淑女のための短編官能小説集『逆転恋愛』

露木阿乱

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「故郷で2人男に犯された私に対して、優柔不断で世間体を気にする夫が見せた意外な一面」

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 気がついた時には、自分の身に何が起こっているのかわからなかった。
 頭の芯の辺りから全体にわたって、麻痺がひろがっていた。
 それでも少しは身体が動かせた。
 股間の辺りに感覚があり、無理矢理大きく拡げられているようだった。太ももを閉じようとすると、上から強く圧迫し、激しく律動する誰かの身体が感じられた。

「痛い!」

 頭の麻痺が次第に解けてくると、自分が誰かわからない男に蹂躙され、犯されていることがわかった。逃げようとすると、男の両手が上半身を押さえつけ、リズムをつけて、股間を突き刺してくる。

「やめて、いや!」

 叫び声をあげて、助けを呼ぼうとしたが、男の分厚い唇に塞がれて、うめき声がでるだけだった。やがて、男は膣奥深くまで凶暴な肉塊を突き刺すと、動きを止めた。男の淫猥な唾液が、口中に流れ込んできた。

「熱い!」

 膣壁を侵食するように、男から噴出された白濁液が拡がっていく。
 その様を、そばで鑑賞していたもう一人の男が、携帯のカメラで撮影しているようだった。反射的に、見られまいと股間を閉じようとすると、先ほど射精したばかりの男が、グッと太ももを拡げた。
 股間の辺りを覗き込む男の姿と、シャッターの光の閃きが目に映った。
 何枚か撮り終えた男が、私をうつ伏せにすると、ゆっくりと男根を突き刺してきた。
二人目の男は、最初の男の倍ほどもあるような巨根らしく、白濁液まみれの膣道を、ミシミシと音を立てるように拡げて進んだ。

「痛いから、やめて」

 全身をつかって拒否したが、虚しい抵抗だった。
 それから、しばらくして、二人目の男が膣奥深くに白濁液を射出すると、私は下半身裸のまま惨めな姿でその場にボロ布のように放置された。男たちは、行為の最中ずっと無言だった。ひょつとすると、男たちは私が、聞き覚えのある声をしていたのかも知れなかった。

 男たちが去って辺りを見回すと、辺りは薄暗く、見覚えのある市の公園のようだった。ゆっくりと身体を動かすと、股間に激痛が走った。ゆっくりと起き上がって、股間の付け根に手をやると、男たちの汚濁液が滴り落ちてきた。
 惨めな気持ちだった。
 なぜこのような目にあったのかを考えた。
 私は、年に一度の同窓会のため、帰郷していた。予定通り同窓会を終わり、数人の同級生と二次会、三次会と梯子して、最後は亜美たちと一緒だったはずだった。久しぶりの深酒で酔いが回っていたため、その後のことは全く記憶がない。多分、亜美たちと別れ、一人で実家に帰る途中、男たちにこの公園に連れ込まれたのだと思った。
 目を凝らして辺りを見ると、ハンドバットが転がっていた。中には携帯とサイフが残っていた。私の凌辱が、男たちの目的だったようだった。時計を見ると、時刻は午前二時を指していた。
 近くに落ちていたショーツを履いて実家に急いだ。両親はすでに眠っていた。
 できるだけ音を立てないようにシャワーに入ると、念入りに膣内を洗った。悔しさと怒りが心に充満し、シャワーの水とともにこぼれ落ちた。
 今回の出来事に対して、最初から警察に行く気はなかった。心配なのは妊娠だったが、友人の亜美に頼めば、理由を聞かずにアフターピルを調達してくれるとわかっていた。彼女の実家は薬局だった。何とかしてくれる、と信じていた。あとは、病気と男たちが撮影した写真が気に掛かったが、それは今気にしても仕方なかった。
 なぜ、男たちの犯罪の物証が、体内に残っているうちに警察に行かないのか。その理由ははっきりしていた。夫が世間体を気にする、気の弱い男だからだ。
 私の身体を気遣うより、会社や友人・知人の反応ばかり気にする夫の性格のことを考えると、今回のことは、口をつぐんだほうがいいと考えた。
 万一、男たちが持っている写真がネットに流れた際は、その時に、対処すればいいと自分に言い聞かせた。私は、昔から物事を単純に考えるタイプだった。

