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おめでたい出来事②
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「真奈っ!」
「よぉ浩太、久しぶりだな」
真奈の病室へ、早歩きで飛び込んだ俺を出迎えたのは、最愛の妻――ではなく久しぶりに会う友人だった。
「祐樹っ?! おまっ……どうしてここに……?」
「どうしてって、見れば分かるだろ、仕事だよ仕事。前にも話しただろ。スキルアップの為に月に一度、親父が昔働いてたこの病院で、非常勤として働かせて貰ってるって。で、休憩時間にふらっと寄ってみたら、グッドタイミング だったぜ」
白衣に身を包んだ祐樹がニヤリと勝ち誇ったように笑ってみせながらそんな事を言った。
祐樹は今、医者として祐樹のおじいさんが経営している病院で働いている。
おじいさんの病院は、震災後裕樹が引っ越して行った岐阜の地にあるのだが、将来はおじいさんの病院を継ぐべく、非常勤医師としてこうして他の病院へ修行に出されているらしい。
「グッドタイミング、じゃね~よ! お前、見たのか? もしかして俺より先に、俺達の子供に会ったのか?!」
「おう、見たぞ。ちっこくて真っ赤で、猿みたいだった」
「はぁ~? 猿、だと?! この野郎~、俺の可愛い子供に向かって猿とはなんだ! 俺より先に俺の子に会っておきながら失礼な奴だな!ってか少しは遠慮しろよ。何でお前が俺より先におれの子供を見てんだよ!」
「良いだろ別に、減るもんじゃなし」
「減るわ! お前が見たら減るんだよ!!」
「ちょっと浩太、さっきから聞いてれば、何馬鹿な事言って騒いでるの? うるさいんだけどっ!」
俺と祐樹の言い争いに、病室の奥から不機嫌な声が飛んでくる。
病室の一番奥のベッドを隠していたカーテンが開いたかと思うと、そこから真奈が不機嫌な顔を覗かせていた。
「っ!真奈!」
真奈の姿を見るなり、俺は急いで真奈の元へと駆け寄った。
そして、近付くなり真奈の腕に抱かれてスヤスヤ気持ち良さそうに眠る小さな小さな赤ん坊の姿が目に入った。
初めて見る我が子に、俺は嬉しさのあまり言葉を失う。
「…………」
「良かったな、浩太。元気な女の子だそうだ」
そんな俺に、祐樹が言った。
「…………」
祐樹の言葉に、また俺は違った意味で言葉を失う。
「…………」
「どうした浩太、黙り込んで。嬉しくないのか?」
「…………何で……」
「ん?」
「何でお前が俺より先に俺の子供の性別知ってるんだよ!」
「何でって、お前が来るまでの間に抱かせて貰ったからな。そのついでに色々と話を聞かせて貰ったんだよ。性別だけじゃなくて身長も体重も知ってるぜ」
「な、お前っ……俺の子供を俺より先に抱いたのか?! 許せねぇ、それだけは絶対許せねぇ!よくも俺の初めてを奪いやがったな!!」
裕樹の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶっていると、俺の声に驚いたのか、真奈の腕の中で気持ち良さそうに眠っていた赤ん坊が、急に大きな声を上げて泣き出した。
「よぉ浩太、久しぶりだな」
真奈の病室へ、早歩きで飛び込んだ俺を出迎えたのは、最愛の妻――ではなく久しぶりに会う友人だった。
「祐樹っ?! おまっ……どうしてここに……?」
「どうしてって、見れば分かるだろ、仕事だよ仕事。前にも話しただろ。スキルアップの為に月に一度、親父が昔働いてたこの病院で、非常勤として働かせて貰ってるって。で、休憩時間にふらっと寄ってみたら、グッドタイミング だったぜ」
白衣に身を包んだ祐樹がニヤリと勝ち誇ったように笑ってみせながらそんな事を言った。
祐樹は今、医者として祐樹のおじいさんが経営している病院で働いている。
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「グッドタイミング、じゃね~よ! お前、見たのか? もしかして俺より先に、俺達の子供に会ったのか?!」
「おう、見たぞ。ちっこくて真っ赤で、猿みたいだった」
「はぁ~? 猿、だと?! この野郎~、俺の可愛い子供に向かって猿とはなんだ! 俺より先に俺の子に会っておきながら失礼な奴だな!ってか少しは遠慮しろよ。何でお前が俺より先におれの子供を見てんだよ!」
「良いだろ別に、減るもんじゃなし」
「減るわ! お前が見たら減るんだよ!!」
「ちょっと浩太、さっきから聞いてれば、何馬鹿な事言って騒いでるの? うるさいんだけどっ!」
俺と祐樹の言い争いに、病室の奥から不機嫌な声が飛んでくる。
病室の一番奥のベッドを隠していたカーテンが開いたかと思うと、そこから真奈が不機嫌な顔を覗かせていた。
「っ!真奈!」
真奈の姿を見るなり、俺は急いで真奈の元へと駆け寄った。
そして、近付くなり真奈の腕に抱かれてスヤスヤ気持ち良さそうに眠る小さな小さな赤ん坊の姿が目に入った。
初めて見る我が子に、俺は嬉しさのあまり言葉を失う。
「…………」
「良かったな、浩太。元気な女の子だそうだ」
そんな俺に、祐樹が言った。
「…………」
祐樹の言葉に、また俺は違った意味で言葉を失う。
「…………」
「どうした浩太、黙り込んで。嬉しくないのか?」
「…………何で……」
「ん?」
「何でお前が俺より先に俺の子供の性別知ってるんだよ!」
「何でって、お前が来るまでの間に抱かせて貰ったからな。そのついでに色々と話を聞かせて貰ったんだよ。性別だけじゃなくて身長も体重も知ってるぜ」
「な、お前っ……俺の子供を俺より先に抱いたのか?! 許せねぇ、それだけは絶対許せねぇ!よくも俺の初めてを奪いやがったな!!」
裕樹の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶっていると、俺の声に驚いたのか、真奈の腕の中で気持ち良さそうに眠っていた赤ん坊が、急に大きな声を上げて泣き出した。
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