いじめられて死のうとしていた俺が大魔導士の力を継承し、異世界と日本を行き来する

タジリユウ

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第49話 荒野の狼


「へへ、お嬢ちゃん達、新しく冒険者になったばかりの新人だろう?」

「そんなヒョロっちい男なんかじゃなくて俺達が手取り足取り優しく教えてやるよ!」

「そう、何を隠そうD級冒険者パーティ『荒野の狼』とは俺達のことだぜ!」

「は、はあ……」

 見た目だけならどう見ても荒野の盗賊なんだけどな。いや、人を見た目で判断するのはよくない。本気でこの新人冒険者達を心配してくれている優しい冒険者なのかもしれない。

「……おい、またあいつらだぜ。この前も新人冒険者に絡んでたよな」

「ああ、他の冒険者からもかなり苦情が上がっているぞ。報酬ガメたり、女冒険者に手を出そうとしたり」

 見た目のままのやつだった! 聞き耳スキルでこの人達の悪い情報が嫌でも入ってくる。このパーティは悪い意味で有名っぽい。さすがにわざわざ声をかけてくれたこの2人を見捨てるわけにはいかない。

「すみません、今2人は俺と話しておりますので」

「ああん、てめえは黙っていろや!」

「そうそう、このお嬢ちゃん達は俺達が面倒見るからてめえはさっさと帰れや!」

 いきなり凄んできたが、ドラゴンすらも倒してきた今の俺にはこんなチンピラ風情が凄んできたところで……一応冷静沈着スキルは使っておこう。

 それにしてもどうしようかな。俺が冒険者だったなら俺が2人を案内してあげれば済むことなんだが、今の俺は完全に部外者だし……



「お兄ちゃ~~~ん!!」

「ふげっ!」

「うがっ!」

 何かが物凄い勢いで俺に突進してきた! それも荒野の狼パーティを全員吹っ飛ばしてだ。そしてそのまま俺の鎧にダイブしてきた。かなりの力とスピードで大魔導士から継承した力がなければ、俺ごと後ろの壁にふっ飛んでいただろう。

「あ、この前の!」

 今日待ち合わせをしていた獣人冒険者パーティさんの一番小柄だった女の子だ。

「おお、A級冒険者パーティ『万緑の猫』のネネアちゃんだ、今日も可愛らしい!」

「すげー、この街一の冒険者だろ! 俺初めて見た!」

 やっぱり有名な冒険者パーティだったらしい。そして前回名前は聞いてなかったけど、名前はネネアというらしい。

「お兄ちゃん、お久しぶりだニャ!! 会いたかったニャ!」

「お久しぶりです、ネネアさん。領主様の具合はどうですか?」

「マサヨシ様、お待たせしてすみませんでした! ちょうど今、領主様のお見舞いをしてきたところです。無事に峠は越えて今は順調に回復に向かっておりますよ」

「おお、それは良かった!!」

 ローブ姿に杖を持った魔法使いの獣人さんだ。どうやら領主様は無事に助かったらしい。というかそれは本当に良かったのだが、この状況はどうしよう? 荒野の狼さんは可愛らしいネネアさんの突進でのびているし、俺に声をかけてくれた2人の新人冒険者に至っては完全にフリーズしている。

「はしゃぎすぎだぞ、ネネア! あ~あ、いくらマサヨシ兄さんに会えたからって、少しは落ち着け! あんた達、大丈夫か?」

 この前大盾を持っていた子かな? 前回会った時は顔まで守っているフルプレートアーマーだったけど、今日は軽装だ。そりゃ街中まであんなに重そうな装備なわけないか。

「……イテテ。おい、いきなり何すんだ! 俺達をD級冒険者パーティの荒野の狼と知っていて……うおっ!」
 
「ふざけやがって! 女冒険者だろうとぶっとばして……ひっ!」

「うちの連れが悪かった、すまない! どこか怪我とかはないか? もし何か破損していたらうちのパーティで弁償させてもらおう」

「……A級冒険者のリっ、リリス様! い、いえ、何も壊れていません! な、おまえら?」

「へっ、へい! これっぽっちの怪我なんでもありません!」

「しっ、失礼します!!」

 なぜか被害を受けたはずの荒野の狼さん達が逃げて冒険者ギルドから出ていった。めちゃくちゃ怯えているんだが?

