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領地で新婚生活編
19 真夜中の本にまつわるお話
しおりを挟む今日の話は、紳士向け。
というのも、父様から男同士の話だと教わったから。
まず、『紳士向け閨事指南書全四巻』について話そうと思う。
ここで聞いたことは、どうか、次世代の紳士に伝えたら墓場まで持っていってほしい。
指南書が四冊に分けられたのは、父様の時代。
まず、『夕方の本』
十歳の誕生日に枕元に置かれる、いわゆる性教育的な本。
そして、僕の愛読書『夜の本』
初級~中級者向けの愛を深める性技の本。
この二冊は一般的だし、父様が言うには、夜の本をマスターすればあとは想像と応用で問題ないらしい。
僕の体感と経験からもそうだと思う……僕はまだまだ修業中だけどね。
そして、自分の考えの及ばないことを試したい人やさらなる極みを目指す人向けに出されたのが、伝説となっている『真夜中の本』
なんでもブランコに二人で乗る、とかよくわからないことが書いてあるらしい。
あれは子どもの遊具じゃないのかな。
父様はふふって笑って、そのうち必要になるかもしれないよと言った。
それから、さらに希少本だという『明け方の本』
真夜中の本が物足りなくなった者、もしくは一風変わった嗜好の人向けとなっているらしい。
例えば、鞭をつかって相手をいたぶりお互いを高める、とか。
意味がわからない。
そんなの使ったらアンジーの白い柔肌が傷ついて僕は泣きたくなると思う。
その傷を舐める?
ダメダメ!
痛そう……考えただけで震える。
逆に、アンジーが僕に鞭をふるう? クールアンジーってこと?
あぁ、蔑まれた視線で見られたら、僕死んじゃう!
なんか、想像したらちょっとドキドキしたけど!
僕はアンジーをめちゃくちゃに甘やかして、とろけさせて、いっぱい愛を注ぎたいんだ。
この本は……手に入れたら一度読むだけに留めておこう。うん。
頭の片隅に入れておくだけだから、それだけ。うん。
試したりなんかしないんだから! うん。
ここまで話して気づいた人もいると思う。
僕、アンジーに夜の本、見せちゃったんだよね!
全部じゃないけど。
父様に、僕の話じゃないんだけど~、奥さんに見られた友達がいるって伝えたら仕方ないなって、秘密にするよう伝えた後は女性向けの指南書の一つ上の段階の本を渡したらどうか?と言った。
アンジーも持ってるはずだって言った父様に、母様は何も教えてないんだって伝えたら、ものすごく驚いていた。
だから母様からアンジーに渡すよう伝えておくと言っていた。
もちろん、アンジーに対して一つも不満はないよ?
ただ、その本にはちょっと興味がある。
父様から、見ていいと言われない限り開いてはいけない、それより二人で読む夢と現実の狭間の夜の三部作というものもある、と気になることも言っていた。
それから数日後、アンジーの私室に新しい本が並んだ。
貴女に役立つティータイムの献立集
おやつのじかん 何も知らないお嬢様へ
甘いデザート 初級~中級者向け
熱いデザート 上級者向け
冷たいデザート 変化を求める時に
タイトルがなんだかおかしいけど、これだよね?
母様、太っ腹!
アンジーは最初から四冊も⁉︎
開けてみたいけど我慢‼︎
僕も早く残りの二冊が欲しくなっちゃった!
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