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暗い愉悦
しおりを挟むそれは、互いの子が欲しいという激しい欲求なのだという。
ディルグは荒々しくメルティーナと唇を重ねながら、片手で胸を掴む。
ブラウスのボタンはメルティーナが自分で外した。開かれた襟首の隙間から手を入れて、直接皮膚に触れる。指が柔らかい肉に食い込む。下着を指でずらされて、あらわになった白い皮膚を手のひらが撫でる。
星降りの丘で触れられて以来、こうしたことはしなかった。
口付けはしたが、それ以上のことは、ディルグは我慢をしてくれていた。今度同じことをしたら、きっとその先もしてしまうと、気恥ずかしそうに言うディルグが可愛らしく愛しかった。
あの時とは、違う。胸を激しく揉みしだき、指先が外気に晒されてつんと立ち上がる乳首を爪弾いた。
雪はまだ、降り続けている。火も焚いていない室内は、底冷えがするほどに寒い。
ディルグと触れ合っている場所だけが熱を持ったように熱い。
ぬちゅぬちゅと舌を擦り合わせながら、乳首を二本の指でこりこりしごかれる。甘い痺れが腰を気怠くさせた。
痛みはない。けれどあまりにも唐突で性急で、自分から誘ったはずなのに心が追いつかない。
ディルグの尻尾がメルティーナのふくらはぎをさわりと撫でる。
唇が腫れてしまうほどに深く唇を重ね、舌を吸われる。エルダーフラワーの香りが鼻を抜ける。ディルグが好んでつけている香水の香りに、頭の奥がじんと痺れた。
「っ、ぁ、あ……っ」
甘いぞくぞくが体に広がり、体が高く浮かぶような感覚に襲われる。
とろりと秘所から蜜がこぼれ、こんな悲壮な感情であってもディルグに触れられると快楽に染まってしまうのかと、泣きたくなった。
望んだのは、自分自身なのに。
体の芯が、静かに降る雪のように冷たい。
「ティーナ……俺の、ティーナ」
唇が離れる。繋がる銀糸を舐め取って、唾液に濡れるメルティーナの唇を指先で拭い、ディルグが呟く。
ディルグの瞳孔は収縮して、縦に長くのびる一本の線のようになっている。
濃い青の中に、金の星が飛んでいる。あの日見た、夜空のようだ。
名前を呼ばれた途端、メルティーナの体はかっと熱くなる。冷たいばかりだった体の奥が、とろりととけた。
ディルグが呼んでくれる。まだ、名を呼んでくれる。
それだけのことが、今まで当たり前だったことが、胸が震えるほど嬉しい。
「でぃる、ぐ……さま……っ、あっ、ん……っ」
首筋に歯を立てられて、ぴりっとした痛みを感じる。噛みついた場所をすぐに慰撫するように舐られて、メルティーナは体を身じろがせた。
舌は首筋から鎖骨の窪みを辿る。浮き出た鎖骨を喰み、胸の頂を舐る。
ちゅるりと吸われて、ぐりっと舌先で押しつぶされる。甘くもどかしい刺激と同時に、ディルグの昂りが布越しにふくれた花芯に擦れる。
小さな芽が押しつぶされて、腰が痺れた。
「あ……ぁふ、あぁ……っ、ん、ん……っ」
誰もいないとはいえ、校舎内だ。放課後、まだ残っている生徒もいるだろう。
メルティーナは声をこらえるために、両手で口を押さえる。ディルグはそれに気づいて顔をあげると、メルティーナの手を片手でひとまとめにして押さえつけた。
「ディルグ様、声が……っ」
「君の声をきかせてくれ。俺が俺のままでいられるように。ティーナ、俺の名を呼んで。ティーナ」
「ディルグ様、ディルグ様……あ、あぁっ」
ディルグはメルティーナの両足を肩に抱えるようにすると、めくれあがったスカートの下から顔を出したレースの下着の上から、メルティーナの秘密の場所に顔を埋めた。
下着に滲んだ愛液をすんすんと嗅がれて、ねっとりと布越しに舌が這う。
指先がくりゅくりゅと、メルティーナのいやらしい肉芽を布ごと擦り上げる。
「ゃ、あっ、あっ……ディル、さまぁ……っ、そこ、ゃあぅ……っ」
下着をするりと脱がされると、クロッチに雫が滴った。
ディルグの舌が肉芽を包む。指が、しとどに濡れた蜜口に差し入れられて、狭い内壁を押し開くようにしながら抜き差しをされる。
びりびりとした快感が腰から背骨を駆けあがり、メルティーナのディルグに抱えられている両足の先に力がこもる。
「ディルグ様、ディルグさま、あっ、ああっ、ゃ、あああっ」
内壁の浅いところを押し上げられて、じゅううと充血した肉芽を吸われる。
指先にまで緊張が走り抜けて、腰が浮いた。無遠慮に与えられる快楽から逃げようとしたメルティーナの腰は、ディルグによって強く掴まれる。
力の加減が出来なくなっているのだろう。指が肉に食い込み、わずかに痛い。
痛みのことなど忘れ去ってしまうような快楽に、メルティーナは腰を弓形にそらしながらはくはくと息をついた。
「いく、ディルグ様、いくの、いってしまいます……っ、あ、あ、ん、ぁあああっ」
意識が白く濁る。透明な液が秘所から溢れて、メルティーナの太腿や尻を濡らした。
以前同じことをされた時には、ディルグはメルティーナの様子を伺いながら、徐々にメルティーナの体を快楽の高みにまで連れていった。
今のディルグにはそんな余裕はないのだろう。ただ、メルティーナの体を一心不乱に求めてくれている。
仄暗い優越感がそこにはある。心の中に芽生えた暗い感情から、メルティーナは目を逸らした。
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