「……うちらあいつらになんかしたっけ?」

「確か以前に新人冒険者に絡んでいたところをぶっ飛ばしてギルドに報告したな」

「ああ、それでか。マサヨシ、待たせてしまってすまない」

 めちゃくちゃ格好いいな! 俺がどうしようか考えている間に解決してしまった。というか俺の出番が何ひとつなかったよ……いやいいんだけどね。

「いえ、リリスさん。俺もついさっき来たところです! というかネネアさん、一回離れてくださいね」

 さっきからネネアさんは俺の胸に抱きついたままだ。

「ええ~、もっとお兄ちゃんの側にいる!」

「ほら、ネネアいったん離れろ。マサヨシ兄さんが困っているだろ」

「……は~い」

 ネネアさんが離れてくれる。いや困っているわけではないのだが、周囲からの視線がちょっと痛いんだよね。ただでさえ騒ぎになってみんなに見られているのに。



「さあ、今日はどんな依頼があるかなっと……ってなんだこの空気は!?」

 おおっ、こんな神タイミングでこの前出会ったイアンさん達のパーティが現れた!

「すみません、ちょっとだけお待ちください!」

 リリスさん達と新人冒険者に断りを入れてイアンさん達の下へ。

「イアンさん、お久しぶりです!」

「おお、マサヨシさん! 久しぶりだな」

「おひさしぶりっす! てか、何かあったんですか? マサヨシさんめちゃくちゃ注目されてるっぽいですけど」

「いろいろありまして……いきなりですみません、ちょっとみなさんにお願いというか依頼したいことがありまして」

「マサヨシさんからの依頼? おう、できることならなんでもやるぜ!」

「あの時の借りもあるしな!」

「いえ、それほど大した依頼ではないのですが、あの2人は最近冒険者になったばかりの冒険者なんです。ちょっと縁がありまして、今日だけでも冒険者として指導してほしいなと」

 ほんの少しだけの付き合いだったが、それでもイアンさん達が悪人でないことだけはよくわかっている。

「ああ、なんだそんなことか! 新人冒険者の研修とかもやったことがあるから問題ないぜ!」

「ふう、マサヨシさんのことだからもっととんでもないことを頼まれるかと思ったっす!」

 よかったどうやら引き受けてくれそうだ。俺に声をかけてくれたのも何かの縁だし、これくらいは力になろう。

「ありがとうございます。俺は冒険者ではないから教えられないし、本当に助かります。あっ、ちなみに依頼料ってどれくらいになりますか?」

「ん? そんなのいらん、いらん! 俺達はマサヨシさんに大きな借りがあるんだからな」

「そうですよ! こんな依頼程度でお金はいただけません」

「……みなさん。ありがとうございます。でも次から何かを依頼する時は絶対に受け取ってもらいますからね」

 そう言ってくれるのは嬉しいが、冒険者も生活というものがある。今回はありがたく甘えさせてもらうとするが、今度何かを頼む時はちゃんと依頼の相場とかも調べてからお願いしよう。



 そのあと新人冒険者達に、俺は冒険者ではないからパーティを組むことはできないが、C級冒険者パーティである鋼の拳の人達がいろいろと教えてくれることを説明した。

 2人もイアンさん達を知っていたようで、イアンさん達だけでなく俺にも物凄い勢いで頭を下げてきてくれた。2人の新人冒険者をイアンさん達に任せてリリスさん達と一緒に冒険者ギルドを出た。
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