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おじさん♡覚醒しました②
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セス♡セバスティアン
匂いがする。
引き寄せられるように、やたらとキツい照明の店に入る。
この国へ「宝探し」に来てから一年程になるが初めて足を踏み入れた。
24時間を通しで営業し、客が欲しがる物を適当に品揃えしている利便性の高い店だという。
ただ、私には馴染まない。
セバスティアン=デュ=ラ・スローンとして私は生きてきた。
西欧大陸で由緒ある一族の末裔で、首領である大公の子息である。
適当であることも便利であることも必要がなく、全てにおいて格別であり上等であることが当たり前だった。
故にこの国で過ごす日々は、私には心地よいものではない。
この国では平たく等しくが尊ばれており、力量や才能の差によって待遇を別する事を厭う。
全ての人が同じ様である事が、望まれる国柄だった。
これが私には理解し難く受け入れ難い。
全く取り合う気にもなれないというのが本心だ。
自国では厳格な階級制が採用されている。
それは簡潔で完全で美しい世界だった。
比べるべくも無い程に雑多で混沌としたこの国に、私は今の所、少しの好感も抱けずにいる。
むしろ嫌悪感を抱かずにおれないくらいだ。
それでも私は後には引かない。
遠く海を超えて東の果ての小さな島国まで遥々やってきたのには理由がある。
私は希望という宝物を探しに来た。
それは美しい夢のような儚い幻に過ぎないと誰もが云う。
しかしそうと解っていて…
それでも探索の旅に行く程に、私を奮い立たせて止まなかった。
それ程に切実なる希望なのだ!
、、けれど幻を追い求める日々は焦りと失望がつのるばかりだった。
ほんの少しも報われない。
信じた可能性を打ちひしがれ、嘲笑われ…
憐れみすらされた。
それら全てが残酷極まりない仕打ちだった。
だが私は辛抱強く在った。
自国で待つ一族のために。
何より運命を分かち合う相棒のために。
果たしたい、望みがある。
それが一縷の望みだと知りながらも懸命に探し続けた。
どのみち後になど引けないのだ。
宝物が見つけられずに一年たてば、私は全てを失う。
奪われてしまうのだ。
そんな契約を結び私はここにいる。
無情にもその時は目前に迫っていた。
けれど私は最後まで決して諦めない。
執念を燃やして自身が持ち得る全ての力を注ぎ、精一杯に足掻いてきた。
その努力が今ようやく報われようとしている。
…きっとそうだ。
違いない。
何て麗しい香りだろう…
私は自他共に認める冷静沈着な男だが、今は居ても立っても居られない。
自分のなかに知らなかった衝動が湧き起こっている!
自動ドアが開いた途端にその匂いはきつくなった。
店内は無人だったが…気配を感じる。
何かはわからない。
初めての感覚だった。
でも、強く感じる。
集中すると奥の飲み物が陳列されているケースのあたりに違和感があった。
そこに向かう少しの距離ももどかしいほど気持ちが急ぐ。
冷蔵ケースの扉を乱暴に開け放つ。
ひんやりとした冷気と共にむせかえるような匂いに包まれた。
飲み物の隙間から奥に人がいる事が見てとれる、、
そこまでだった。
自分の中の獣物が荒れ狂い私を支配した。
やっと見つけた…
私の、君!
\\\٩(๑`^´๑)۶////
匂いがする。
引き寄せられるように、やたらとキツい照明の店に入る。
この国へ「宝探し」に来てから一年程になるが初めて足を踏み入れた。
24時間を通しで営業し、客が欲しがる物を適当に品揃えしている利便性の高い店だという。
ただ、私には馴染まない。
セバスティアン=デュ=ラ・スローンとして私は生きてきた。
西欧大陸で由緒ある一族の末裔で、首領である大公の子息である。
適当であることも便利であることも必要がなく、全てにおいて格別であり上等であることが当たり前だった。
故にこの国で過ごす日々は、私には心地よいものではない。
この国では平たく等しくが尊ばれており、力量や才能の差によって待遇を別する事を厭う。
全ての人が同じ様である事が、望まれる国柄だった。
これが私には理解し難く受け入れ難い。
全く取り合う気にもなれないというのが本心だ。
自国では厳格な階級制が採用されている。
それは簡潔で完全で美しい世界だった。
比べるべくも無い程に雑多で混沌としたこの国に、私は今の所、少しの好感も抱けずにいる。
むしろ嫌悪感を抱かずにおれないくらいだ。
それでも私は後には引かない。
遠く海を超えて東の果ての小さな島国まで遥々やってきたのには理由がある。
私は希望という宝物を探しに来た。
それは美しい夢のような儚い幻に過ぎないと誰もが云う。
しかしそうと解っていて…
それでも探索の旅に行く程に、私を奮い立たせて止まなかった。
それ程に切実なる希望なのだ!
、、けれど幻を追い求める日々は焦りと失望がつのるばかりだった。
ほんの少しも報われない。
信じた可能性を打ちひしがれ、嘲笑われ…
憐れみすらされた。
それら全てが残酷極まりない仕打ちだった。
だが私は辛抱強く在った。
自国で待つ一族のために。
何より運命を分かち合う相棒のために。
果たしたい、望みがある。
それが一縷の望みだと知りながらも懸命に探し続けた。
どのみち後になど引けないのだ。
宝物が見つけられずに一年たてば、私は全てを失う。
奪われてしまうのだ。
そんな契約を結び私はここにいる。
無情にもその時は目前に迫っていた。
けれど私は最後まで決して諦めない。
執念を燃やして自身が持ち得る全ての力を注ぎ、精一杯に足掻いてきた。
その努力が今ようやく報われようとしている。
…きっとそうだ。
違いない。
何て麗しい香りだろう…
私は自他共に認める冷静沈着な男だが、今は居ても立っても居られない。
自分のなかに知らなかった衝動が湧き起こっている!
自動ドアが開いた途端にその匂いはきつくなった。
店内は無人だったが…気配を感じる。
何かはわからない。
初めての感覚だった。
でも、強く感じる。
集中すると奥の飲み物が陳列されているケースのあたりに違和感があった。
そこに向かう少しの距離ももどかしいほど気持ちが急ぐ。
冷蔵ケースの扉を乱暴に開け放つ。
ひんやりとした冷気と共にむせかえるような匂いに包まれた。
飲み物の隙間から奥に人がいる事が見てとれる、、
そこまでだった。
自分の中の獣物が荒れ狂い私を支配した。
やっと見つけた…
私の、君!
\\\٩(๑`^´๑)۶////
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