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後宮物語〜 秋桜 〜
五話
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「結真、私との出会いがどこかーー覚えているか」
「えと、霊廟ーーですか」
「!」
蒼河は驚く。
「なんとなく、記憶に蒼河様のお小さい頃の面影があるんです。多分、元敬王妃様が亡くなられたか、先の王太后様が亡くなられた時かと」
「覚えて、くれていたのか?私だけかと」
「な、なんとなくです」
結真と、蒼河は抱き寄せる。
「ありがとう、私の片思いではなかった」
「秘密、でしたよね?霊廟には立ち寄ってはいけない」
だから、言わない方が良いと、結真は話した。
「霊廟に入って良いのは、王様だけだ。息子であれ、亡骸に対面するのは禁じられている」
「お母さんでしょう?会いたくて、当たり前です」
優しい結真。
敏い上に、傷つきやすい。
「書庫で再会した日、自分の幸運に感謝した。父上はお前が死んだと言ったが、生かしてくださったのだと」
「蒼河様」
「書庫で小説の写しを任されたお前を、どうしても私の妻にしたかった」
暗がりを歩く結真を、何者かがつける気配を結真は感じていた。
「・・だ、誰?」
振り向く結真に、幼い蒼河は素直に姿を見せた。
「あなたは?」
「私は、霊廟の明かりが消えていないか、密かに見てこいと」
「私と同じね。私も、尚宮様に」
二人で、薄暗い道を歩く。
互いに、相手が運命の人であることも知らずに。
「なるほど、罰として明かりの番をせよと。なかなか、厳しい罰だな。では、私と話をせよ」
「はい」
霊廟に現れた男性が、慎国の国王だと知ったのは何ヶ月も過ぎてからだった。
そして、あの宦官見習いの少年が蒼河だと聞かされたのも、同じ頃だった。
「初めてを、奪ってよいか」
蒼河に囁かれ、あの日を思い出す。
「私、口づけもまだでしたから、まさかーーーあのような」
「書庫で破瓜を済ませるとは、想像しなかったか」
「はい」
とんでもなく、痛いと小説には必ず書かれているのに。
「どうだ?初めて抱かれた時、痛かったか?」
「ーーーいえ、あまり」
卓に置かれた紙を握りしめ、快楽に耐えたほどに蒼河との情事は悦かった。
「私もだ。女人との交わりが悦いものだと、初めて知った」
「初めて、だったんですか?」
「悪いか」
「・・・ホントに、私が」
「他の女を抱けるわけがない、女が思うより・・・男心は繊細なんだ」
口唇を噛み、涙を堪える。
「こら、口唇を噛むな。傷が入る」
「蒼河ーーさ」
「ったく、私を何だと。あちこちの令嬢や妓生を抱きまくっていると?」
「だって」
あまりに、慣れている。
「私は何も考えられなくて、怖いとすら感じるのに」
「そんな訳、あるか」
口づけられ、裾から手を差し込まれる。クチュ・・と、淫らに水音がする。
「感じやすいな。最初の時を思い出したか」
「違いま」
「なら、これは?こんなに濡れて」
蒼河は結真に、自慰を命じた。泣いて嫌がる結真の指を、濡れた性器に触れさせる。
「さ、いつもされてることをして、自分で準備しろ」
「ーーー出来ませ」
また、あの書を見せられる。
「この書の通りに」
「・・・意地悪」
泣く泣く、結真は肉芽を擦り上げた。
「えと、霊廟ーーですか」
「!」
蒼河は驚く。
「なんとなく、記憶に蒼河様のお小さい頃の面影があるんです。多分、元敬王妃様が亡くなられたか、先の王太后様が亡くなられた時かと」
「覚えて、くれていたのか?私だけかと」
「な、なんとなくです」
結真と、蒼河は抱き寄せる。
「ありがとう、私の片思いではなかった」
「秘密、でしたよね?霊廟には立ち寄ってはいけない」
だから、言わない方が良いと、結真は話した。
「霊廟に入って良いのは、王様だけだ。息子であれ、亡骸に対面するのは禁じられている」
「お母さんでしょう?会いたくて、当たり前です」
優しい結真。
敏い上に、傷つきやすい。
「書庫で再会した日、自分の幸運に感謝した。父上はお前が死んだと言ったが、生かしてくださったのだと」
「蒼河様」
「書庫で小説の写しを任されたお前を、どうしても私の妻にしたかった」
暗がりを歩く結真を、何者かがつける気配を結真は感じていた。
「・・だ、誰?」
振り向く結真に、幼い蒼河は素直に姿を見せた。
「あなたは?」
「私は、霊廟の明かりが消えていないか、密かに見てこいと」
「私と同じね。私も、尚宮様に」
二人で、薄暗い道を歩く。
互いに、相手が運命の人であることも知らずに。
「なるほど、罰として明かりの番をせよと。なかなか、厳しい罰だな。では、私と話をせよ」
「はい」
霊廟に現れた男性が、慎国の国王だと知ったのは何ヶ月も過ぎてからだった。
そして、あの宦官見習いの少年が蒼河だと聞かされたのも、同じ頃だった。
「初めてを、奪ってよいか」
蒼河に囁かれ、あの日を思い出す。
「私、口づけもまだでしたから、まさかーーーあのような」
「書庫で破瓜を済ませるとは、想像しなかったか」
「はい」
とんでもなく、痛いと小説には必ず書かれているのに。
「どうだ?初めて抱かれた時、痛かったか?」
「ーーーいえ、あまり」
卓に置かれた紙を握りしめ、快楽に耐えたほどに蒼河との情事は悦かった。
「私もだ。女人との交わりが悦いものだと、初めて知った」
「初めて、だったんですか?」
「悪いか」
「・・・ホントに、私が」
「他の女を抱けるわけがない、女が思うより・・・男心は繊細なんだ」
口唇を噛み、涙を堪える。
「こら、口唇を噛むな。傷が入る」
「蒼河ーーさ」
「ったく、私を何だと。あちこちの令嬢や妓生を抱きまくっていると?」
「だって」
あまりに、慣れている。
「私は何も考えられなくて、怖いとすら感じるのに」
「そんな訳、あるか」
口づけられ、裾から手を差し込まれる。クチュ・・と、淫らに水音がする。
「感じやすいな。最初の時を思い出したか」
「違いま」
「なら、これは?こんなに濡れて」
蒼河は結真に、自慰を命じた。泣いて嫌がる結真の指を、濡れた性器に触れさせる。
「さ、いつもされてることをして、自分で準備しろ」
「ーーー出来ませ」
また、あの書を見せられる。
「この書の通りに」
「・・・意地悪」
泣く泣く、結真は肉芽を擦り上げた。
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