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連載
【番外編】キャンプ場とキャンピングカー②
「ユウスケさん、ちょっといいですか」
「もちろん。どうしたんだ、サリア?」
ここイーストビレッジキャンプ場の管理棟の中、メイド服姿の長く尖った耳のエルフの少女であるサリアが、これまたキャンプ場に場違いな執事服を身につけたユウスケへ尋ねる。
彼はこのキャンプ場の責任者で、元の世界で神様の部下の手違いによって命を落とし、自分のキャンプ場を作りたいという夢をかなえるためのチート能力を貰ってこの世界にやってきた転生者である。
「初めていらっしゃったお客様ですが、このキャンプ場の責任者を呼んできてほしいそうです」
「……責任者を呼べか。あまりいい予感がしないな」
「いえ、何か文句があるというわけではなく、食事とお酒のメニューを見て、もしかしたら自分はこのキャンプ場の責任者の同郷かもしれないから呼んできてほしいと言われました」
「なにっ、マジか!」
このキャンプ場で出しているメニューはユウスケが作った元の世界の料理である。そして何より、このキャンプ場で提供しているビール、日本酒、ウイスキーなどのお酒はこの世界にはここ以外ないものである。
「は、はい。確かにその男性の方もユウスケさんと似た顔立ちをしていて、黒い髪と黒い瞳をしていましたね」
「……それはかなり信憑性がありそうだな。わかった、今すぐ行く」
「初めまして。このキャンプ場の責任者をしております東村祐介と申します」
「……初めまして、吉岡茂人です。なるほど、それでイーストビレッジなのか」
この世界では少し珍しい黒い髪と瞳の男性が向き合う。苗字と名前で自己紹介をしたことから、お互いに察したことがあるようだ。
「仕事中すまないけれど、2人で話せないかな?」
「ええ、俺もちょうど2人で話をしたいと思っていました」
シゲトとユウスケは2人だけで他の人とは少し離れたテーブルへと向かい合って座る。
「驚いたなあ、あんたも元日本人だろ。メニューに元の世界の料理や日本酒があって本当にびっくりしたぞ」
「俺も驚いたよ。まさか俺以外にこの異世界へ来た日本人がいるとは思わなかった。シゲトさんも神様の手違いでこの世界に転生してきたのか?」
「いや。俺の場合は川でキャンプをしていたら、いきなりこの世界に来ていたんだ。だから転移になるのかな。……というか、神様って本当にいたんだ?」
「ああ、白くて長い髭を生やしたおじいちゃんだった。確かに転生してきた俺とは全然違うみたいだ。俺の場合はもう元の世界には戻れないけれど、シゲトさんは元の世界に帰れたりするのか?」
「いや、この世界に来てからいくつかの村や街を回ったけれど、まったく手がかりは見つかっていない。そうか、ユウスケさんは元の世界では死んでいるから、戻ることができないのか……」
「なんだかんだでこっちの世界でも楽しくやっているから大丈夫だよ。俺の方も元の世界の情報は見つかってないな。それに元の世界で夢だったキャンプ場をこうして異世界で作ることができたんだ。親や友人には1度会いたいけれど、元の世界に帰りたいかと言われたら帰りたくないな」
「……言われてみると俺も帰りたくないかもしれない。親や友人には会いたいけれど、今からまたブラック企業で社畜をするのは無理だな。一応旅をしながら元の世界に帰る情報は集めているから、情報があったり元の世界から来た人がいたらその情報を共有するよ」
「それはありがたい。こうしてキャンプ場を作ってのんびり暮らしているから、あんまり遠出はできないんだ」
「確かにキャンプ場を運営していたら長期休みは難しいか。……ということは神様にもらったっていう能力は俺とは違うみたいだな」
「ああ~やっぱりそうか。転生と転移で違うし、旅をしていると聞いたからそうだと思っていたよ。先に言っておくけれど、よくある異世界ものでの日本人同士が争うとか、俺の場合はないから安心してくれ。俺の能力は安全で快適にキャンプするのに特化しているんだ。先に俺の能力を見せるよ」
「マジか……結界にストアとかユウスケさんの能力はチートにも程があるな。缶ビールとか日本酒がある時点で元の世界の物を取り寄せる能力はあると思っていたけれど、言語理解以外に2つとか羨ましい」
「我ながらチートだと思っているよ。シゲトさんの能力はどんな能力なんだ? あっ、もちろん言いたくなければ大丈夫だぞ」
「いや。ユウスケさんは悪い人じゃなさそうだし、問題ないよ。それに持論だけれど、キャンプ好きに悪い人はいないと思っている」
「はは、それは俺も同意だな。根拠はないけれど、キャンプをして心から楽しんでいる人に悪人はいないよな。まあ、マナーの悪いやつはたまにいるけれど」
「それな! キャンプ場を汚したり、ごみを持ち帰らなきゃいけないキャンプ場で捨てていくやつとか考えられないぞ。ああ、話はそれたけれど、これが俺の能力だ」
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