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第五章
しおりを挟む結衣はすずがクリスマスプレゼントに欲しがっていた•リカちゃん人形〝はすでに購入し赤い長靴の中に入れている。
仕事が終わるとスポンジケーキを購入し、ケーキにデコレートするチョコレート、ホイップクリームは結衣のスーパーで仕事帰りに購入し帰宅する。すずと洋子が一緒にデコレーションケーキを作る。すずはもう1年生。「自分でケーキを作りたい」ということを言い出すのも無理はなかった。
すずが先日結衣に言った。
「お母さん、すずもデコレーションケーキを作りたい」
「すず、デコレーションケーキを作りたいんだ?」
「分かったわ。お母さんがスポンジケーキを買って、チョコレートもホイップクリームもデコレーションケーキが作れるように材料を準備しておくからね」
「うん。お母さん、ありがとう(笑い)」
数日前の話だ。
結衣が仕事から帰宅した。
「ただいま。お母さん、ありがとう」
すでに母親の洋子はすずと一緒にケーキを作るための下準備をしていた。
「おばあちゃんが準備するからすずは後で
パレットナイフで綺麗に塗ってね」
「うん。分かった。」
そう言って洋子はケーキを作り始めた。
洋子は慣れた手付きでケーキを手順通り作る。
まず、全卵は室温に出しておく。
ア)材料Aのバター、牛乳は同じ容器に入れて温めておく。
イ)薄力粉とココアは一緒にふるっておく。
ウ)材料Bのシロップは、グラニュー糖と水を容器に入れ、レンジ600wで1分ほど加熱し、粗熱が取れたらキルシュを入れて作っておく。
エ)型にバターを塗って、型紙をつけておく。
作り方は手順1~手順17だ。
手順1
卵をボウルに入れときほぐし、グラニュー糖を加え湯煎にかけて38度~40度くらいの人肌になるまでハンドミキサーの低速で泡立てる。人肌になったら湯煎から外し、高速で泡立てる。
手順2
ハンドミキサーの高速で泡立てて、もったりと白っぽくなりハンドミキサーの羽からゆらゆらと生地が落ちてつまようじがひとり立ちできるくらいになったら低速で同じ場所を10秒くらいずつ泡立て、ボウルを反時計まわりに回しながら1周ほど生地のキメを整える。ここまででおよそ8分~10分ほどかかる。
手順3
ふるっておいた薄力粉、ココアを全体に散らすように2に再度ふるいながら入れ、ボウルの底から生地をすくうようにボウルを反時計回りに15度ずつくらい回しながら粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせる。
手順4
粉気がなくなり、しっかり混ざったら一緒に温めておいたバターと牛乳の容器に3の生地の一部を入れて混ぜあわせ、再び残りの3に戻し入れて生地がつやっぽくなるまでよく混ぜ合わせる。
手順5
手順4の生地を型に流し入れ、底をトントンと軽く叩き余分な空気を抜いて余熱していたオーブンを160度に下げ30分~33分ほど焼く。
手順6
焼きあがったら20cmほどの高さから型ごと台に落とし、焼き縮みを防止して、粗熱が取れるまで天地さかさまにしておき、粗熱が取れたら元の状態に戻す。
手順7
手順6の生地を底と上5mmくらい切り落とし、残りを3枚にスライスする。下準備で作っておいたシロップを生地の裏表、側面にハケで軽くうっておく。
手順8
チョコクリームを作る。チョコレートをボウルに入れ、60度くらいの湯煎にかけチョコレートを溶かし、分量内のCの生クリームのうち50gをチョコレートと同じくらいの温度までレンジで加熱しチョコレートと一緒によく混ぜ合わせる。
手順9
手順8のボウルに残りの生クリームを少しずつ加え、全体が均一に混ざったらホイッパーで6分立てまでホイップする。
ここでデコレーション用に120gくらい残しておく。この生クリームが冷え過ぎているとチョコレートが固まるので、冷蔵庫から少しだしておいたくらいがちょうど良いです。
