初恋の王子様が奪われてしまったので、庭付き風呂付き怪異つき古びた館に引っ越しました

束原ミヤコ

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真犯人のお化けさん

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 まただ。
 また──最低な夢を、見てしまった。

(ごめんなさい、レナード。大切な弟でひどい妄想をしてしまって……その上、お母様とお父様に犯罪者の汚名まで……夢の中で好き勝手してしまって、ごめんなさい……)

 ワイアット様の時と同じように罪悪感でいっぱいになりながら目覚めた私は、両手で顔を隠しながらさめざめと泣いた。
 私の隣に転がっているちょうどよく抱けるサイズの長細いサメのぬいぐるみを抱き寄せると、顔を埋める。

 まだ、体に熱が残っている。
 いやらしい夢を見たせいだ。

 体が汗でしっとりと湿っている。体に巻き付けていたローブははだけていて、胸がむき出しになっていた。
 胸も、両足の間も、まだじくじくと疼いている。

 まだ、熱い。

「……ん」

 熱い。
 まるで夢の中にいるように、熱い。何かがぬらぬらと、私の両足の間に触れている。

 ずりずりと、ぬるりとしたものが開かれた柔らかい肉の狭間のはしたない場所の上を、行ったり来たりしている。

 舌にしては、長い。長いような気がする。

「ん、ぁ、あああっ」

 ふと、その事実に気づくと、一気に体の中で快楽が弾けた。
 まるで夢のつづき、みたいに。

「や、ぁあ、まって、これ、きのうと、同じ……っ」

 私は夢の続きを見ているのだと思っていた。けれど、あまりにも生々しい感触がある。
 いつの間にか、夜があけて朝になっている。
 
 カーテンを閉じることもしなかった窓からは、明るい日差しが降り注いでいる。
 空は青々と晴れていて、雲の形がゆっくりと変わっていっている。

 爽やかな、朝なのに。
 
「あ、ああっ、ゃ、ああっ……きもちぃ、ひゃ、ぁぁう」

 サメのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめたまま、私はあられもない声をあげた。
 夢の中でレナードに何度も何度も絶頂に導かれたような感覚が、体に残っている。

 達した後の敏感な体をさらに追い詰められるような果てしない快楽に、私は全身をわななかせた。

「あっ、あっ、夢、終わったのに、なんでぇ……」

 じゅ、じゅ、と、すっかり育って敏感になった陰核が吸われている。
 同時に蜜口を、ぬるりとしたものが舐め回している。 
 いくつも口がある何かが、そこにはいるみたいだ。軟体動物が、体の上を這い回っているみたいに。

「ひっ、ぁああ、もお、やだぁ……っ、いく、の、いや……っ、きもちいの、気持ちいい……」

『まさか、起きたのか、リュミエル』

「ひ、あ……っ」

 聞き覚えのある声がして、私は目を見開いた。
 気持ちよさに茹っていた頭が、わずかに理性を取り戻す。この声は、お化けさんだ。
 なんとか体を捩りながら、足元へと視線を向けた。

「お化けさん……っ」

 私の足は、大きく開かされている。閉じようとしても、何本もの腕に掴まれているみたいに、動かすことができなかった。
 大きく開いた足の間に、何かがいる。
 何かがいるけれど、姿は見えない。ただ、何かがいるという感覚だけがある。

 浴室でも、お化けさんの声は聞こえても、姿は見えなかった。
  
 それと、同じだ。けれど、そこには確かにお化けさんがいる。
 そして何かが、見えない何かが私の大切な場所を、ずりずりじゅるじゅると、おかしくなるぐらいに激しく貪っている。

「あっ、胸も、や……っ」

 花芯をしつこいぐらいにコリコリしながら、蜜口の入口をくちくちと擦りながら、何かが私の両方の乳首を包んだ。
 それもまた、舌のように感じられる。
 姿は見えないけれど、何人もの男性に同時に襲われているようだ。

 もちろん、そんな経験はないのだけれど。
 胸も、腰も、脇も。秘所も、内腿も。足の指先も。
 咥えられて、舐られるような感覚が、同時に襲ってくる。

「やあああっ、だめ、やらぁ……っ! ぃく、いくの、あぁああっ、いく、ぃ、ああああっ!」

 体をのけぞらせながら、私は意識を飛ばした。
 頭が真っ白になって、ただただ気持ちよくて。
 
「ん……っ、あ……」

 一瞬飛んだ意識が戻ってくる。私は腰をガクガクさせながら、蜜を迸らせていた。
 何度もいっているのに、止まらない。

 そのほとばしる蜜を、何かが丁寧に舐めとっている。

 見えなに何かが。

「……っ、ん、ん……ひどいよぉ……」

『リュミエル。……本当に、起きているのか?』

 半信半疑というふうに、お化けさんが聞いてくる。
 熱が引かずに震える体を、体格のよい男性が抱きしめてくれているような感覚がある。

 それは、なんだかよくわからない異形の形でもなく、たくさんの男性でもなく、一人の男性のような感じがした。

「起きてます……っ、起きてました! それなのに、ひどいことをするなんて……っ」

『ひどくはない。気持ちがよさそうだった』

「気持ちいいです……っ、でも、私、お化けさんの名前もわからないのに……っ」

 姿は見えないけれど触ることができるのなら、昨日のあれも夢ではなくてお化けさんということだ。
 私がいやらしい夢を見たのは、寝ている私にお化けさんがいやらしいことをしていたからだ。

 そう思うと、心が少し軽くなった。
 私の心の奥底で、ワイアット様やレナードにあんなことを望んでいたわけじゃないことがわかって。

 何も解決していないけれど、ひとまずはよかった。

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