あなたのつがいは私じゃない

束原ミヤコ

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それはあまりにも激しく、乱暴な

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 ディルグの首筋に、汗の雫が滴る。
 額に落ちる前髪を邪魔そうにかきあげて、ディルグは濡れた口を制服の袖で乱暴に拭った。
 情欲に燃える瞳が爛々と輝いている。今にも食い殺されるのではないかと、メルティーナはうっとりと思う。

 そうして欲しい。苦しさも切なさも、暗く嫌な感情も、全て快楽で塗りつぶして、そのまま幸せの中で死んでしまいたい。

「でぃる、ぅ、ぁあ、ひ、ぅう……っ」

 ディルグの昂りが、蜜口に押し当てられるのが分かる。
 熱く湿った硬いものが、メルティーナの狭い入り口から中へと押し入ってこようとしている。

 強い圧迫感を感じて、メルティーナは涙をこぼした。
 指とは比べ物にならない質量をもつものが、メルティーナのぬかるんだ柔らかい場所にずるっとはいってくる。
 膨らみのある先端が中に押し込まれ、一気に奥まで突き入れられた。

「あ、は……ぅ、あ、ああっ」

 破瓜の痛みに、きつく眉を寄せる。見開いた瞳からぼろぼろと涙がこぼれた。
 乱暴で、暴虐に奪われたことに、心の奥の大切な何かが損なわれたような虚脱感がある。
 けれど同時に、ディルグの苦しみを思うと、ひどく悲しく、そして愛しくなった。

 あれほど、我慢をしてくれていたのに。大切に、してくれていたのに。
 ディルグの心は痛んでいるだろう。自分ではどうしようもない熱に、心が壊れそうになっているのだろう。
 彼が優しい人だと、メルティーナは痛いほどよくわかっている。

「ティーナ……っ、ティーナ、好きだ……俺には、君しかいない、そのはずだ、あぁ、ティーナ……」

 メルティーナは痛みをこらえながら、メルティーナの華奢な体を痛いほどきつく抱きしめてくるディルグの髪を撫で、尖った耳やその付け根を撫でる。

「ディルグ様、好きに、してください……あなたの、思うままに」

 ディルグは喉の奥で唸り、メルティーナの腰を抱いてがつがつと中を穿ちはじめる。
 胎の奥、信じられないほどに深くまで、ディルグの昂りの先端が届いている。
 指で広げて、快楽を与えて慣らしていてくれたからだろうか、痛みと圧迫感が徐々に薄らいでいく。
 ディルグの先走りと愛液が混じりあい、狭い中の滑りがよくなるほどに、痛みとは違う何かがメルティーナの感覚を支配しはじめた。

「あ、あぁ、でぃる、さま……っ、でぃる、ぅ……っ、あ、ああ、ん……っ」
「ティーナ、可愛い、気持ちいい、ティーナ……」
「ぅん、ん……っ、わたしも、でぃるぐ、さま……っ」

 じゅぷじゅぷとはしたない水音が部屋に響き渡る。皮膚がぶつかる音が、鼓膜を揺らす。
 ディルグの熱く硬いものの、傘の部分がメルティーナの内壁を擦り上げ、血管の浮き出た肉棒で中がいっぱいになる。
 充足感に胸が震える。引き抜かれる衝撃と喪失感に、そして再び最奥を貫かれる期待に、唇がわなないた。

 乱暴にされているのに、はじめてするのに、気持ちがいい。
 理性を失ったように見えるディルグの瞳の奥に、強く激しい愛情を感じるからだろうか。
 それはヴィオレットに向けられるものなのだろう。メルティーナがヴィオレットだったら、ディルグはこんな風に、自分を見失うようなことはなかったのだろうか。

「でぃるぐさま、ぁ、あああっ、おく、すごいの、きもちい、でぃるぐさま……っ」

 とても普段は口にしないようなことを、メルティーナは口走っていた。
 かわりでもいいと思った。ヴィオレットのかわりになりたいと望んだ。
 けれど、やはり嫌だ。ディルグが抱いているのはヴィオレットではないと、彼に教えたい。
 その耳に、心に、刻みたい。

「てぃ、なは、気持ちいいです、ディルグ様……っ、あぁ、あ、ひ、ぁああ……っ」
「ティーナ、俺の可愛いティーナ、もっと、したい。ティーナ、可愛い。君は俺のものだ、俺の……っ」
「あ、あぁっ、ゃ、ああ……っ」
「気持ちいいんだな、ティーナ。ここだな」

 メルティーナがひときわ高い声をあげる場所を、ディルグは残酷なほどに強く突きあげる。
 陰茎の先端がぐりっと奥に食い込んで、メルティーナの視界をぼやけさせた。
 深く深く、落ちていくような快楽には際限がなく、四肢がばらばらになるほどの気持ちよさが体じゅうを暴れまわる。

 ディルグの昂りが、円を描くように最奥を撫でる。ぞわぞわ震える体を、ディルグはきつく抱きしめた。
 メルティーナは、ディルグの背中にしがみつく。不安定な机の上で、助けを求めるようにぎゅっと彼の制服を握りしめた。
 指先が、ディルグの尾の付け根に触れる。ふさりとした毛の奥に芯がある。無意識で撫でると、ディルグは喉の奥で嚙み殺した声をあげた。

