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蜜月
八話
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黒い岩場を、美苑は潤弥と手を繋いで歩いた。
「では、お母様は」
「オレが十歳の時に亡くなった。母はガンで、あちこちに転移していた」
「十歳」
「ちょうど、美苑が遠野に引き取られた頃だ」
あの頃の悲しみと寂しさは、忘れることができないと潤弥は話した。
「そう、でしょうね。私も、母が亡くなった時を思うと」
「あそこだ。あの切り立った場所に、家が見えるだろ?あれが、母の生家だ」
採花の墓は、生家の庭先にあった。
「お母様、遠野美苑と言います」
墓石に刻まれた年号は、採花が三十前で亡くなったことを記していた。
「ずいぶん、若くして亡くなられたんですね」
「ああ、オレが産まれた時、まだ十八だったからな」
「十八!私と一つしか、あ」
美苑は頬が熱くなる。
(十八で産んだってことは、十七で孕んだってこと?)
「そう、お前の歳で母はオレを孕んだ」
恥ずかしさで、消えたかった。時折、潤弥は美苑が頭で考えたことに答える。
「なんだ、その顔は」
「何で、わかるんですか?」
「顔に、書いてある」
「!」
潤弥は美苑の手を取る。
「いつか、産んでくれるか?」
「え」
「今すぐじゃない」
潤弥の頬が紅い。
「何年か、先でいい。戦争が終わり、二十歳を過ぎてからで構わないから」
「はい」
ふぇっ、美苑は涙をこぼす。
「泣くな、ばか」
「私で、いいなら。何人でも」
(こんな日を、どれだけ夢見ただろうか。潤弥さんが、生きることに執着してくれることを)
ポツ・・ポツ、雨が振り出し慌てて、生家に入る。
「こりゃ、しばらくは出られんな」
「土砂降りですね」
どちらからでもなく口づけ、二人は抱き合った。
「なんか、恥ずかしい」
「何が?」
「だって、ここはお母様の生家でしょ?なんか、親の前で・・その」
潤弥が吹き出す。
「笑うこと、ない・・あ」
「集中してくれ。母はもう、この世にいない」
「あぅっ」
硬く尖った乳首をかかれ、美苑は眉を寄せる。
「良い子だ、美苑。オレが教えた通りの反応だな」
「やだ」
「ここも・・こんなに濡れて、蜜が絡んでくる」
言わないでぇっ
ジュプジュプと、淫らな音に美苑の喘ぎが交じる。膝に手を回し、高く足を挙げさせる。
「や・・こんな」
「挿れるぞ」
太いペニスが押し当てられ、美苑は息を吐く。ズリュと、一気に最奥に届く。
「大っきい・・おちんちん、硬いの」
律動され、何度も仰け反りながら美苑は身体を震わせた。
(雨がいつ止んだのか、どのくらい抱かれたのか。気づかないまま、時間は流れた)
「雨が、やみましたね」
「ああ」
(夕陽が照らす潤弥さんの横顔は綺麗で、でも、どこか悲しげでーーーまた、誰かが出撃するのだと感じた)
「では、お母様は」
「オレが十歳の時に亡くなった。母はガンで、あちこちに転移していた」
「十歳」
「ちょうど、美苑が遠野に引き取られた頃だ」
あの頃の悲しみと寂しさは、忘れることができないと潤弥は話した。
「そう、でしょうね。私も、母が亡くなった時を思うと」
「あそこだ。あの切り立った場所に、家が見えるだろ?あれが、母の生家だ」
採花の墓は、生家の庭先にあった。
「お母様、遠野美苑と言います」
墓石に刻まれた年号は、採花が三十前で亡くなったことを記していた。
「ずいぶん、若くして亡くなられたんですね」
「ああ、オレが産まれた時、まだ十八だったからな」
「十八!私と一つしか、あ」
美苑は頬が熱くなる。
(十八で産んだってことは、十七で孕んだってこと?)
「そう、お前の歳で母はオレを孕んだ」
恥ずかしさで、消えたかった。時折、潤弥は美苑が頭で考えたことに答える。
「なんだ、その顔は」
「何で、わかるんですか?」
「顔に、書いてある」
「!」
潤弥は美苑の手を取る。
「いつか、産んでくれるか?」
「え」
「今すぐじゃない」
潤弥の頬が紅い。
「何年か、先でいい。戦争が終わり、二十歳を過ぎてからで構わないから」
「はい」
ふぇっ、美苑は涙をこぼす。
「泣くな、ばか」
「私で、いいなら。何人でも」
(こんな日を、どれだけ夢見ただろうか。潤弥さんが、生きることに執着してくれることを)
ポツ・・ポツ、雨が振り出し慌てて、生家に入る。
「こりゃ、しばらくは出られんな」
「土砂降りですね」
どちらからでもなく口づけ、二人は抱き合った。
「なんか、恥ずかしい」
「何が?」
「だって、ここはお母様の生家でしょ?なんか、親の前で・・その」
潤弥が吹き出す。
「笑うこと、ない・・あ」
「集中してくれ。母はもう、この世にいない」
「あぅっ」
硬く尖った乳首をかかれ、美苑は眉を寄せる。
「良い子だ、美苑。オレが教えた通りの反応だな」
「やだ」
「ここも・・こんなに濡れて、蜜が絡んでくる」
言わないでぇっ
ジュプジュプと、淫らな音に美苑の喘ぎが交じる。膝に手を回し、高く足を挙げさせる。
「や・・こんな」
「挿れるぞ」
太いペニスが押し当てられ、美苑は息を吐く。ズリュと、一気に最奥に届く。
「大っきい・・おちんちん、硬いの」
律動され、何度も仰け反りながら美苑は身体を震わせた。
(雨がいつ止んだのか、どのくらい抱かれたのか。気づかないまま、時間は流れた)
「雨が、やみましたね」
「ああ」
(夕陽が照らす潤弥さんの横顔は綺麗で、でも、どこか悲しげでーーーまた、誰かが出撃するのだと感じた)
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