2

 いつもの同窓会を終えたように、何事もなかったような素振りで帰宅すると、夫と小学校五年の娘と、中学校二年の息子が迎えてくれた。一見、温かい家庭だ。浮気とは縁のない夫を持つ、平穏な家族だと思う。このような家庭を、世間ではしあわせな家族、というのだと自分に言い聞かせていた。
 その夜、久しぶりに夫に抱かれた。ルーティンのセックスだったが、夫は満足したようだった。
 
 それから、数ヶ月が過ぎて、夫の態度に変化が見られ始めた。私に対して、煮え切らない何かを感じるようになったのだった。そんな日が続いたある日、私の方から夫の心のわだかまりについて問いただした。
 夫は、黙ったまま携帯に送られてきた写真を見せた。写真には、私が男に犯されている場面が写っていた。故郷での事件のあのシーンを、男の一人が携帯で撮影したのに違いなかった。夫の携帯に送られてきたことは、あのレイプ事件が偶然ではなく、誰かが意図して計画したことになる。それも、私たち家族の知人に違いなかった。脅迫目的なら、まず自分に写真を送付するはずだった。夫のメールアドレスを知る誰かで、私たち夫婦に波風を立てたいと考えている人間と予想できた。

「この女性はキミか?」

 私は、できるだけ冷静さを保ちながら私にたずねた。いつもの不安そうで、たより夫と違い、私の心を気遣いながらの口振だった。
 私は、故郷で自分の身の上で起こった、忌まわしい出来事の一部始終を話した。といっても、犯人やその動機は全くわからない。ただ、今回の相手の行動で、私たち夫婦に対して何かを計画していることは確かだった。

「あなたに迷惑をかけたくなかったし、子供たちのこともあって、警察には届けなかった」

 そう話すと、夫は何も言わなかった。世間体を気にする夫なら、そのことを批判することはないだろうと予想していた。ただ、意外だったのは、

「キミの身体が一番心配だ。あんな被害にあうとPTSDになる人もいるし」

 私の精神状態を、最も気にしてくれたことだった。この夫の反応に、私は素直に感謝した。私たちはその日、時間をかけて話し合い、結局、このことを警察に相談することに決めた。このまま何の対策も講じないと、いずれ夫の会社や、子供たちの学校関係者に写真が送られる可能性もあった。

 翌日、夫と二人で最寄りの警察署に出かけた。レイプ犯罪の担当者を紹介され、現在、レイプ犯罪は非親告罪で、その容疑があれば警察自らが捜査できると話してくれた。今回は、犯人の体液はなくとも、証拠となる写真を犯人自ら提供したことになる。
この写真については、サイバー犯罪対策課に調査を頼むことになった。
 その夜、ベットに入ると、夫が黙ったまま私にキスしてきた。そして、私の片方の手を自分の股間に誘った。男根が熱く脈動し、いつもの状態ではないほど膨張していた。

「他の男に犯された私でもいいの?」

「あれはキミのせいじゃない」

 そう、怒ったように吐き捨てると、私の下着を剥ぎ取り男根を捩じ込んできた。いつもの夫からは想像できないほどの逞しさに、私は戸惑いながら、久しぶりの興奮と欲情を味わっていた。

3

 それから、1か月ほど経ってからだった。警察の担当者から連絡があって、再び夫と二人で警察に出かけた。捜査は進展していた。サイバー犯罪の専門家によると、男たちは、金で依頼を受けて、女性をレイプするサイトを運営している連中で、これまでにも複数のレイプ事件を起こしているようだった。彼らに依頼するのは、恋敵の女や失恋した男、知人の幸せそうな家庭が憎らしい、など理由はさまざまだった。
 写真撮影するのは、依頼の実行を証明するためのものだったが、要請されない限り依頼者には見せることはなかったらしい。それだけ、彼らは犯罪の証拠を残すことを用心していたわけだ。