手順10
底生地→クリーム→イチゴ→クリーム→真ん中生地→クリーム→イチゴ→クリーム
手順11
上生地→クリーム→側面の順に塗る。この時クリームが側面に垂れるくらいにはみ出しておく。これは側面を後で塗るためです。パレットナイフで上面を塗ったら、回転台を回しながら、パレットナイフを時計の9時の位置に固定して、はみ出たクリームで側面を塗る。側面のクリームが足りない場合は随時足します。
手順12
側面を塗ったら、最後に上面にはみだした部分をパレットナイフでケーキの中心に向かってクリームを数回にわけてならす。その際パレットナイフでならす度にクリームをキッチンペーパーなどで拭きとり、綺麗なパレットナイフで常にならしていく。
手順13
星口金をつけた絞り袋に残しておいた手順9のホイップクリームを入れ、手順12の生地に逆ハの字型にクリームを絞りハートのように絞り出す。これを1周する。
手順14
1周絞ってさらにクリームが余っていたら、丸口金に入れ替えて、6か所に同じ方法でハートを絞る。マスキングテープなどで6か所印をつけておく。
手順15
飾り切りリンゴを作る。芯を切らないようにリンゴをカットし、リンゴを置き、薄く5枚ほどスライスしカットする。
手順16
カットしたリンゴの上のリンゴのとがった方を先端にしてリンゴをずらして使います。
手順17
お好みでチョコプレートや、手作りクッキーにコーティングチョコやチョコペンを溶かしてコルネに入れたもので文字をいれます。
「すず、最後の仕上げを手伝って頂戴ね」
「うん。分かった。すず、待ってたんだよ」
すずは嬉しそうにデコレーションケーキにパレットナイフを使い仕上げをした。
すずは待っていた間にホイップクリームの缶を〝シャカシャカ〝と振っていた。
結衣は先日、イチゴのヘタを切り落としながらすずの質問に答えていた。
「お母さん、デコレーションケーキを作ってみたい」
と言うのは、今のクリスマスに関するすずのもう一つの願いだった。
「ええ、いいわよ。母さん、すずが手伝ってくれて嬉しいわ」
「うん。」
とは言え、結衣はケーキやお菓子を作ったことがない。
大学時代に、女子の間で、クッキーやら何やら焼きまくるブームが到来した際にも もっぱら結衣は食べることばかり。いつの間にか、彼女たちとは疎遠になった。彼女たちは学生の頃から素敵な男性と出会い結婚を早くしたいと考えていたのだ。
結衣は彼女たちと違い、適当に遊び、ボーイフレンドと楽しんだ。
四年生大学を卒業し、歯磨メーカーの企業に就職した。人事部に配属され事務を担当した。同じ人事部の上司と不倫をしたのだ。
その上司との間に出来た子どもがすずであった。
その為、自ら会社を退職したのだ。
妊娠が発覚して、両親にすごく怒られた。
しかし、母の洋子は結衣の気持ちを理解してくれた。結衣がすずを出産する前に、父親の権六が心筋梗塞で他界した。
権六は初孫の顔を見たいと願っていたが、その願いを叶えることは出来なかった。
結局、権六が死んでから3ヶ月後にすずが生まれたのである。
それ以来、洋子と同居して生活をしていたが、近所の目があったので、近くのアパートに引っ越したのである。
今では、人の噂も75日で結衣のことを知っている人はいない。
最近では、洋子がすずの面倒をよく見てくれる。
すずも洋子のことが好きで、よく懐いている。
今日はすずが待ちに待っていたクリスマスイブだ。
デコレーションケーキも出来上がり、夕食が始まろうとしている。
結衣はすずの好きなクリームフォンデュの準備を始めた。
「すず、もうすぐ始めるからね。母さんがクリームフォンデュの準備をするまで待ってね」
「はーい。」
すずの元気な声が食卓に響いた。
to be continued
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