後宮物語〜 秋桜 〜

絵麻

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後宮物語〜 秋桜 〜

十二話

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「この子は男の子でしょうか、それとも」
「息子はいるから、女の子もいいが」
 河泪をあやしながら、蒼河は室内を歩く。

「また、たくさん可愛いがってくださいね」
「ああ」
 河泪の事も、蒼河は溺愛している。
「私は河泪に、文字や剣も教える。父上や兄上達がしてくださった様に」
「はい」
 すでに千字文字を作製している蒼河に、結真は笑みを浮かべた。
 まだ三ヶ月にもならない河泪が文字を習うのは五年も先だと言うのに、蒼河は色々と準備している。

「ありがとうございます、蒼河様」
「ん?」
「幸せです、私・・・こんなに愛してくださって、命より大切な子も授かって」

 両親を亡くし、宮中に入った。先代の最高尚宮に目をつけられ、霊廟に行かされ―――蒼河を庇い王宮を追放された。
 再び入宮し、淑英のもとで修業した。王族には直接関われない、小説の写し係に任命され―――。

「そなた!」
 あの日、軍服を着た蒼河と出会い、書庫で結ばれた。

「ありがとうございます、私を忘れずにいてくれて」
 夜伽の練習台にされるだけの運命から、蒼河は救ってくれた。
「ホントに、幸せです」
 蒼河は結真を抱きしめる。

 んぅ・・

「ダメ、です」
「分かっている」
 安定期を迎えたとはいえ、油断は出来ない。
「今はしない。ただ、抱きしめたかっただけだ」
「はい!」
 結真は笑顔を浮かべた。

「順調ですね。これなら、年明けには」
「ありがとう、チャンイ」
「いえ。私達も楽しみなんです、河泪様も可愛いし。男の子か女の子か、皆が喜んでいるのです」

 皆が、祝福してくれている。新国王も、度々宮を訪れ手土産に花や茶をくれる。
「匂いはどうだ?まだ、辛いのか」
「いえ、悪阻は最初だけで。いつも、美味しい茶をありがとうございます」
「そなたは、贅沢を望まない。茶や花、ささやかなものを喜ぶ」
「もう、充分すぎるほどに贅沢です」
「ならばよい。王妃も案じていたが、そなたは控えめすぎる。そんな弱気で、我が子を守るのは難しい」
「肝に、命じます。陛下」

(幸せね、皆があなたを待ちわびてくれている)
 膨らんだお腹を撫で、結真は話しかける。
「結真」
 優しい声に振り返り、結真は笑顔になった。


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