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第一章【ゴーレム幼女と魔法少女達】

お母さん! 魔法少女と婆さんに文句を言ったよ!

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 _____「ゴーレムの森 洞窟内部」_____


 俺は一度、現実世界に戻る事が出来た。
 もう、あんなチャンスは二度と来ないかもしれない。
 ショックで膝からその場に崩れ落ちた。

「いやー! しかし、間違えちゃったね! ごめんね~! たまに変なところ飛んで行っちゃうんだ!」

 「... ...間違えてない(小声)」

 「え? 何? どうしたの? 何か顔色悪いよ?」

 「... ...間違えてない(震え声)」

「だから、どうしたの? えっ!? ちょっと!? 泣いてるの?」

 魔法少女が慌てた様子で俺の顔覗く、魔法少女に指摘され、自身の目から涙が流れている事に気が付き、俺は迷わずその場で泣き喚いた。

「うわー!! 間違えてないよ!! 早く、さっきの場所に戻してよ!!」

 ひっ繰り返した亀のように両手両足をバタバタとばたつかせ、全身で感情を表現。
 それを見た魔法少女は。

「いや、無理だよ! たまにランダムに目的地以外の場所に行くから指定は出来ないのよ!」

「お前らそれでも魔女かよ! なんだよその未熟さ! このカスが!!」

 俺の横柄な態度を見て、流石に魔法婆の琴線を刺激したのか今まで優しかった魔法婆も声を荒げる。

「花島君! その言い方は酷いんじゃない? どうしてあの場所にこだわるの?」

「ひどいのはお前らだよ!! 少しでも夢見させやがって!!」

「だから、どうしたのよ?」

「あそこが俺のいた世界だよ!! だから戻せよ!!」

「いや、だから無理だって... ...」
「いや、だから無理だって... ...」

 二人は声を合わせて、言葉を吐く。

「お前らの本来の目的は俺を家から出す事だろ!? だったら、置き去りにすれば良かったじゃねえか!」

「いや、流石に知らない世界に置き去りはかわいそうかな? って... ...」

「律儀だなおい!! その律義さいらねえよ!! ドブだよ!!」

「... ...」
「... ...」

「そうやってお前ら律儀に過ごしてきたんだろうがよ!! 旅行に行ったら、近所の人にもお土産買ってきて!! 未だに小学校の時の担任にも年賀状出して!! 本当、律儀だよおめら!!!」

「いや、近所の人いないし... ...。小学校? 年賀状?」

 知らない言葉に困惑を隠せない魔法少女。

「いちいち、人の間違い訂正してくんじゃねえよ!!! 例えの話だろうが!!!」

「... ...」
「... ...」

 「そうやってすぐに困った顔してよ! 困り顔は俺だよ!!!」

「... ...」
「... ...」

「ほら! 笑えよ!! お前らの大好物の困り顔だよ!! 困った顔でトホホな気分だよ!!」

「... ...」
「... ...」

「はっはははは!!! 俺が笑ってやったよ!!! 笑ってないとやってらんねえよ!!!」

「... ...」
「... ...」

「本当、やってらんねえよ... ...」

「... ...」
「... ...」

「... ...ごめん」

「気は済んだかい?」

「... ...うん」

 俺が落ち着いた様子を確認すると魔法少女がゴーレム幼女様の家のドアをノックする。
 しかし、反応がなく、魔法少女がドアを叩く乾いた音は洞窟内にコダマするのみ。

「... ...留守かな?」

 魔法少女が首を傾げながらも、ドアノブを捻り、扉を開けるが扉を開けた先にはゴーレム幼女様の姿がない。

「留守みたいだけどどうする?」

「少し待たせてもらおう。花島君、君もそんなところに座ってないで中に入りなさい」

 焦燥感丸出しの俺を気遣って、魔法婆が声をかけるが、立ち上がる気力が起き上がらず。

「... ...もう少しこのままでいさせて」

 二人はそんな俺の姿を見て、流石に呆れたのか、ため息をつくとゴーレム幼女様の家に入っていった。
 それから俺は泣き疲れたのかその場で寝てしまった。



 _____「ゴーレムの森 ゴーレム宅内」_____


 
 目が覚めると俺は暖かい布団の中にいた。
 ____そして、目の前に魔法婆の可愛い寝顔が。

「____うお!!!」

 飛び上がると、魔法婆を起こしてしまったのか、目頭を擦りながらむくっと起き上がり。

「あ、おはようございます」

 「お・おはようございます」

 昨日、あんなに罵声を浴びせたのに寝ている俺を部屋に入れ、布団で寝かしつけてくれたのだろうか。
 そんな優しい魔法婆に「気持ちわりい寝顔を近づけるなよ!!」とは流石に言えなかった。

「______みんなこっち来て!!!」

 魔法少女の声が洞窟の入口の方から聞こえ、声のした方向に魔法婆と共に駆けて行くと、洞窟前に突如として石を積み上げた塔のようなものがそこに君臨していた。
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