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後宮物語〜 秋桜 〜
十一話
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「可愛い!」
「ほっぺが艶々」
皆が、代わる代わるに河泪を抱く。
「ありがとう、世子嬪。よく来てくれた」
「いいえ、お招き――ゔ」
白花茶が運ばれ、結真は吐き気に襲われる。
「世子嬪。どうした、顔色が」
「大丈夫で・・ゔぅ」
胃がひっくり返すような吐き気を、結真は堪えたが意識を失った。
「―――では、病気ではないのか?」
「はい、むしろ慶事にございます」
王妃は満面の笑みで、結真を見ていた。
「王妃様、すみません。私・・」
「構わぬ、寝ていなさい。ホントに、そなたはびっくりさせる」
「あの、私」
「懐妊だ、予定日は来年の春になる」
結真が倒れた知らせを聞き、蒼河が狩場から駆け戻る。
「義姉上」
「世弟」
満面の笑顔で、王妃は蒼河に『おめでとう』と微笑んだ。
「まさか」
「ああ、懐妊だ。来年の春先だ」
「・・・」
「行ってやれ」
青白い顔色で、結真は目を覚ました。
「結真」
「すみません、急に吐き気が―――ゔ」
河泪の時は、悪阻などなかった。
「悪阻って、こんなに辛いんですね?河泪はらくでしたのに」
大好きな白花茶も飲めないと、結真は嘆き蒼河と笑い合った。
「子が出来たのは、嬉しいですけど」
「無理はするな。口当たりの良い食事を、金尚宮に用意するよう頼んだ」
「え、尚宮が」
「知らないのか?金尚宮は料理屋の娘で、腕は父親譲りだ。最初は厨房女官だったんだぞ」
様々な気転と才覚で最高尚宮になったのは知っていた。
「まさか、料理まで」
「美京と銀今も手伝い、学んでいる」
「ホントに、すごい方なのに・・私の側仕えなんて」
なんと、有り難いのかと結真は涙が滲む。
「いい匂い」
鶏の出汁で煮込んだ米と卵の雑炊に、結真は深呼吸する。
「匂いが苦手になる方はたくさんいます。父はそんな方には、魚出汁ではなく鶏出汁を使いました。鶏出汁を使えば、生臭さは抑えられます」
「さすがだ」
蒼河は恥ずかしがる結真に、自ら雑炊を食べさせた。
「赤ん坊ではありません!自分で」
「言うことを聞きなさい」
「皆が―――」
居たはずの淑英達は、すでにいなかった。恨めしく、戸口を見つめる。
「今日だけ、ですよ」
「さ、食べよ」
満面の笑で、蒼河は匙を出した。
「ほっぺが艶々」
皆が、代わる代わるに河泪を抱く。
「ありがとう、世子嬪。よく来てくれた」
「いいえ、お招き――ゔ」
白花茶が運ばれ、結真は吐き気に襲われる。
「世子嬪。どうした、顔色が」
「大丈夫で・・ゔぅ」
胃がひっくり返すような吐き気を、結真は堪えたが意識を失った。
「―――では、病気ではないのか?」
「はい、むしろ慶事にございます」
王妃は満面の笑みで、結真を見ていた。
「王妃様、すみません。私・・」
「構わぬ、寝ていなさい。ホントに、そなたはびっくりさせる」
「あの、私」
「懐妊だ、予定日は来年の春になる」
結真が倒れた知らせを聞き、蒼河が狩場から駆け戻る。
「義姉上」
「世弟」
満面の笑顔で、王妃は蒼河に『おめでとう』と微笑んだ。
「まさか」
「ああ、懐妊だ。来年の春先だ」
「・・・」
「行ってやれ」
青白い顔色で、結真は目を覚ました。
「結真」
「すみません、急に吐き気が―――ゔ」
河泪の時は、悪阻などなかった。
「悪阻って、こんなに辛いんですね?河泪はらくでしたのに」
大好きな白花茶も飲めないと、結真は嘆き蒼河と笑い合った。
「子が出来たのは、嬉しいですけど」
「無理はするな。口当たりの良い食事を、金尚宮に用意するよう頼んだ」
「え、尚宮が」
「知らないのか?金尚宮は料理屋の娘で、腕は父親譲りだ。最初は厨房女官だったんだぞ」
様々な気転と才覚で最高尚宮になったのは知っていた。
「まさか、料理まで」
「美京と銀今も手伝い、学んでいる」
「ホントに、すごい方なのに・・私の側仕えなんて」
なんと、有り難いのかと結真は涙が滲む。
「いい匂い」
鶏の出汁で煮込んだ米と卵の雑炊に、結真は深呼吸する。
「匂いが苦手になる方はたくさんいます。父はそんな方には、魚出汁ではなく鶏出汁を使いました。鶏出汁を使えば、生臭さは抑えられます」
「さすがだ」
蒼河は恥ずかしがる結真に、自ら雑炊を食べさせた。
「赤ん坊ではありません!自分で」
「言うことを聞きなさい」
「皆が―――」
居たはずの淑英達は、すでにいなかった。恨めしく、戸口を見つめる。
「今日だけ、ですよ」
「さ、食べよ」
満面の笑で、蒼河は匙を出した。
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