「っ、あ、あぁ……っ、はげし、でぃるぐさま、おく、やだぁ……っ、あ、ぃやあ……っ」

 体を折りたたむようにされて、のしかかるようにされながら中をずちゅずちゅと穿たれる。
 ディルグの片手が、メルティーナの胸を揉みしだき、親指の腹で顔を出しているはしたない肉芽を弾かれる。

 開いた唇から、飲み込み切れない唾液が落ちる。涙と唾液でぐちゃぐちゃになった顔を、ディルグが食い入るように見つめている。

「ゃ、あ、だめ、そんなに、したら……っ、おかしく、なる、から……っ」
「ティーナ、おかしくなってしまえばいい。俺と、いっしょに」
「いっしょ……?」
「何があっても、一緒だ。愛している、ティーナ、愛しているよ」

 性感帯を容赦なく責め立てられて、メルティーナは泣きじゃくった。
 もうここが校舎の一角であることなど、考えられなくなっていた。
 外は暗く、雪が白く景色を染めている。部屋の熱気で、窓が白く濁る。

 抽送が、さらに激しく深くなる。メルティーナの中のディルグが、大きく猛っている。

「あっ、あっ、もお、ぃく、でぃるぐさま、いっちゃう、あ、ひぅう……っ」
「ティーナ、孕め。孕んでくれ。君の中を満たしたい。俺の子を、孕め」
「ん、ぁ、ああっ、ほしい、です……でぃるぐさま、ほしい、あ、あああ……っ」

 どくんと、ディルグが大きく震えた。最奥を貫かれた衝撃で、メルティーナの意識は一瞬遠のいた。
 気持ちいい。好き。幸せ。このまま──消えてしまいたい。
 ふわふわと漂う意識の中で、そんなことを思う。

 胎の中に熱い液体がそそがれていく。苦しいぐらいにいっぱい、奥に。

「あ、でぃるぐ、さま……っ、もお、や、あああ……っ」

 終わりかと、思った。気怠い幸福感に揺蕩っていたメルティーナの意識は、すぐに呼び戻される。
 ディルグがメルティーナを抱えて立ち上がった。つながったままの秘所の隙間から、ぼたぼたと液体がこぼれ落ちる。

「まって、でぃるぐさま……もう、わたし……」
「足りない」

 ディルグはメルティーナを壁に押し付けて、両足を肩に抱えると、再度腰を揺らし始める。
 メルティーナの中で、まだディルグは硬いままだ。
 達したばかりの敏感な最奥を、不安定な姿勢で信じられないぐらい奥まで突き上げられる。

 身動きをとることも逃げることもできずに、メルティーナは子供のように泣きじゃくることしかできない。

「あ、あ、ひ……っ、あ、あああっ、もお、だめ、だめ……っ、きもちいの、いいよぉ……っ」

 まともに考えることもできず、意味のない言葉が唇から漏れる。
 ディルグによって快楽を与えられるためだけの、人形になってしまったようだった。
 それでも心は、ディルグが愛しいと叫んでいる。
 このまま壊して欲しい。ひどくされて、嬉しい。

 どれほど、幾度、貫かれただろう。がくがくと揺さぶられて、メルティーナの最奥は、貫かれるたびに歓喜に震えるようになっている。
 ディルグの形を覚えたように、内壁は震えてディルグを咥えこんでいる。
 中は淫らな液であふれて、じゅぶじゅぶと突かれるたびに雫を滴らせた。

「ティーナ、あぁ、ティーナ、こんなに、泣いて。可愛い。もっと、泣かせたい」
「でぃる、さ……ふ、ぁ、ん、んん……っ」
「好きだと、言ってくれ」
「でぃるぐさま、すき、すきです、すき……っ」

 理性はとろけて消えてしまった。言われるままに、好きだと繰り返す。
 好き。あなたが好き。捨てないで。一緒にいて。他の誰かを、選ばないで。

「すき、すき……っ、あ、また、わたし、いく……っ、でぃるぐさま、いってる、の……もお、だめ……っ」
「ティーナ、可愛い。これで幾度目だろう。ここが好きだな、ティーナ。突くたびに、達している」
「ひ、あ、ああああっ」
 
 幾度目かの絶頂を迎えたメルティーナを抱いたままディルグは歩き、ソファに座った。
 メルティーナを膝に乗せ、下からゆるく突き上げる。唇を合わせて、舌を吸う。
 このまま、ずっと終わらないのではないか。それはすごく、恐い。そして同時にとても甘美だ。

「ん、んむ……っ、ん、ぁ、あ……」
「ティーナ、可愛いな、ティーナ……どこかに、逃げよう。二人で、一緒に」
「でぃる、さ……あ、あああっ、や、ああ、ぃく、また、いくの……っ」

 縋りつくように呟かれた言葉に、返事をすることができなかった。
 ディルグが激しく下からメルティーナを突き上げはじめる。目の前がちかちかして、もう、言葉を話すこともできない。
 
 軋むほどに強く抱かれる。腹の奥にびゅるりと精が吐き出されるのがわかる。
 ディルグの形が変わり、メルティーナの奥へとずちゅりと食い込んでいるような気がした。

 呼吸すらうまくできず、メルティーナの意識はふつりと途切れる。
 せめて、頷きたかった。
 愛していると伝えたかった。
 けれど、目の前が、夜の帳がおりるように暗くなった。


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