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神官長と皇帝その弐 2
しおりを挟む唖然としていたし、戸惑ってもいたし、赤くなっていた。可愛かった。
まぁでも、そのうち喜ぶことになるだろし。全部嘘というわけではないし。
嫌がってはいなかったと思う。良い子だ。好き。
「何故だ……ルナリア嬢は、お前のような変態を、どうして嫌がらない」
「愛故に」
なんだか、前回も同じような会話をしたような気がする。
シルディスは進歩がない。
私たちは愛しあっているのだから、ルーナが私を嫌がることなどないのではないかな。
でも、嫌がるルーナも見てみたい。新鮮だし。絶対可愛いと思う。
あ。たまに、嫌がっている、かな。「レーヴェ様、だめです……っ」とか「ここじゃ、だめ」とか「はずかしいです……」とか、よく言われる。可愛い。どうしよう、帰りたい。思い出すと興奮してきた。
「どうせまた、ミエレ嬢とうまくいかないという相談だろう。聞き飽きたね」
「まだ一度しか話していないだろう! レーヴェ、聞け。お前ぐらいしか相談できる相手がいないんだ、俺には」
「なんと、友人の少ない男か」
「お前に言われたくない」
「私には友人などは必要ないのだよ。ルーナがいれば良い」
「そもそも、お前たちヴェルニアの血をひくフィオレイス家の者たちは、嫉妬深く独占欲が強すぎるせいで、歴代の輿入れした女性たちを舘に閉じ込めるなどといった非道を行っているのだろう」
「そうだよ」
「どうしてルナリア嬢は嫌がらず、お前の傍に居るんだ」
「ルーナは私のことが好きだからね」
「それが理解できない」
「君に理解されたいとは思っていないけれど。ミエレ嬢とはまだ上手くいっていないのか、君は」
早く帰ってくれないかなと思いながら、私は深々と溜息をついた。
私とルーナのことについて、シルディスに話すことは特にない。というか、私の可愛いルーナの名前を、シルディスが呼ぶだけで不愉快だ。
「初夜を、行った」
「ふぅん。それで?」
「さっさと終わらせろと言われて、そのように。……そうしたら、泣かれてしまった。大嫌いだと、罵られた」
「愚かの極み……」
私は再び深い溜息をついて、ルーナの両胸の模型に顔を埋めた。癒される。ふわふわ。
ちなみに今は、ルーナとの感覚共有の魔法は切ってある。
だからいくら私が胸に顔を埋めても、ルーナは何も感じていないはずだ。
「馬鹿なのかな、シルディス。さっさと終わらせろと言われて、その通りにするとか。快楽のない行為など、何の意味があるんだ。愚か者め。流石の私も、ミエレ嬢に同情をするよ。お前など海に沈め」
「俺は、ミエレが望むとおりにと思ってだな」
「暴力男め。今すぐ城に戻り、ミエレ嬢に土下座するが良い」
私は心の限り、シルディスを罵倒した。
ルーナはシルディスの花嫁選定に参加していたのだったね、確か。
ルーナがこの男に選ばれなくて、本当に良かった。私の元に来てくれて良かった。
「……ん?」
ふと、その時私は、体に違和感を感じた。
主に、下半身を中心に。
なんだか、気持ち良い気がする。ルーナの小さな手で握られたり、触られたり、それから、舐められているような気がする。
「……っ、ふふ」
私は口元に手を当てて、歓喜の笑い声を漏らした。
思ったよりもはやく、ルーナが行動にうつしてくれて嬉しい。
さっさと貴石に魔力をそそいで、ルーナの元へ帰らなければ。
「急に笑うな。気色の悪い」
「良いか、シルディス。私は忙しい。ルーナを思う存分可愛がるという生きる目的が、私にはできたのだから。君は早急に城に帰るが良い。ミエレ嬢の傷は深い。さっさと謝ってくることだね」
私はひらひらと手を振って、シルディスを追い出した。
ルーナが、私の張り型を、ぬるぬるした柔らかい場所にあてているような気がする。
隠れていた耳と尻尾が、興奮のあまり姿を現した。
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