探偵主人公

アズ

文字の大きさ
101 / 124
11章 探偵の勘

03 謎の絵

しおりを挟む
 息子の名前はラファエル・リヴィエールといった。家はアパートで、輪郭は丸く赤褐色の髪に髭は綺麗に剃られてあった。その母親は高齢で現在行方不明。認知症があり、一人では自分の家にたどり着くのは困難。
 ジークが知っているのはそれぐらいだった。
「では、リヴィエールさん。お母さんがいなくなったのは具体的にいつからですか?」
「昨日の17時以降です。目を離した瞬間にいなくなりまして、それで探し回ったのですが全く見つからず、警察に通報し、近所の方と捜索をしましたが、見つかりませんでした。多分、帰り道を忘れ迷子になっているんだと思います。それで夜中は捜索をやめて後日、明るくなった時間からまた捜索を始め今に至ります」
 因みに現在は昼を過ぎていた。
「探偵に頼んだのは中々見つからないからですね?」
「はい。正直、こうなることは予感はしていたんです。ただ、分かって欲しいのですが、ずっと見ているわけにもいかないのです」
「ええ、分かります。因みに介護士とかはいないのですか?」
「日中はいますが住み込みではありません。施設に入れる余裕もありませんし」
「では、いない間はあなたが見なければならないのですね」
「はい」
「因みに、こういったことは何度かありましたか?」
「いえ、ありません。まず、一人で外に出てどっかに行くなんてことはしない筈なんですが」
「自分の住所は言える方ですか?」
「どうでしょう……認知症が最近進行してまして、特に息子の私の名前すら忘れてしまうんですから」
「今まで勝手に外に出ることはなかったと言いますが、長い時間目を離していたんですか」
「実は寝不足でついうとうとしていて一時間程すっかり寝てしまったんです。その時に母はいなくなっていました」
「そのお母さんがどこかへ行きそうな手掛かりは本当にないんですか?」
「ええ。日中のことは介護士さんお願いしてますし……」
「その介護士さんは今は?」
「探すのを手伝ってもらっています」
 携帯で呼び出すってわけにもいかない。携帯はないからな。
「普段日中の様子のことは介護さんから話を聞きませんか?」
「聞きます。今日は外で散歩して絵を描いたりしたと報告を受けてます。まさか、それが原因で母は勝手に外に出たんでしょうか?」
「その絵を見せていただけますか?」
「ええ、分かりました」
 そう言って、母の部屋にある棚から一冊のノートを取り出し、それをジークに渡してきた。
 ジークはそれを受け取った。ジークはノートを開くと、汚い絵ではあるが、なんとかぎりぎり分かりそうなものが幾つかある。
「この絵に描かれてある場所にとりあえず行って目撃者がいないか探してみましょう」
「分かりました」
「まずは一枚目の絵だ」
 そう言って最初の頁を開き3人で見た。ジークとリヴィエールとマーニーで。
 その絵は大きな丸に真ん中に黒い点のようなものが描かれてある。
「これ何?」とマーニーは聞くもリヴィエールはお手上げのポーズをしながら「さっぱり」とあっさり諦めた。
 ジークはそれを一瞥いちべつしてから、顎を擦りながらよく考えた。
「これ、まるで目みたいね」とマーニーがそのままのイメージで言うと、自分の言葉でマーニーは閃いた。
「分かったわ! ロンドン・アイよ! 観覧車にもまぁ、見えなくはないでしょ」
「マーニー」
「ん?」
「ロンドン・アイはまだ無いよ」
「あ……そうだった」
「分かる絵から始めよう」
 ジークはそう言って2頁目を開いた。
 二枚目は何かよく分からない生き物と噴水ぽいのが描かれてある。
「この生き物は何……」とマーニーは目が点になっていた。
「多分ライオンだよ」
「どうして分かるの!? この絵で!」
「噴水で分かるよ。噴水とライオンでトラファルガー広場だよ」
「ああ!」
「それじゃ、トラファルガー広場へ行こう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」 そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...