後宮物語〜 秋桜 〜

絵麻

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後宮物語〜 秋桜 〜

六話

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「ん・・あぅ」
 擦り上げるたび、頭が痺れるような快感が結真を襲う。
「蜜を塗り、ほら胸はいじってやるから」
 硬くなりはじめた乳首を、後ろから抱きしめる蒼河に弄られる。

「やだ、触ら・・・」
「イけ」

 痙攣し、結真は達した。
「はぁ・・やだ、もう」
「上手にイケたな、良い子だ」
 軽々と抱き上げ、勃ち上がったモノの上に座らされる。

 いやぁーーーーッ!

 絶叫し、結真は蜜を漏らした。全身を震わせる結真を、蒼河は容赦なく突き上げる。

「死んぢゃ・・やだ、まだイッてる」
「結真」
「やだぁ・・、またイッ」
 首を振り、結真は泣きじゃくる。
「好きなだけ、イケばいい」
「狂う・・から、ホントにおかしくーーあ」

 寝台に突っ伏して、結真は泣きじゃくる。
「ぬいてぇ、もう・・やめ」
「出すぞ」
 最奥に注がれ、結真は失神した。

「ーーーッ」
 抱き寄せられ、結真は首を振る。
「大丈夫だ、もうしない」
「ッぐーー何で」
 感じ過ぎる情事は、結真には辛いのだ。
「やだ、って・・・感じ過ぎるからって」
「たくさんイッた方が」
「ーーー」
 眠ったか?
 肩口に口づけ、蒼河は目を閉じた。
 
 愛されていると、分かっているからこそ、妊めない自分が不甲斐ないと感じた。
「神様、私に赤ちゃんを」
 翌日、結真は子宝祈願に寺院を参拝した。

「寺院にですか?」
「うん、子宝祈願に行きたいんだけど問題はないかな?」
 淑英は頷いた。
「それは大丈夫です。蒼河様には」
「もちろん、言うよ」

『・・・子宝祈願?』
『うん。早く、その・・赤ちゃん欲しいなって』
 蒼河は小さく息を吐く。
『いいよ、ついでに息抜きするといい。金尚宮、美京、銀今』
 はい、と三人が入室する。
『結真に同行してやれ』
『はい』

 こうして、四人の外出が叶った。
「もうすぐ重陽ですね」
「祭囃子が懐かしい」
 少しだけ、節句を見物に繰り出したのだ。

「尚宮様はいつから後宮に?」
「三十年になる。まだ七つで、当時は淋しくて泣いた」
「では、外出は?」
「たまに、刺繍糸を。あと、菓子を買いに行くくらいだ」
「なら、甘味に行きませんか?」
 賛成とばかりに、甘味処に向かった。

「ん~、美味し」
「幸せの味だぁ」
「ふふ」
「懐かしい味だ」
 四人は笑顔になる。傍からみれば、若い母と三人の娘に見えただろう。

「蒼河様にお土産です」
 結真は小さな包みを差し出す。
「土産?」
「はい」
 恥ずかしげに、結真は俯く。

「これは・・指輪か」
「はい」
 それは、翡翠の指輪だった。
「私とおなじです」
「指輪」
「今日は、お誕生日ですよね?ほんとは赤ちゃん、ってしたかったけど・・まだ」
 見ると、結真にも指輪がある。
「いずれ、必ず孕むので」
「結真」
 蒼河は結真を抱きしめた。
「ありがとう」
「!」
「嬉しいよ、ホントに」
 蒼河が震えていることに、結真は胸が痛む。どれだけ、寂しい思いをしたのかと考えると、心が裂かれる思いだった。
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