「今回は、依頼主が写真の送付を依頼の条件とし、受け取った写真を、ご主人の携帯に送ったことで犯行がバレてしまいました。同窓会の日程や時刻の情報が記入されていたことから、奥さんの友人関係を調べたところ簡単にわかりました」

 捜査員の口から出た依頼者の名前は、意外な人物だった。
 親友とさえ思い、信頼を寄せていた亜美だった。信頼していたからこそ、レイプされた翌日、避妊用のアフターピルの入手を亜美に頼んだのだった。

(その亜美が依頼主だったなんて)

 気を失いそうになる私を、必死で夫が慰めてくれた。
 すでに亜美は、警察に呼ばれ事情捜査を受けていた。強制性交罪とでもなれば、亜美も逮捕勾留されることになる。

「ご主人に写真が送られていなかったら、奥さんの事件も表に出ることはなかったでしょう」

 とのことだった。
 亜美がレイプサイトに依頼し、写真を送った理由について、次のように語ったそうだ。

「昔からの友人だったが、ずっとライバル心を持っていた。以前は私が上だと思っていたが、最近の彼女が幸せそうに見えて、恨めしく納得できなくなった。彼女の家庭を壊してやりたくなった」

 最初は男たちの犯行報告と写真の入手、私からのアフターピルの依頼で満足したらしいが、私たち家族に変化がないことを知って、夫の携帯にメールを送ったのだった。後で夫に確認してみると、以前、家族ぐるみで会った際、彼女から携帯のメールアドレスを聞かれたようだった。その時の理由は、仕事関係のようだったが、覚えていないと夫はうち分けた。どうも、ずっと以前から亜美は、心の奥底に憎しみのが感情を育てていたようだった。
 他の友人が今回のことを知って電話をくれた。亜美の家族は、だいぶ前から崩壊状態で、別居同然の暮らしだったらしい。

「彼女、昔から女王様だったでしょう。勉強もできたし、美人だったし、結婚相手もエリートサラリーマンだし。ところが最近のあなたを見て、負けたと思ったんじゃない」
 それを聞いて、思わず笑ってしまった。

 夫は三流企業のサラリーマンで、冴えない顔立ちで、いつも他人のことを気にする気弱な男だった。その点、亜美に対してどれだけ嫉妬していたかわからなかった。嫉妬しすぎて、却って諦めてしまったのだ。

 夜、夫とベットに入って、亜美のことについて話した。

「それぞれ、いろいろかかえているんだね」

 夫は笑っている。その笑顔が昔 以前と少し違うように感じた。何となく自信に満ち溢れているようだった。

「最近、変わったわね」

 と聞くと、

「ボクは、ずっとキミに引け目を感じていたのかも知れない。結婚を承諾してくれた時、信じられなかったんだ。キミに求婚したい男はたくさんいたから。しかし、今回のことで、キミがボクを頼ってくれて、少し自信を持てるようになったんだ」

 夫にそれほど期待したわけではなかったが、それは口に出さなかった。それより、自信に満ち溢れた夫が頼もしかった。股間の肉塊もそうだ。握りしめると、今にもはち切れそうなほど膨張していた。
 私を四つん這いの態勢にして後ろから貫きながら、

「三人目をつくろうか」

 と囁いた時、大学時代の恋人から聞いた話を思い出した。

「男の中には恋人が、他の男に犯される姿を想像して、勃起する奴がいる。これは性癖で、寝取られ趣味と呼ばれている」

 それを思い出して、

「あなたは、他の男性とセックスしている私を見たくないよね」

 耳元でそう囁いた時、男根の勢いが一層、強くなるるのを感じていた。

(終)

❤️いいね、待ってます。
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