すれ違わない二人の結婚生活

能登原あめ

文字の大きさ
26 / 44
領地で新婚生活編

24 離れの温泉 *微

しおりを挟む


 父様たちが旅立った!

「また、一週間ほどこもれるように部屋を整えて欲しいんだ!」
「……いつでも使えるように準備は全て整えてございます」

 執事、完っ璧!
 さすが‼︎

「じゃあ、こ、今夜からっ! うん、よろしくね。あ、夕食も離れで食べるから、置いといてくれる?」
「……はい、かしこまりました」

 ススーっと、去っていく有能な執事の背中を見ながら思わず鼻息が荒くなる。

 今回はまず、一緒に温泉に入る!
 一緒にお風呂に入ることはたまにあるけど、やっぱり開放的な大きな温泉に二人でゆっくり浸かりたい。

 前回は明るい時間に外のお風呂は恥ずかしいってアンジーが一人で入っちゃったし。
 それにすぐ父様が来ちゃったし、おこもり生活が全っ、然、満っ喫、できなかったから!








 そわそわする。
 今夜はアンジーが先に温泉に入っている。
 本当は同時に入って体の洗っこをしたかったんだけど、今夜は恥ずかしいって、次はいいよっていうから諦めた。

 ものすごーく残念だけど、明日には一緒に入れるから我慢我慢。
 僕は温泉の囲いの手前で全裸待機。
 いつ呼ばれてもいいように。
 もちろん、使用人がやってくることはない。
 
 僕の俺も俺は平静だって雰囲気でゆったり構えている。
 これは、夕方の本を見返したら、いいことが書いてあったんだ。

 思いがけず僕の俺が反応した時は家族の顔を思い浮かべるといいって。
 それで、アンジーを思い浮かべたら逆効果で、母様を思い浮かべたらスンっとおさまった。

 それから、僕の俺って今が一番成長期で、二十一歳くらいまでもうちょっと大きくなるかもしれないらしい。睡眠が大事なんだって!
 アンジーにとって嬉しいことなのかな……?

 今だって、アンジーの女神さま(仮)は……いや、もう(仮)はいらないかもね?
 僕の俺をおさめる時、プルプル震えるのに。
 キッツキツで僕の俺にぎゅうぎゅうからみついてくるのに……考えていたら僕の俺が呼んだか、というようにピョコンと起きた。

「……ヴァル? そこにいる? どうぞ……」

 うわー。
 タイミングが悪い。
 母様! 助けて‼︎

「………………アンジー、今行くね」

 効果抜群だ!
 中に入ると、ほんのり、頬を赤くしたアンジーが温泉に浸かっている。
 あーかわいい。食べちゃいたい。

「ヴァルったら……」

 僕をちらっと見てアンジーが視線を逸らす。
 僕の俺ー‼︎

 わかってる。
 アンジーがかわいいから仕方ないんだよな、元気になっちゃうのは。

「アンジーがかわいすぎるから」
「……もう、見慣れたでしょ?」
「そんなわけないっ! 僕見慣れることなんて一生ないよ‼︎ 毎日毎日アンジーはきれいなっていくからっ」
 
 アンジーがチラチラ僕を見る。
 アレ? 僕の俺?

「あのねっ、だってまだ成長期らしいんだ! だからっ」
「ヴァル様が成長するの……?」

 アンジーが色っぽい。

「じゃあ、私……熱いデザートで勉強しないと、ね?」

 あー、もう、僕アンジーに勝てる気がしない!
しおりを挟む
感想 195

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい

サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。 ──無駄な努力だ。 こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...