不明の人を探すのを一緒に見つけて欲しいの」
「人探し?」
マーニーは頷いた。
「行方不明の高齢の女性は認知症(現代の言い方で統一)で外出したっきり戻って来ないの。人探しの依頼を軽く受けたつもりが、時間制限があって。2日以内に見つけなきゃならないの」
「なる程。それ以上は厳しいってことで時間制限か。うん、分かった。でも、警察は?」
「警察には既に捜索願いは出してあるわ」
「それじゃ警察はその行方不明の高齢女性の特徴をもとに街の中を捜索してくれるでしょう。私達は他の方法で探そう」
「他の方法?」
「警察と一緒に探すより二手に分かれた方がいいでしょ? まぁ、その前に同居家族はいないの? 流石に一人ではないんでしょ?」
「ええ。息子が一人いるわ」
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